■雨空に、一瞬の夏花を見た。
今年の夏は一体・・・? 雨ばかりの憂鬱な日々。
それは、だれもが感じていること。
もうすぐ八月。
北海道の、ただでさえ短い夏を楽しませてもくれないうちに、秋は気忙しくやって来るのかもしれない。
小樽運河沿いの道を歩く。
ぼんやり灯ったガス燈は、黄昏時の寂しさを一層間違いないものにした。
せめて振りだけでもと夏祭り。
小樽埠頭の潮祭り。
雨空に、名ばかり真夏の夜の花。
少しだけ、ほんの一瞬の夏を感じたくて、雨の中、霧さえかかる空に大輪の花を見た。
40分間。
うたかたの夏の時。
爆音が鳴り響く。
爆音が鳴り終わる。
寂しさを決定的にする祭りの後。
傘の花が散り散りになる。
もう夏は来ることなく去って行くのだろうか・・・。