■ベトナム(27)・・・日本語学校で教える
(2013年8月9日) 日本語を教えるのは難しい。
我々は日本人なので、あまり考えずに日本語を使っている。
だから、文法など殆ど知らないが、それでも日常生活で困ることは無い。ところが言葉を教えるとなると、どうしても文法が必要となる。
1クラスの生徒数は20~30人くらい。
この学校では「あいうえお」から教えている。
先生は大学の日本語学科を卒業した人と、日本へ研修生で行って3年間働き、その間に熱心に日本語を勉強して、「日本語能力試験のN2」以上の資格を取得した者だけである。
若い生徒ばかりで熱気があり、教室はクーラーが効かず暑い。
私はベトナム人先生の授業の時に、一緒に参加する。
そして前半の45分をベトナム人先生が受け持ち、私は後半を受け持つ。先生は「みんなの日本語」という教科書を使うが、私は自由課題である。
5Sの徹底(整理、整頓、清掃、清潔、躾)
前半の授業で問題のある時は、その後で私が修正する。
なにも問題が無ければ、私は色々な話をしてあげる。
ベトナムで旅行をした話などを面白ろ可笑しく話すと、生徒は大喜びである。
私の質問に答える時は、生徒は必ず立つ。
なによりも大事なのは、「日本人の話す日本語に慣れる」ということである。教科書に載っている日本語は文法を大事にしているので、正しい日本語である。
制服はポロシャツ。
『日本料理を食べたことある?』なんてのは登場しない。
『あなたは日本料理を食べたことがありますか?』となる。
これだと生徒は分かるが、普通の日本人の会話は分からないので困る。
でも、日本人はそんな正式な話し方はしない。
私はそれを教えるのである。
1年近く日本語学校に通うと、かなりの会話が出来るようになる。
それでも日本に行くと、しばらくは日本人の話す日本語が分からないそうである。
それに東京に行く生徒は少なく、広島県、石川県、愛知県、愛媛県、福岡県などが多いようなので、そこに更に方言が加わる。
本当に大変なことなのである。
でも、私達も中学・高校・大学と英語を習って来たが、会話が出来る人は殆どいない。それに比べると、ベトナム人は大したものだ。
みんな熱心に私の話を聞く。
(おまけの話)
日本語の授業の中に言葉の「しりとり」を入れてみた。
クラスを2つに分けて、A組とB組で競わせる。
これは大いに効果があった。
「しりとり」は日本語を楽しく覚えられる。
ベトナムには「しりとり」は無いようなので、最初のルール説明に苦労する。
生徒の言った言葉を、私は次々と黒板に書く。
発音が正しくないと、日本人の私に分からないから何度でも言わせる。
すると発音を覚える。ルールを覚える。教室が盛り上がる。
本来は名詞だけだが、彼らは言葉の数が少ないので形容詞もOKとする。そして「同じ言葉は駄目」、「(ん)で終る言葉は駄目」と説明する。
「しりとり」の回答を白板に書く。
先ずはA組で「あ」から始める。
「あめ」→「めがね」→「ねこ」→「こども」→「もり」→「りんご」→「ごはん」と進んで、そこで終った。
A組の生徒が「ごはん」と言ったら、B組の生徒達が「ダメー」と叫ぶ。こんなに授業が盛り上がったのは、初めてだ。
これはこの学校でも、正式に授業に取り入れても良いのではないかと自画自賛している。