■風呂屋の鯉のぼり
夕方のテレビニュースの中の『ラッシャー板前の便利屋大将』というコーナーで、高円寺の風呂屋が高い煙突の上から沢山の鯉のぼりを泳がせていることを伝えていた。 高円寺なら私の家からそんなに遠くない。
なみのゆの鯉のぼり
その風呂屋は『なみのゆ』という。
JR中央線の高円寺駅北口から歩いて数分の場所にあるようだ。
高円寺駅北口は細い路地が縦横に走っていて、そこは商店街となっている。
駅前の商店街は「ねじめ正一」の出身の町で、彼が書いた『高円寺純情商店街』は直木賞を受賞し、それを記念して商店街の名前も変わった。
郊外型スーパーの出現で、駅前がシャッター通りとなっている時代に、ここは大変な賑わいである。
こんなに人通りの多い商店街を久し振りに見た。
高円寺純情商店街
その商店街を抜けて住宅地に入ると、その風呂屋の煙突が見える。
この町にはまだ風呂屋が3~4軒もあると聞いた。
家に風呂がある時代に、お互いにかなり厳しい競争をしているのだろう。
そんな競争の中でのアイディアが4月から5月にかけての鯉のぼりなのだ。
なみのゆの鯉のぼり
風も少し吹いていて、抜けるような快晴の空で、絶好の鯉のぼり日和に撮影をすることが出来た。天気が良くても風が無ければサマにならないし、風があっても雨や曇り空では鯉のぼりは似合わない。
ついでに風呂に入って行こうと思ったら、その日に限って午後6時からの営業だと案内板が出ていた。
鯉のぼりの撮影のお礼に、近い内に風呂に入りに行こうと思う。誰か私と一緒に行きませんかー?
(おまけの話)
私は生まれた時から家に風呂があった。
当時は家に風呂のある子供はそうはいなかったように覚えている。子供の頃は風呂は毎日入るのではなく、1日おきくらいに入っていたと思う。
いま考えると、多分、燃料費の節約の為だったのではないかと思う。
大人になってからは毎日風呂に入るようになった。
結婚してからのことだが、ある日、風呂釜の調子が悪く火がつかない。
そこで仕方なく女房と一緒に近所の風呂屋に行った。
硝子戸を開けると、知り合いの酒屋の御用聞きの兄ちゃんが湯船に浸かっていて、こちらを見て手を挙げて挨拶をした。風呂に大勢で入る経験が無かったので、なんだか凄く恥ずかしかった。
でも、その時の広い湯船に入る気持ち良さを経験してからは、時々、銭湯に行くようになった。
その経験が今の温泉好きとなり、秘湯研究会の会長をするようになった遠因なのかもしれない。