■改めて健康のありがたさを実感しました。
忘れもしない2月29日。 母の顔が突然歪んでしまいました。
病名「右顔面神経麻痺」。
実は29日の夜の便で母と二人、父の7回忌の法要のために東京の神楽坂へ飛ぶはずでした。
けれどもドクターストップがかかり、飛行機もホテルも全てキャンセルし、私たちの代わりは娘と息子に務めてもらうことになったのです。
この日から、母の約3か月に渡る辛く悲しい日々が始まりました。
「生活スタイルは今までと変えず、店にも出て人と接していた方がいい。」という医師の勧めで、駄菓子ルームの仕事も休まず続けていた母。
別人のように変わってしまった顔で、必死に笑顔を作ろうとする母。
吊り上ってしまった口は大きなマスクで隠したものの、思うようにしゃべれない…。
子供たちにも大人にも、心配したお客様から事情を聞かれ、その度に上手く回らない口で正直に説明をする母。
有り難いことに、お客様はそんな母に同情して励ましてくださいました。
それでも、その姿が可愛そうで可愛そうで…。
私が同じ状況に遭ったなら、きっと店に立つ勇気はなかったと思います。
医師から勧められたとはいえ、気丈に接客をする母を心から尊敬しました。
プロ意識とでもいうのでしょうか…?
けれども、お客様がいない時は部屋で常に鏡を見ながら泣く母。
74歳とはいえ女性なのです。
到底自分の顔とは認めたくない顔を嘆き、悲しくてしょうがないのです。
「二か月で治ると言われたのだから大丈夫よ。」
「どんな顔になってもお母さんはお母さん。何も心配いらないから。」
「鏡ばかり見てないで、暇な時はテレビを見たり旅行雑誌でも見ていたら?」
けれども、どんな言葉も母には届かず、どんどん落ち込むばかりでした。
なんとか二か月を乗り切ったのですが、二ヶ月目の母の顔は元通りではありませんでした。
だんだん焦りが出てくる母、私も不安になってきました。
「もうほとんど元に戻ったじゃない!」
本当はそうは思っていなかったのですが、それ以外にもう母を励ます言葉が見つかりませんでした。
そうこうする内、今度は極度の不安から胃炎になってしまったのです。
胃カメラで撮った写真には、赤くただれた胃の壁が写っていました。
少しでも何かを口にすると、具合が悪くなりうずくまってしまいます。
5月半ばの夜中に二度、救急外来に走りました。
いただいた薬もまったく効き目がありませんでした。
そして次は腸が痛いと…。
ついに、大腸の検査もすることになりました。
これがとても辛い検査らしく、一週間前に予約をしてから当日までの7日間がまたストレスの日々となってしまったのです。
5月20日検査当日。
母も私もお互い口には出さなくても、「何か悪い結果が出るんじゃないか…?」という不安で一杯でした。
この日は「れん」を17時閉店にして、病院まで迎えに行くことになっていました。
ところが・・・。
15時半頃、一人ひょっこり母が帰ってきたのです。
「どうしたの!?」
「もう終わった。」
「それでどうだったの!?」
「なんともないって。」
「え?なんともないって、どこもなんともないってこと!?」
「そう。」
そう言うなり、駄菓子ルームに入ってきたお客様の接客を始める母。
私は安堵感とともに脱力感で、全身の力が抜けてしまいました。
「よかった…。本当に良かった…。」
その晩、ニコニコ夕食を食べた母。
「食べても痛くないの?」
「そう言えば、ぜんぜん痛くないわね。」
昨日まで、一口何か食べただけでうずくまっていた母は、そこにはもういませんでした。
右顔面神経麻痺発症から3か月。
悪夢のような時期を乗り越えた母は、「大腸検査異常無し」のお墨付きをいただいたと同時に、全ての症状から解放されたのです。
「病は気から」
私はそれを目の当たりに見せてもらいました。
「もう元には戻らないのではないか・・・。」
そう思い、ひどく悲観して卑屈になっていたこともありました。
でも「それではいけない。」と思い直し、「絶対に治してみせる。」という強い意志を持ったこと、そして強い運に恵まれたことが病を治したのでしょう。
母の顔は元の八重ちゃんの顔に戻りました。
ところで私のこと。
同時期にいくつかの心労が重なった私は、母の回復にホッとし、すっかり「気」が緩んでしまいました。
で・・・、今度は私が風邪を引いて熱を出してしまいました。
「気」は、張り過ぎても緩み過ぎてもよくないようです。
初めてエントリーして楽しみにしていた「JAL千歳国際マラソン」も残念ながらパスしてしまいました。
「病は気から」
お返しのように、今度は母にその姿を見せてしまいました。
健康であるということは、素晴らしいことですね。
今月は二人元気にスタートしましたよ♪
PS.この話題は、3月の初めに「ブログには書かないでね」と母に言われていたことでした。
でも、たくさんの方々にご心配をいただいたので、お礼とご報告をかねて書きました。
74歳のおばあちゃんでも、気合いで元気を取り戻せる!
そのことが、最近なんだか元気がなくなっている方の、少しでも励みになれば幸いです。
皆様、母に色々と優しくしてくださって、本当にどうもありがとうございました♪