Rietty
夢を幻で終わらせない 自家焙煎「かのうち珈琲」的 夢の形
白老町北吉原の「かのうち珈琲」オーナー 鹿野内賢士さんを訪ねました。
遠軽ご出身で伊達に在住の方が白老町にお店を出したのは、「両親がここに土地を持っていたから。」
なのだそうです。
「かのうち珈琲」がオープンしたのは今年の9月22日のこと。
まだ出来て2ヶ月も経たないお店です。
白老町ゆうかり団地の住宅街に突如現れる「かのうち珈琲」は、隠れ家というよりはあまりにも唐突な現れ方で(失礼)そこにあります。
正直 「え!? ここ!?」と車の中で声を上げてしまったほどでした ^^;
ところで、このベレー帽を被ったブタさんと、オーナーさんのお名前でピンと来た方はいらっしゃいますか?
はい! 正解です♡
実は、鹿野内さんは先日ご紹介いたしました「intime time アンティムティム」のオーナー浩子さんの旦那様なのでした。
「かのうち珈琲」の店舗はユニットハウスを2棟ジョイントして作られており、電気と水道以外の内装外装や棚などは全て、半年間をかけてご自身で作られたそうです。
↑長居したくなる座り心地の良い椅子。
↑壁をポンと叩くと灯りが点きます。
「元々大工仕事が得意だったわけではないので、妻には無理だと思われていました。」
と笑いながら話す鹿野内さん。
これは、一度ハマるととことん頑張るタイプとお見受けしました。
筆者から拝見する限りは、オホーツクサイクリング仲間だった頃から「とにかく優しい方」という印象でした。
定年すこし前に福祉関係のお仕事を辞められたのですが、それより以前から、夢を形にするための準備を少しずつ始めていらしたのだそうです。
元々珈琲好きだったこともあり、札幌単身赴任中に、200gまでを焙煎できる「テストロースター」を購入し独学で焙煎の勉強を始めていました。
これにはかなりハマって日々研究をされていたそうです。
ほらね、やっぱり…ハマるととことん凝るタイプ ^^
↑札幌単身赴任中に手に入れたテストロースター。
「昔からただ漠然と喫茶店をやりたいなあ・・・とは思っていましたが、正直接客には自信がありませんでした…。」
と語り始めた鹿野内さん。
「長年、人と寄り添う福祉の仕事をしていたので、利用者さんたちからたくさんのことを学ばせていただきました。 ですから人はもちろん大好きです。でも営業的に接客をするのは自分にはあまりイメージできなかったし得意な方ではないと思っていました。 だから珈琲焙煎専門店にして、豆だけを売ろうと考えていたのです。 でも、せっかくならば自分が焙煎して挽いて落とした珈琲を目の前で飲んでいただきたいなあ…。と思い始めました。」
↑じっくりと丁寧に淹れてくださいます。
と、照れ臭そうに話してくださいました。
けれども、そんな心配は無用でした。
早くもリピーターさんが多くいらっしゃり、地域住民の皆様にも好意を持っていただいていらっしゃる様です。
「夜遅くまで焙煎をしていると、伊達への帰りを心配してくださり “ 泊まっていきなさい “とか、“ 風呂に入っていきなさい “とか言っていただくのです。 でも店をオープンする前は、伊達から来るならきっと野菜の直売所だね!という噂が広まってしまっていて ^^; ドアを開けたら珈琲ショップだったので驚かれたこともありました。」
↑珈琲は、アンティムティムさんでも購入できます。
これってきっと、鹿野内さんの優しく気さくなお人柄に惹かれたご近所さんたちが、何か世話を焼きたくなったり、顔を見に行きたくなってしまうということなのだと思います。
↑立派なプレーヤー。近々ジャズをかけたいと思っていらっしゃるそうです。
「そういえば先日、テレワークの場として営業をしませんか?というお誘いを受けました。でも…お断りしました。 ここではゆっくりと日頃の疲れを癒して欲しいと思っているので、ここで仕事はしてほしくなかったのです。」
鹿野内さんらしいなあと、とても納得しました。
でも、焙煎への頑固なこだわりはしっかりとお持ちでした。
「毎日2kg~4kgの豆を焙煎しますが、ピッキングだけは絶対に手を抜きたくないと思っていますし、 それを店の持ち味にしたいと思っています。」
この言葉も激しく納得。
珈琲の袋を開けた時、変な豆が一粒でも入っていると本当にガッカリします。
筆者もカフェを営んでいたので、「丁寧にピッキングしていること」は焙煎所選びとして絶対に譲れないことでもありました。
↑Kブレンドをいただきました。ドミニカベースで香りも豊か、本当においしかった〜!
↑ケーキは浩子さんが作っていらっしゃいます。お互いの夢を支え合う素敵なご夫婦です。
鹿野内さんが焙煎し淹れてくださった珈琲は、すごくクリアで雑味をまったく感じない本当に美味しいものでした。
量もたっぷりで160cc~170ccは入っています。
一杯を仕上げるため、丁寧に丁寧に珈琲豆を扱っていらっしゃることが、とてもよく分かる味でした。
またこんなお話もしてくださいました。
「仕事としての福祉への未練は全くありません。でもライフワークとしてはずっと関わっていきたいと思っています。要支援者は、障害者やご高齢の方だけでなく、例えば刑務所に入所していた方が社会復帰するときなども支援を要します。保護士としては現在も引き続いて活動していますので、将来はボランティアとして要支援者の皆様に珈琲を淹れて差し上げたいとも考えています。 私がお付き合いをさせていただいた利用者さんたちは、珈琲が大好きなんです!」
長年勤めた仕事を退職し、珈琲焙煎&喫茶店をオープンさせたことのまだ先に、鹿野内さんの夢は続いていたのでした。
「かのうち珈琲」的 夢の形は、分け隔たりなく多様な人々が癒されるように珈琲で橋渡しをすることだと気付きました。
壮大な夢にも思えますが、きっと鹿野内さんならばコツコツと一歩ずつ近づいていかれることと思います。
取材を終え外に出ると、昼間だというのに今にも大雨を降らせそうな空は黒くなっていました。
でも、暖かく周りを照らす太陽のような鹿野内さんとお話をさせていただいた筆者の心はポカポカでした。
住所 〒059-0923 北海道白老郡白老町北吉原661-337 ゆうかり団地
編集部のライターとして月に2~3回ほど、皆様のお目にかかることになりましたRiettyです。
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