■昨年の米はなぜ美味しかったのか?
ある日の11時頃である。 久し振りの雨で、コテージでゆっくりと過ごしていたら、そこへTさんから電話が掛かって来た。
『あと15分で農業改良普及センターの職員が田圃の指導に来てくれるので、イコロ農園に来て欲しい』という内容だった。
ひえ取りが終った田圃
私がすぐに駆け付けると、暫くしてやって来た指導員は長靴で田圃に入りなにやら調べている。
指導員の指摘は『田圃一面を覆っている青苔は、土壌剥離と有機物の腐敗から発生している。それが水面を覆うと太陽の光を遮り、水温が上がらない。これは薬で除去した方が良い』。また、『田圃に入って来る水が非常に少ないのも、苔の発生の原因であろう』というのが結論であった。
ただ、イコロ農園では「ほたる」を育てていて、時期になると、それを一般公開するので、薬の影響でほたるが死ぬと困る。
指導員は後でほたるへの影響を調べて、連絡をくれることになった。
昨年のイコロ農園で採れた米は非常に美味しかった。
その前の年の米は不味かった。
でも、どちらも同じ『ななつぼし』であった。
なぜ昨年の米が美味しかったのか、その理由が分からないのが困る。
だから、いま出来ることはなんでもしておこうと考えている。
でも、今年は水が少ない影響か、青苔が多過ぎるので心配だ。
(おまけの話)
『これからの世界は水の争いになる』というのを新聞で見た覚えがある。
東京では、知らず知らずの内に、飲み水を買うような生活になっている。わが家には、いつもペット・ボトルに入った水が買い置きされている。
我が家にホームステイしていたエジプトからの留学生の招きで、エジプトに女房とツタンカーメンを見に行ったことがある。その時に、ナイル川をクルーズしたが、川を挟んで両側はわずかに緑があるだけで、その先は灼熱の砂漠が延々と続いていた。
あまりの暑さにクラクラとする。『これじゃー、アラーの神でも信じなければ、生きていけない』と、分かった。
イコロ農園の近くで
留学生は『生水は絶対に飲まないように。また、ホテルの冷蔵庫にあるペットボトルの水は、栓が開けられた様子がないか確認して下さい』と言った。
これはアジアでも同じで、発展途上国では必ず確認の必要がある。
それに比べて、北海道は美味しい水がどこでもふんだんに湧き出ている。
特にイコロ農園が引いている湧き水は美味しい。
こんな美味しい水を飲めるだけでも、北海道の人達は幸せなのである。