■乗馬体験講座の思い出。
今月号の「広報だて」を読んでいたら、”乗馬体験講座を受講しませんか”という記事が載っていました。 この講座は「伊達騎馬武者保存会」主催で、騎馬武者文化の保存と振興を目的に、毎年、伊達ホースランドを会場に行われています。
この講座に、当時小学校6年生だった息子と参加したことがあります。
実は息子は、飼い犬の近くへも行けないほど、動物を恐がる子だったのですが、私に誘われ「イヤ」と言えず、仕方なく付き合ってくれたのです。
机上講習を終え、いよいよホースランドで乗馬の実技が始まりました。
近くで見るサラブレッドは予想以上に背が高く、子供の背では見上げるほど。
鐙に足を引っかけ、よいっしょと跨ると、視界の高さに驚いてしまいました。
踏み台を使って馬に跨った息子の様子を見ると、明らかに恐がっています。
なんだか顔も青ざめていたし...。
すると息子の乗った馬が、いきなりパッカパッカと走り出したのです。
私は馬から降りると、自分の心臓の激しい鼓動を感じながら、「落馬したらどーしよ~!」と卒倒しそうになってしまいました。
当の本人も、半べそ状態。
騒げば馬がなお興奮すると思い、ギリギリの我慢をしていたのです。
幸いその馬は、二周ほど走ってから歩き出し私の前で止まりました。
余程恐かったと見える息子の顔は、もう真っ青でした。
けれども、私に褒めて欲しかったのか、「恐かったけれど頑張った。」と言ったのです。
その後2度ほどの実技講習を受け、”乗馬体験講座”は終了しました。
その年の9月、息子は東京の小学校へ転校してしまいました。
あちらの中学を受験することになったからです。
母親というものは、子供が居なくなると、こうも弱くなってしまうものか...、その時、痛いほどに思い知らされました。
そして確か9月の半ば頃に、あの時の「乗馬体験講座」修了者対象の、「ホーストレッキング」がありました。
いつまでもクヨクヨしていちゃいけないと、息子との思い出の”馬”に乗って、トレッキングへ行って来ようと申し込みました。
丁度この時期は、6月に生まれた仔馬が、人間で言えば幼児位の子馬になっている頃でした。
私たちのホーストレッキングに借り出された馬は、ほとんどが雌馬でしたので、この日は子連れトレッキングとなりました。
片時もお母さんから離れたくない子馬は、母馬の尻尾と繋がって歩くのです。
また、もう少し大きくなった子馬は、繋がれてはいませんが、母馬と付かず離れずの距離を保ちながら、遊び遊び歩くのです。
♪お馬の親子は仲良しこよし♪という歌がありましたが、ほんと歌の通り。
山里を歩いていた時です。
私の前を歩いていた子馬が、突然野原に向けて走り出しました。
どうやらトイレタイムのようでした。
すると、ピタッと歩くのを止めた母馬は、子馬の行方を眼で追い、自分の元に戻ってくるまで優しい顔で待っていたのです。
その出来事の前から母子の様子を見て感動し、こみ上げてくる物をぐっと堪えていたのですが、この時の母馬の顔を見た途端、溢れ出す涙を止められなくなってしまいました。
母馬と子馬の姿が自分と息子の姿と重なり、送り出してしまった息子を想い、とうとう泣いてしまったのです。
幸いみんな前を向いているので、誰にも気付かれずに済みましたが、きっと私を乗せてくれていた馬には気付かれてしまったことと思います。
子を思う母の気持ちは、本能を越えたところで、人間も動物も決して変わらないのだと、その時そんな風に思いました。
あれから9年が経ちました...。
あ...そういえば、先日Yさんが「本気で馬で通勤したい」と言っていました。
是非是非、実現させていただきたいものです。
できれば袴履いて髷結ってね♪
その際は、”「いとをかし」な日々”の<付録写真>のコーナーに登場してもらわないとV(^^)V