■リフレッシュする娘
外資系の会社で、いつも忙しく働いている私の娘が2年振りに伊達にやって来た。 私達は既に引退してしまい仕事もしていないと、娘に会った時はなんだか申し訳ないような気持ちになる。
幸いに私の娘は両親に似たのか仕事が大好きで、しかも自分が気に入った仕事に就いているのが我々にとってはせめてもの救いである。
普段は夜遅くまで働いている娘には、伊達に来た時くらいは好きにさせようと思うのが親バカなんだろうと思うが、でもそうしてしまう。
1日おきにゴルフをして、その間には五色温泉や小樽見物にも行った。
また、噴火湾で獲れる新鮮なカニ、アワビ、うになどの魚介類を腹いっぱい食べてもらい、彼女は満足そうであった。
都心の真っ只中に住んでいる娘には自然の中で過ごす時間が必要である。
コテージに滞在し、朝の立香山の上で気功をし、夕方は夕陽を見て、綺麗な空気を胸一杯吸い、夜は星空を見上げて、ここならではの体験をした。
これで英気を養い、東京に戻れば、また元気に働くことだろう。
それでも夕食時にフランス人社長からメールが来たりして、完全な静養とは行かなかったようだ。
通信手段の発達は完全な休暇をさせてくれない。
あっという間の8日間が過ぎてしまい、伊達紋別駅に娘を送って行った。
10時07分に1両編成の東室蘭行きの普通列車が着く。
その後に彼女が乗る10時15分発の札幌行きのスーパー北斗が来た。
伊達紋別駅の辺りは電化されていないので、いかにも田舎の駅である。どういうわけか線路の上に電線が無いと、非常に寂しく感じる。
駅前、駅舎、改札口、線路、乗客などは、もう殆ど演歌の世界である。
我々は東京に出稼ぎに出る娘を駅に送る年老いた両親という感じになって、なんだか感傷的になってしまった朝だった。
(おまけの話)
我が家の愛猫『ラーちゃん』は私達が伊達に来ている夏の4ヵ月間は娘のマンションで預かってもらっている。
ところが、娘が伊達に来てしまうので、ラーちゃんは行き場を失い、仕方なくその間は動物病院で預かってもらうことにした。その費用だが、1泊朝食付きで5000円であるから、今回は8泊なので4万円にもなる。
これは我が家の家計にとっても痛い。
ラーちゃんを動物病院に預けてから、女房が娘と一緒に東京から伊達に戻って来た。そして戻った女房が私に言った。『羽田空港に行く途中の広告看板で見たが、東横インは1泊4800円だった。しかも朝食も付いてインターネットも使い放題よ。』
これじゃ、ラーちゃんの預かり賃よりも200円も安い。
10月12日に東京に戻ったら、ラーちゃんに聞いてみようと思う。
『ラーちゃん、次回は東横インでもいいー?』・・・と。