■ホラーな日々。
病院では、外界ではあまり起きないような出来事に日々出会います。 この場でご紹介したいような素敵な話から、絶対書けない話までイロイロです。
今から書く話は、実際に起こったギリギリ書ける話(たぶん)
結構怖いよ~!!
この部屋は男女トイレのすぐ近くです。
トイレ絡みの怪奇現象は、病院ではよく聞きます・・・。
一つ目。
朝食後の8:30、短い時間差で次々に鳴り出したナースコールは止まらない。
それにせき立てられるように走り回る看護師。
少ないトイレは直ぐに一杯になる。
トイレの中からは、唸り声・励ましの声・怒りに近い指導の声・賞賛の声・感謝の声が聞こえてくる。
時には絶叫の患&看。
廊下からは、励ましながら我慢を促す声が響き渡る。
そんな時、うっかり廊下に出てしまった。
患看共に、順番を死守する必死な形相で殺気立っている…。
しまった…。
私はそこを急いで通り抜け、1Fの外来用トイレへ直行した。
ついでにもう一つトイレ絡み。
夜中にトイレで目を覚まし、半分しか開かない目で廊下へ出た私。
ふと下を見たら、トイレからずっと廊下に血のラインが続いている。
ギョッとして目は全開になった。
すっかり覚めた目でよくよく見れば、赤いビニールテープでトイレからある部屋までラインが引いてあるのだった。
あとで聞けば、トイレへ行く度に部屋を間違える患者のための道案内だった。
二つ目。
これは本気で怖い…。
ぐっすり眠っていた晩、右足に何かが動く感触を得て目が覚めた。
ぼんやりとベッド脇を見ると、何者かがそこに立っている。
ハッとして、暗闇の中で目を凝らした。
看護師ではない。
病衣を着ているようだ。
その者は一瞬私と目を合わせたが、気にも留めず、再び腰を屈めて私の右足を撫で始めた。
恐怖よりもあっけに取られて、数十秒されるがままにしていた。
するとその者は、「この足だけ布団から出てたら寒いでしょう。」と言った。
その声で女性だと分かった。
その瞬間恐怖に変わった。
私は体を強張らせたまま「大丈夫です。暑くて掛けなかったんです。」と答えた。
すると彼女は、「そう?」と残念そうに言って出て行った。
心臓の鼓動が早まるのを感じながら、彼女の行方を目で追った。
窓側の方へ歩いて行ったので、奥のベッドの患者さんか…と安堵した。
けれども違った。
その正体は未だに分からない。
三つ目。
二つ目の話しをPTに話した。
すると、以前、患者さんからこんな話しを聞いたと話しをしてくれた。
夜中に何かの気配を感じて目が覚めた。
ふと足元に目をやると、年老いたご婦人が、一人ベッドの隅に腰掛けていた。
驚いたが身動きが出来ない。
そのご婦人は、自分と添い寝の体勢に入っている。
ようやく状況を飲み込めたので、静かに言った。
『お部屋間違えていますよ。』
四つ目。
洗面所に半日置かれた総入れ歯。
あれだけあると結構怖い。
口主は、喋るのも不自由でしょうに…。
まだまだあるけど書けるのはこのくらい。
ホラーな日々とももうじきお別れ。
ちょっぴり寂しい。
運よく生きていれば、30年後の自分もこれらのお話しの主人公になれるかも(笑!・・・えない。)