■寒い夜はスンドゥブで
寒くなると鍋ものが恋しくなる。 私は鍋ものの中では『湯豆腐』が好きである。
寄せ鍋、すき焼き、シャブシャブも捨て難いが、味が優しく感じられる湯豆腐がやはり一番だ。
我が家の湯豆腐は鍋の中に野菜、魚介類、豚肉を入れる。最後にオジヤにして食べるのが、また格別に美味しい。
女房と娘に誘われて一緒にスンデゥブを食べに、六本木ヒルズの中にある専門店の『東京純豆腐』に行った。
東京純豆腐店
スンデゥブとは、分かり易く言えば『韓国の湯豆腐』である。当然であるが、韓国風となれば日本の湯豆腐とは違い唐辛子が一杯入っている。見た目からして、スープが赤い。
私は牡蠣入り、味噌味のホットを注文した。
自分の好みの辛さを選べるのである。
辛さは6段階あり、ホットは下から3番目であるが、隣の若者はウルトラという最上階を注文していた。
スンデゥブ
しばらくして石鍋にグラグラと煮立って出て来たスンデゥブは、出汁が利いていて美味しい。それに白飯がよく合う。
体が温まったので、寒風の中をライトアップを見物しながら戻った。
鍋を食べると、なぜか家族が一体となったような気がする。
六本木ヒルズのイルミネーション
(おまけの話)
私が初めて韓国を訪問したのは、今から35年ほど前のことである。その頃は朴大統領が実権を握っていて、厳戒令が敷かれていた。
仕事を終えて、一緒に行った代理店の男と南大門市場に行ってみた。
それは2月の一番寒い頃だと思うが、市場の奥の食堂では市民が鍋ものを食べていた。
私達も寒くて仕方ないので、その店に入った。
その頃はまだ日本人観光客は来ない時代だったので、日本語がまるで通じない。対日感情の悪い時代だったので、日本語を喋りたくないのかもしれなかった。
そこで、隣のオヤジが食べている鍋を指差して、日本語で『これ!』と言った。
すると店のオバサンが何か言うのだが、まるで分からない。
オバサンは諦めて奥に引っ込み、暫くして鍋を持って来た。その時に食べたのが、いま思えばスンデゥブであった。
多分、オバサンは『具は何にするの?』と聞いたのだと思う。