■直海窯を訪ねて登り窯を見る
このところ毎年のようにイコロ農園にレンガを使った建造物を作っている。最初は五右衛門風呂で、次がピザ窯で、その次が飯炊き窯であった。 今年は陶芸の登り窯を作ろうと大それた考えが浮かんだ。
窯の視察と親睦を兼ねて小旅行に行こうということになり、我々夫婦とイコロ農園のTさん、窯製作の専門家のKさんの4人で出掛けた。
どうせ窯を見に行くなら、その前にニセコでゴルフをしようということになり、視察より親睦が先になってしまうといういい加減な4人である。
ゴルフを終ったが、肝心の窯元を見に行けるかどうかが分からない。
窯元に連絡が取れていないからだ。
時間調整をしていると、やっと紹介者のRさんから電話があり、窯元に連絡が付いたので寄れることになった。
国道からかなり入ったみすぼらしい一軒家が目指す窯元である。
『直海窯』と書いて『にわだつみかま』と読むそうで、これは万葉集から取ったと陶芸作者(菊池達太郎さん)が言っていた。
私より汚いジーンズを穿き、髪を後ろで束ねた気難しそうな仙人のような陶芸作家に案内されて登り窯を見る。
バカでかい。見ただけで製作は無理と分かった。
その後に作品を見せてもらったが、素晴らしい作品ばかりだ。
その時に同行したイコロ農園のTさんの奥さんと菊池さんが同級生と分かってから、急速に態度が和らぎ話が進んだ。
登り窯を製作するのは無理と分かったが、それでも素晴らしい陶芸作品の数々を見せてもらい、いい一日であった。
帰り道には『炭焼き窯を作ろうかー』ということになった。
なぜか窯を作ることから離れられない私だ。
(おまけの話)
サミットが終ってこの辺りも落ち着きを取り戻した。
洞爺湖サミットが開かれれば、地元にはなんだかんだとお金が落ちるものと私は思っていた。
ところがテレビの報道では観光客は全くと言っていいほど来ない。
来たのは警察、報道関係、警備会社などだけである。
彼らはほとんどお金を使わない。
少しお金が落ちるのはガソリンスタンド、コンビニ、居酒屋くらいである。
どうやら当初の目論見と違って、地元には大してお金は落ちなかった。
それどころか、観光客が来ないので旅館やホテルやお土産屋の経営は大変なことになっていると聞いた。
昭和新山にある観光業者のI社長に聞いてみた。
『サミット効果はありましたか?』。
I社長は親指を下に向けて自嘲気味に言った。
『サミット降下だよ!』