■阿吽(あうん)の仁王像
私が仏像彫刻を始めて6年が経過した。 その間に彫った仏像は、約50体くらいだと思う。
教室の教材以外に、自分流で仏像のミニ版や、木の枝に素彫りしたものや、我が家の愛ネコ『ラーちゃん』まで彫った。
それでも、私は早いだけが取り柄で、なかなか技術が伴わない。
女房はお愛想で、『随分と上手になったわねー』と言うが、私は自分のことは自分が一番良く分かっている。
教室のある成願寺
インドから戻って、取り掛かったのが仁王像の『吽(うん)』である。これは今までで一番難しいと感じた。
遅れを取り戻そうと、一気に彫ったのがいけなかった。
なんだかバランスが悪いのである。
先生に手直しをしてもらうと同時に、次の『阿』の教材をもらった。
仁王像(吽形)
家に帰ってから、また一気に彫り進んだが、また行き詰った。更に進めると、もう取り返しが付かないので、残念だがそこで止めにする。
成願寺のお賽銭箱
しばらく後の暖かい4月のある日に仏像彫刻教室に行った。場所はいつもの中野坂上の成願寺(じょうがんじ)である。
私の仏像彫刻は桜の花に似て、一気に咲いて、アッと言う間に散ってしまうように、一気に彫って、アッと言う間に完成する。これは決して褒められたことではないのである。
仁王像(阿形)
(おまけの話)
『アウンの呼吸』という言葉は以前からよく聞くし、自分でも使った覚えがある。なんとなくニュアンスは分かっていたが、正確には知らないで使っていたのである。
こういうことは今までにもよくあった。
こういう類の熟語は、割合に中国の古典から取ったものが多い。
そこで、『アウン』である。
仁王像2体(阿吽)
これは漢字で書くと、『阿吽』となる。
これは仏教の呪文の1つだそうである。
『阿(あ)』は最初の言葉、『吽(うん)』は最後の言葉で、阿は口を開けて、吽は口を閉じる。
そこから発生して阿吽は対となっているので、お寺の山門などに左右に仁王像が置かれるようになった。
仁王像は右側が口を開いた阿で、左側が口を閉じた吽である。
次の機会に、お寺に行った時には確認してみよう。
(仏像プチ教養講座でした)