■マンガの聖地「トキワ壮」を見に行く
高田馬場駅のガード下で手塚治虫の漫画の壁画を見て、私は急に思い立った。彼は若い頃に「トキワ荘」というアパートに住み、創作活動をしていたことは有名である。
そこで「トキワ荘がまだあるなら、見に行こう」と思ったのである。
自分でも自分の野次馬根性に呆れる時がある。でもこれがボケ防止になっている。
「マンガの聖地 トキワ荘」の矢印が地面に貼ってあった。
「手塚治虫は高田馬場」というイメージが定着しているが、実はトキワ壮はそこからかなり離れた椎名町にある。
若い有望な漫画家が手塚治虫を慕って集まったのが、豊島区椎名町5丁目にあったトキワ荘で、現在は椎名町は漫画による町興しに取り組んでいるようだ。
ネットで調べると記念碑などもあるようなので、写真を撮って来ようと思った。
南長崎花崎公園にある漫画家達の似顔絵の銅板。
「トキワ荘」のある場所は、私の家からは大江戸線で「落合南長崎駅」で降りると近い。駅を出て地上に出ると、そこは新目白通りだった。
新しく出来た道路に、新しく出来た駅だから商店街もなにも無い。
プリントして持参した地図を取り出し、どの方向か確認する。
すると駅の近くの道路上に、「トキワ荘」の方向が矢印で書かれて貼ってあった。
「トキワ荘」の縮小模型があった(南長崎花崎公園)
標識の矢印に従い、細い路地を進む。この辺りは狭い路地ばかりで、しかも道路が直線でなく斜めなので、どこへ出るか分からない。
しかも全くの住宅街である。
右に左にとクネクネと路地を曲がりながら進むと、少し広い道路に出た。広いと言っても、バスがやっと通れるくらいの一方通行の道路である。
漫画家たちが通ったラーメン屋「松葉」。
「ゆかりの地」ばかりの中で、この店だけは現存している。
ここがトキワ荘通りであると分かった。
通りを西に進むと南長崎花崎公園があり、そこに立派な記念碑が建っていた。
碑には「トキワ荘のヒーローたち」と書かれていて、そこにはトキワ荘に住んでいた10人の漫画家の漫画風の似顔絵が銅板に描かれている。
手塚治虫たちが通った頃の「松葉」のイラスト。
次に「トキワ荘周辺マップ」を参考に、トキワ荘通りを歩く。
この通りは元気が無い。漫画で町興しをしているのだろうが、シャッター通りで寂しい。
私の行った日は月曜日だったので定休日の店もあるのだろうが、それにしても寂しい。漫画家たちが通ったという町のラーメン屋「松葉」でランチの予定が、ここも定休日だった。
「トキワ荘」の模型が飾られている跡地は、日本加除出版?の所有地になっている。
その先の路地を左に入った場所がトキワ荘のあった場所だが、既に建物は解体されてしまい、いまは無い。その場所は「日本加除出版株式会社」となっているが、会社の正面右側に記念の碑とトキワ荘の小さなモデルが飾ってある。
その先に「トキワ荘お休み処」があったが、ここも定休日だった。
月曜日には「観光に行ってはいけない」と知ったのである。
「トキワ荘お休み処」は月曜日は定休日だった。
手塚治虫のいた頃は「八百屋」だった。
(おまけの話)
トキワ荘の跡地には「日本加除出版?」という会社があった。
社名の「加除ってなに?」と疑問に思ったので、ネットで調べてみた。
「加除」とは加えたり除外したりすることのようで、この加除式出版というのは加除式図書、戸籍、登記、住民基本台帳といった分野を中心に、実務書、専門六法、月刊誌などを扱う出版社だった。
特に法律が関係している図書の出版社だった。
西武池袋線「椎名町駅」にある大きな漫画の壁画。
漫画の聖地を売りにしているのは西武線の「椎名町」の方なので、そこまで歩いて行く。トキワ荘通りの端から歩いたので、15分は掛かった。
駅は高架になっていて、エレベーターで3階に上がる。
そこには大きな壁面いっぱいに、漫画のキャラクターが描かれている。
「天才バカボン」、「サイボーグ009」、「怪物くん」の壁画(椎名町駅)
椎名町駅近くにはトキワ荘に縁のある場所は無いので、またトキワ通りに戻る。持参した地図を頼りに、漫画に関係ある場所を探す。
この辺りは全くの住宅街なので、本当は漫画家たちに縁のある場所でも記念碑さえも無いところが多い。
そこに住んでいる人達にしてみれば、観光客がゾロゾロとやって来て家の中を覗き込まれたのでは迷惑なんだろう。それで記念碑を出させないのだろうと察した。
トキワ荘の住民達(トキワ通り)