■死生観
自分でも驚いているが、年を取ってきて初めて分かることがある。 若い頃は「ジジイがなにを言ってんだか!」と思っていた。
私のオヤジは56歳でアチラへ逝ってしまったので、オヤジからジジイ臭い話を聞いた覚えはない。
だから自分でジジイ臭いことを言ってしまい、後から自分で戸惑っている昨今である。
「モリのいる場所」・・・★★
少し前に女優の樹木希林が亡くなったが、私は彼女のファンというわけではなかった。しかしお正月が近づくとテレビから流される富士フィルムのコマーシャル、「お正月を写そう」に出演する樹木希林は可笑しく楽しみだった。
特に写真屋でのやリ取りで、岸本加世子役の店員から言われる言葉は秀逸だった。
「万引き家族」・・★
樹木希林 「お見合い写真なので、美しく・・・」
岸本加世子「美しい方はより美しく、そうでない方はそれなりに・・・」は何度見ても可笑しかった。
そんな彼女が生前から言っていた言葉がある。
「人は必ず死ぬというのに長生きを叶える技術ばかりが進歩して、なんとまあ死に難い時代になったことでしょう。」
「日々是好日」(にちにちこれこうじつ)・・・★★★
更に続けて「死を疎むことなく、死を焦ることもなく。ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思うのです。人は死ねば宇宙の塵芥。せめて美しく輝く塵になりたい。それが私の最後の欲なのです」。
とんでもないロッカー亭主を捨てず支え続けた樹木希林は忍耐強いのか、奇人変人なのか分からない。
私も最後まで自分の意思を貫いた彼女を見習いたいと思うが、私は大した意思が無いので困る。
「運命は踊る」・・・★★
日本映画をあまり見ない私にしては珍しく、今年は5月に「モリのいる場所」、6月に「万引き家族」、10月に「日々是好日」と3本も樹木希林の出る映画を見た。
映画のストーリーも役柄も全く違うが、なかなか好演していたと感じた。
TVドラマや映画を見ると役者が演じているのに、「この人はそういう人なんだ」と勘違いしてしまうことがある。
それだけ役に入り込む俳優は凄いと思う。その中の1人が樹木希林だった。
「ブレス」・・・★★
ところで私の死生観であるが、恥ずかしながら、何も考えずにここまで来てしまった。ただいつも考えていることは、「ポックリ逝きたい」、「80歳くらいで充分」の2つである。
そして無駄な終末医療を受けたくないので、「日本尊厳死協会」に夫婦で加盟もしている。
更に言えば、大した目標も無く、ダラダラと毎日を過ごしている。
ただ「むしゃなび」の読者の期待に応えようと思い、最新都心情報を発信すべく、「死生観」ではなく「使命感」を持って毎日のように徘徊をしている。
「顔たち、ところどころ」・・・★★
私は自慢出来るような特技も無いし、世間でも無名だし、あまりズレた自己主張をすると、「単なるバカオヤジ」になってしまう。
ここが樹木希林とは大違いなのである。
自己主張をしたければ、やはり有名にならないと駄目だと分かった。
でも、私は有名人にはなりたくない。いつも誰かに見られているのは嫌なのである。
「バクシーを盗んだ男」・・・★
(おまけの話)
樹木希林が亡くなったすぐ後の話である。
朝起きてパソコンを開くと、マンションのカラオケ仲間(Xさん)からメールが届いていた。
「昨日、入浴中の事故により妻を亡くしました。つきましては、少なくとも2週間は、全ての予定をキャンセルさせて下さい。今は気が動転しています。出来たら皆様へ宜しくお願いします。悪しからず」とあった。
「判決、ふたつの希望」・・・★★★
このメールには驚いた。
私の知っている人だけでも、入浴中の事故死は4人を数える。
Xさんも彼の奥さんも私より若い。
自分より若い人が亡くなると、なんだかとても寂しくなる。
事故の原因は飲酒して風呂に入り、そのまま寝てしまい、溺れ死んだようだ。
「カメラを止めるな」・・・★★★
その後、Xさんに会った時に詳しい状況を聞いた。
すぐに奥さんを風呂からj引き上げて警察に連絡したら、救急車が来たが、その時は既に亡くなっていた。
それでも救急隊員は心臓マッサージなどをやり続けたそうだが、Xさんから「もう止めてくれ」と言ったのだそうだ。
どうやら残された家族の為に「出来る限りのことをしました」という態度表明なのかもしれない。
私は酒を飲まないから、このような事故は心配ないが、酒飲みは注意しましょう。
「散り椿」・・・★★★