■ひきこもる
世の中では『ひきこもり』が問題になっている。 『ひきこもる』理由は人により色々とあるだろうと思うが、両親にとっては心配なことである。
普段は出掛けるのが好きな私が珍しくひきもった。
なんの為かというと、仏像を彫る為である。
伊達から戻って来て、すぐに仏像教室に行った。
阿修羅本体のみ
最近は先生も私の我儘を聞き入れてくれて、実力に見合わないのだが、私の希望の阿修羅像を彫ることを許可してくれた。
9月4日に教室に行き阿修羅像の教材をもらって、それから毎日のように家で彫っていた。
阿修羅像(台座付きまで)
特に女房が海外旅行に行っている9日間は、ゴミ出し、新聞取り、1回だけの食事用の買い物以外は全く玄関から外に出なかった。そして、ひきもってみて初めて分かった。
『ひきこもる』というのは本人にとっては結構、快適なのである。自室にひきこもり、自分の好きなことだけをする。
こんないいことは無い。
阿修羅像(第二手まで)
時々、来る宅急便や電話などは迷惑になって来る。
こうして世間から忘れられてしまい、それがまた快適になるのであるから始末が悪い。
私の場合は女房が海外旅行から戻って来て、やっと現実に引き戻されたが、なかなかここから脱出するのは難しそうだ。
阿修羅像の完成
(おまけの話)
国宝の阿修羅像は奈良の興福寺に安置してある。
今年の4月に上野の国立博物館で開催された『阿修羅展』を見に行ってからその魅力に取り憑かれ、阿修羅を彫りたくなった。
そこで先生にお願いしたら、『まー、いいだろう』ということになった。
そして、そこから家に籠って彫り続けた。
段々と形が見えて来ると、その先へ行きたくなる。
時間を忘れて深夜になることもある。
朝起きるとまた彫る。テレビなどは見ない。
阿修羅像背面
彫り始めた時は、『これは私の腕では無理かも?』と思っていたのが、なんとか完成することが出来た。
嬉しさのあまり写真を撮った。
これを秋の仏像展に出品する予定でいる。
彫る精神と時間だけなら、私はもう仏師の仲間入りが出来ているかもしれない。
東京・小金井から