■この人に会ってみたかった。
山崎豊子さん作『沈まぬ太陽』。 全5巻からなる原作は読んだことがありませんが、先日公開された 渡辺謙さん主役の映画『沈まぬ太陽』を観てきました。
昨年、ある方からあるお話を聞いてから、『沈まぬ太陽』の主人公 ”恩地元”のモデルと言われる ”小倉寛太郎”氏に興味を持ちました。
その『ある方のあるお話』の話。
昨年、映画『クライマーズ・ハイ』を観ました。
『クライマーズ・ハイ』は、1985年に起きた大惨事”日航123便墜落事故”を地元新聞記者たちの視点で描いた横山秀夫氏原作の映画です。
一方『沈まぬ太陽』は、同じ”日航123便墜落事故”題材に、事故を引き起こした日航の関係者の人間模様を、”恩地元”をいう一人の男性社員を中心に描きながら、「信念を貫く」とはどういうことか?という問いかけと共に、生命の尊さを訴えた山崎豊子さん原作の映画でした。
『クライマーズ・ハイ』を観た直後に、テレマークの大先輩である長野のUさんと、この映画についての感想などをお話をしていた時のことでした。
Uさんは、昔、タンザニアのキリマンジャロに登りに行った際、ケニアのナイロビで”恩地元”のモデルである小倉氏に大変親切にしていただいた時のことをいろいろ話してくださいました。
小倉氏は偶然にも、Uさんが所属していた山岳会の先輩だったそうです。
Uさんは、小倉氏のことを「本当に優しくて、本当に温かい人。」と表現されていました。
その時のUさんのお顔と語調から、『真』の方なのだろうなあ・・・と思い、とてもお会いしてみたくなりました。
けれども残念なことに他界されているので、いつか『沈まぬ太陽』全5巻を読もうと思いました。
そして今回の映画の公開。
もちろん観に行きました。
主人公 恩地元の、何ものにも屈することなく信念を貫き通す強い精神力と優しさと真っ直ぐさに心を打たれました。
魂を揺さぶられるようなシーンが幾度もありました。
幾度となく涙が溢れました。
全く期待を裏切らないものでした。
もう一度観たいと思いました。
さて、小倉氏が生前に母校である東京大学の講演会で話をした時の記録を見つけました。
http://minseikomabahongo.web.fc2.com/kikaku/99ogura.html
その中で、とても印象的だった一節を記したいと思います。
[自然における人類の位置]
地球にやさしい、環境に優しいという言葉は人間の思い上がりなんです。地球に従順な、環境に従順なということをいわなければいけないと思うんです。
自然保護と称しているのは、私許せません。保護というのは力の優位にあるものが、劣位にあるものに対して使う言葉です。自然保護をするほどそんなに人類は偉いのか。その自然保護という言葉自体が人類の大きな思い上がりだと思います。
[必要なこと]
必要なのは、冷静な頭脳と温かい心です。
映画の中の恩地元と、Uさんが話してくださった小倉氏のお話を重ね合わせ、東大の講演会でのお話に嘘はない、そう思いました。
1985年の日航123便墜落事故。
決して忘れることのない年。
娘の生まれた年でした。
映画の中で亡くなってしまった赤ちゃん、娘が丁度あの位の月齢の頃の大惨事でした。
最後になりましたが、この事故で亡くなった520名の乗員・乗客の方々のご冥福と、生存された4名の方々のご多幸を心よりお祈り申し上げます。