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[2019.08.22]
■建築探偵の冒険 
 
ロサンゼルスに住む女房の従弟(Xさん)は建築家である。 
もう50年近くもアメリカに住み、多くのアメリカのスターの家の設計をした。 
 
今は悠々自適の生活だが、それでも建築から離れられないで、時々は仕事をしている。彼は日本の古い建物が大好きで、日本に来ると古い建物を探して徘徊している。 
 
「建築探偵の冒険」・・・★★★ 


そのXさんが私に面白い本を紹介して来た。 
タイトルが「建築探偵の冒険/東京編」という本で、1989年の初版である。中央区の図書館で検索したが無い。 
仕方ないのでAMAZONで調べたら、中古本が売られていたので購入した。 
 
店舗の2階部分(中央区新富町)・・・戸袋の模様に注目。 
 
 
著者は藤森照信という人で、その業界では有名な人らしいが、私は業界違いなので知らなかった。建築家が読めば面白いのだろうとは思ったが、あまり期待しないで読んだ。 
 
ところがこれが面白い。 
専門的なことを、素人風に書いているところが良い。 
しかも文章が漫談風である。 
建築の専門家に「ふざけないで!」と言われないか心配だ。 
 
鶏肉屋の2階(中央区築地)・・・戸袋模様は色々ある。 
 
 
この本は著者が友人と2人で、都内の面白い建物を探して歩き回った話で構成されている。 
特に私が気に入ったのが、「犬も歩けば、看板建築」という項目で、その中の文章を書き出してみる。 
 
「看板建築の1件は建築探偵の行きがけの駄賃から始まった。たいてい木造二階建て屋根裏部屋付きで、店の前面を衝立でおっ付けたようにノッペリと立て板状に作り・・・」 
 
店舗は閉鎖しているらしい(中央区築地)・・・かなり汚れた戸袋。 
 
 
「その立て板に金属板を貼ったり色モルタルを塗ったりして、色んな飾りを作り出している。それはセピア色をしたシーンだった」と書いている。 
 
ところどころに挿絵もあるので、書いてある意味が挿絵を見て分かる。 
これなら築地界隈にかなり残っていると気が付いた。 
 
雨樋のみ銅板製の店舗(中央区築地) 
 
 
そこでカメラを持って、著者と同じく看板建築を探す旅に出た。 
最初に見付けたのは、中央区役所近くの新富町2丁目にある緑青を吹いた家の壁である。 
 
昔はどこにでもあったような気がするが、都心で見ることは殆ど無い。 
これが残っているのは、幹線道路から少し外れた商店街である。 
 
1階は魚河岸系店舗(中央区築地)・・・1階は綺麗なので、家主は保存をしているようだ。 
 
 
このような建物は30年くらい前のバブル期に地上げに遭い、今はほとんど無くなってしまった。更に生き残った建物も、ここ数年のマンションブームや相続でまた無くなった。 
 
だから現在も残っている建物は、本当に希少価値がある。 
でもあと何年、頑張れるかなー? 
 
1階の店舗は閉鎖(中央区築地)・・・店舗は閉鎖で、住宅になっているようだ。銅板の模様が美しい。 
 
 
(おまけの話) 
築地は第二次世界大戦の時に、連合軍が東京占領後の自分達の利便を考えて、聖路加国際病院のある築地地区は空襲をしなかったと言われている。 
 
確かに築地界隈は空襲の難を逃れたので、古い建物がかなり残っている。多くは新しいオフィスビルやマンションになってしまっているが、ビルの谷間に看板建築が残っている。 
 
1階は店舗になっているので、上を見ないと分からない(築地場外市場) 
 
 
銅板を外壁に貼っている家は、殆どが商家である。 
一般家庭には、あまり見られない。 
現在は1階部分は改装されているので銅板は見られないが、2階以上には銅板が貼られている。 
 
戸袋に貼られた銅板は、色々な模様がある。 
大店だったらしい建物は凝った模様になっている。 
 
築地場外市場にはバラック様の建物が多く、歴史的な建物は少ない(築地場外市場) 
 
 
中には「撮影禁止」という張り紙を貼っている家もある。 
私のような興味本位の人に、プライバシーを侵害され続けて来たのだろう。(申し訳ない)。 
年をとると古いものが好きになる。そこにノスタルジーを感じるからだ。 
 
私は立ち止まってシゲシゲと見て写真を撮るが、誰もこの建物に興味を示さず通り過ぎて行く。 
「あとなん年、この建物は残るだろうか?」 
 
手の込んだ戸袋模様(築地場外市場) 
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心の伊達市民 第一号
心の伊達市民 第一号
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。 
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