■いわしが5万匹
暇人の私はテレビや新聞の影響を受け易い環境にいる。 いつも『何か面白いことはないかなー?』と思っているからだろう。
ある日の新聞に横浜の八景島シーパラダイスの水族館の展示が入れ替わり、『いわしを5万匹入れた水槽にサメやエイと一緒に泳ぐ姿が圧巻である』という記事と写真が出ていた。
私自身は群れるのは好きではないのだが、群れているものを見るのは好きだ。サンマの大群とか、鮭の大群は見たことがあるが、いわしは見たことがない。
そこで、あまり乗り気でない家族を誘ってすぐに出掛けてみた。
午後4時以降になると入場料の割引がある。
そこで、園内でぶらぶらしながら時間調整をする。
この辺りが現役時代では考えられない、引退後の大きく異なる態度である。
大きな水槽にいわしが群れて泳いでいる。
5万匹もいるという。
サメやエイも一緒に泳いでいる。アジもイカも泳いでいる。
回遊しているいわしの群れにサメが近付くと、その塊が大きく割れる。その中をサメは悠々と泳いで行く。
サメにとっては食べ切れないほどの餌がその辺を泳いでいるので、こんな幸せな場所はないだろうと思う。
時間が経つのも忘れて、いつまでも見惚れている。
こんなに心休まる場所はそうは無い。
1時間半ほど見続けてから水族館を出たが、他の小さな水槽の展示魚は興味が無くて、見なかった。
出口で係員のお姉さんに聞いてみた。『サメがイワシを食べちゃうので、いつも補給しているの?』。
その返事に驚いた。『サメはいわしを食べないんですよー』。ガックリ!
(おまけの話)
今回のシーパラダイスに家族が付いて来た理由のひとつに、『帰りに横浜中華街で中華料理を食べるよ』という私の提案があったことは間違いないと思っている。
私が結婚してしばらくは義父も元気だったので、よく中華街の名店である横浜大飯店に連れて行ってもらったことがある。
その頃はまだ中華料理は高級料理で、義父達と6人で行くと、支払いが新入社員の月給くらい掛かった覚えがある。
横浜中華街
今回、久し振りに行ってみて驚いた。
ここにも不況の波が押し寄せているのか、或いは中華街の魅力が薄れたのか、お客も少ないし、客引きまで出ている。
通りには中華まんじゅうを頬張りながら歩く若い男女も多い。更に驚いたのは、今では食べ放題の店がかなりある。あの頃は無かった。
しかも2200円くらい出せば、フカヒレスープの付いたコース料理が食べられる。
もう私の年齢では食べ放題は勘弁して欲しい。
若い頃に行っていた場所に久し振りに行くと、がっかりすることが多くなった。
いよいよ私の出番は無くなったなーと感じるこの頃である。