■修学旅行スキー学習第十四弾~吹雪の中、遅咲きのサクラサク!
ここ数年、ウインターシーズン修学旅行の締めくくりの学校は、兵庫県からのK高校男子生徒の皆さんです。 こちらの学校はクリスチャン系なので、開校式の際は毎回お祈りがあります。
ですから、厳かな雰囲気の中で始まりました…と言いたいところですが、なんせスポーツが盛んな男子校!みんなやんちゃな男の子達です。
「アーメン」が「オゥーッス!」に聞こえた気がするくらい、元気にレッスンがスタートしたのです。
さて、我が16班の蓋を開けると…、何故かみんな怖がり屋さん。
体力・脚力・バランス力は、十分兼ね備えているのに、恐怖感が先立って、ほとんどの生徒さんがなかなか思うように滑れませんでした。
気持ちの壁さえ克服できれば、みんな良いものを持っているのに…。
あいにく、天候の悪さやゲレンデコンディションの悪さも手伝い、凹み始める生徒さんも出て来てしまい、私としても歯がゆい二日間が、あっという間に過ぎて
しまいました。
あー…もう最終日、ここまで来たら、安全に楽しく終わるしかないかな…と、あまり上達をさせてあげられなかったことを悔いつつ、「最後は楽しませてあげよう!」と、気楽に構えることにしたのです。
すると…ヤッター!
最終日にして、ようやく皆が変身してくれました!
圧雪が間に合わず、モサモサした深雪の中を滑る姿は、足を取られて転んだとしても、それはもう前日までの皆ではありませんでした。
私は皆の滑りを見て、これなら中級班にも追いつける!と、確信をしました。
さあそれでは、そんな遅咲きの桜君達をご紹介しますね♪
I.K君。サッカー部所属です。
K高校は、サッカー強豪校。
そして彼は、今シーズン一位の転び王!
だから、いつか怪我をするのではないかと、とても心配で、常に目が離せませんでした。
サッカー部は上達度が早い!という伝説が、残念ながらここに来て崩れるかと思いきや…、最終日には゛やっぱりサッカー部!゛という脚の使い方でいい滑りを
見せてくれました。
ホッと安心した瞬間でした。
O.H君。野球部所属です。
スコアラーとキャッチャーをこなす彼は、きっと信頼も厚いのでしょう。
閉校式のお祈りの時、ただ一人、きちんと黙祷をしていたね。
感心しました。
滑りは、一本ごとに着実に上手くなっていきました。
神様は見ていらしたのでしょう。
K.J君。彼も野球部所属です。
爽やかで精悍な野球青年の雰囲気そのままの彼でしたが、怖がり屋さん特有の、両膝をつけた小鹿ちゃんスタイルがなかなか直りませんでした。
こればかりは、体の使い方というよりも、気持ちの問題なのです。
けれども二日目午後、一変して親鹿になりました。
誰が滑ってきたのか分からない程に、突如軽やかな滑りを見せてくれたのです。
スキーって、ほんの数分後に突然開眼することがあるのです。
K.T君。初日から「ムリだムリだ」を連発する彼でした。
この言葉を口にする生徒さんは、毎回必ず一人はいます。
けれども、私は「絶対ムリ!」という言葉を聞くと、「絶対楽しく滑れるようにしてあげちゃう!」と、闘志が沸いてきます。
そして最終日、楽しそうに滑る彼を確かに見ました。
S.T君。長身の彼は、バスケ部の花形です。大会ではMVPを取得する程!
けれども今回は、階段登行という初心者にとって一番キツイ所を経験したのみで、急病のため欠席してしまいました。
一本位滑らせてあげたかったな…。
バスケの話も聞きたかったし…とても残念。
T.D君。元、柔道部という噂を聞いたのですが、結局確認が出来ませんでした。
いつでもマイペースでおっとり滑っていた彼でしたが、先頭を滑ってからは、どんどん上手くなっていきました。
最終日には逞しい滑りに変わってたね。
T.K君。硬式テニス部所属です。
どのスポーツなんでもそうだと思いますが、デモンストレーションを見て、すぐに真似のできるタイプと、理論から入るタイプがあります。
どうも、彼は後者タイプに見受けられ、常に自分の滑りを分析しながら、滑っているように見えました。
私から見れば、安全で安定した滑りは、とても安心して見ていられるものでしたよ。
T.M君。落…じゃなくて野球部のエースです。
”右のT”と呼ばれ、野球青年のピッチャーとして、業界では有名人!
今回、T君と一番話しをしたかもしれません。
何しろ、ボソッとしゃべる彼の間合いがほんと面白く、ゴンドラやリフトの中では随分楽しませてもらいました。
滑りは、しっかりとスピードコントロールされた安定した滑りでしたね。
T.M君。彼もまた野球部属です。
いかにもスポーツマン!といった雰囲気の彼は、初めからセンスの良さを見せてくれました。
レッスンに臨む姿も常に前向きで素直。
だからメキメキ上手くなりました。
とても軽快な素晴らしい滑りでした。
T.K君。元サッカー部の彼は、やはり器用に足を使いこなしていました。
「すごく上手くなりたい!」と語った彼は、初めからとてもやる気満々でした。
大勢のレッスンの中では、なかなかレベルアップさせてあげられませんでしたが、最終日に「一級を取りたい」と言ったこと、希望が叶うように、私も遠くから
応援したいと思います。
N.Y君。終始おとなしく目立たないながらも、私のアドバイスは真剣に聞いてくれる彼でした。
あまり話すチャンスがなかったのが、とても心残りでしたが、ゆっくりと確実に上手くなっていったのは、ちゃんと見ていましたよ。
最終日には、危なげない滑りに変身していたね。
N.T君。元、バレー部のエースです。
もともと運動神経の良い彼でしたか、目の前の板をなかなか思うように扱えず、だいぶ歯がゆい思いをしたことと思います。
やんちゃ坊主がそのまま大きくなったような、目の離せない彼でしたが、二日半、本当に良く我慢して頑張り、根性のあるところを見せてくれました。
最終日午後には、本来の運動センスを取り戻し、軽やかな滑りを見せてくれました。
以上12名の皆さんは、自分が開く時期をじっと待っていた遅咲きの桜のごとく、まさに優秀の美を飾るように、今シーズン最後の修学旅行を締めくくってくれました。
彼らが、日常の学校生活に戻っても、何ごとも諦めることなく、我慢強く頑張って欲しいと、心から願いながら、私は閉校式を後にしました。
これで、今シーズンの修学旅行スキー学習は終了しました。
後は、一般レッスンを残すのみです。
残り少ない出稼ぎ生活を、悔いの残らないよう、私も頑張りたいと思います。