■入場料より高い特別展は許されるか?
女房から『箱根のルネ・ラリック美術館に行かない?』と誘われた。 でも、私はルネ・ラリックなんて聞いたことがあるような無いような名前で、その人がどんな芸術家なのかを知らなった。私としては、これを知らなきゃ教養が無いのか心配になった。そこで、すぐにインターネットで調べてみた。
その結果、分かったのが、ガラス工芸ではかなりの人だったらしい。
ガラス工芸では、『ガレ』とか、『ティファニー』は知っていたし、作品を見たことがある。でも、ラリックは知らなかった。
そこで、紅葉の秋の箱根を楽しむことを目的に車で出掛けた。東名高速道路を御殿場ICで降りて、乙女峠経由で仙石原に向う。
箱根は紅葉の真っ盛りということもあり、暇人のジジババばかりが目に付く。
目指す箱根ラリック美術館はすぐに分かった。
既に小金井のJTBで買っておいた入場券で入る。
これがあると、本来は1500円の入場料がシニアで1300円となり、更に前売り券で1000円となる。
(美術館入口ドア上にある装飾品)
ラリック美術館での女房のお目当ては別棟に陳列されているオリエント・エクスプレスの列車に乗って、その車内のラリックの装飾品を見ることである。
これが別料金で、なんと2100円もする。
特別仕様のサロンカーに施されているガラス装飾は素晴らしい。
昔のままの列車の中でコーヒーとケーキが出て来る。
列車は走らないが、当時の雰囲気は充分に味わえる。
でも、私は現地で特別展の券を購入する時にためらった。
どこの世界でも、入場券より高い特別展は無いと思う。
常識的に考えれば、入場券が1000円なら、入場した後の特別展は追加料金は500円がいいところではないかと思う。
そのせいか、美術館は大勢の人達が見に来ているが、オリエント・エクスプレスに乗ったのは、我々以外に3人だけだった。
そんな高い料金を取っていながら、駐車料金を別に300円も取る。
『こんなことが罷り通るなら、その内に都会では紅葉を見るのにもお金を取られるようになりそうだ。』・・・・と言ったら女房にバカにされた。
(クラシックカーのフロントグリルのエンブレム)
(おまけの話)
オリエント・エクスプレスは当初はイスタンブールからパリを結んで走っていた豪華列車である。
20年くらい前だと思うが、オーストリアのウイーンからハンガリーのブタペストまで女房と2人でオリエント・エクスプレスに乗ったことがある。
その頃はまだベルリンの壁があり、ハンガリーに入るにはビザが必要だった。
自由世界のウイーン駅では、ブタペストから来た担ぎ屋のオバサン達が、共産圏では高級品であったバナナとコーヒーを仕入れて、それを運んでいた。
私達は少し高級な4人席のコンパートメント(個室)に入った。そこに品の良いお婆さんと若い母親が乳飲み子を抱えて入って来た。
列車が走り出したら、その母親は赤ん坊に母乳をやるような行動を始めた。
私はどうしたらよいものか分からず、そちらを見ていたら、その母親に『出て行って下さい』と、強く言われてしまった。
私達が先に部屋に入っていたのだから、なぜ追い出されなければならないのかと思ったが、争そうほどのこともないと、ドアーを開けて通路に出た。
私がジーと彼女のおっぱいを見ていたのが、いけなかったのかなー?
あれから20年も経って、箱根でオリエント・エクスプレスに乗るとは!