「いとをかし」な日々

お取り寄せ好きな母。 
月に２~３度は、何か珍しい物が届きます。 
その日もまた、小さなダンボールが配達されてきました。 
「今度は何かなあ？」 
冷蔵庫を開けると、日光名物「揚げ湯波の煮物」でした。 
封を切ると直ぐに食べられる、4個入りパックです。 


私は、一瞬でフラッシュバック！ 
 
実はかれこれ22年前、日光に二年間だけ住んでいたことがあるのです。 
浅草で老舗の旅館を営む方が、日光にペンションを持っていらして、そこを任されていたのでした。 
 
そして、そのペンションの定番メニューが、この「揚げ湯波の煮物」だったのです。 
二年間の間に、もう目を瞑っても出来るほどに、しょっちゅう作っていました。 
 
この湯波は、指でＯＫサインを作った時の丸の大きさくらいなのですが、一個100円位の高級品です。 
これをぬるま湯でゆっくりと戻し、しっかりと油抜きをしてから、たっぷりの鰹節と昆布でとっただし汁で、じっくりと煮含めるのです。 
そうそう、椎茸と一緒に炊き合わせていました。 
 
ペンションで働いていた間、両親が何度か来てくれたのですが、「ここの食事では、この煮物が一番美味しい！」と言っていました。 
だから、母にとっても懐かしの味だったのです。 
 
でも私にとっては、たくさんの苦い経験を瞬時に思い出させる物でした。 
だから冷蔵庫の湯波を見たときに、「うわっ！」と思ったのですが、母とあの頃のことを話しながら食べているうちに、辛かった経験も全て、いつの間にか「懐かしい思い出」となっていたことに気がつきました。 
それよりなにより、日光は娘を産んだところ。 
大切なところなのです。 
「おいしいね！」 
当時は「見たくもない．．．」物でしたが、今は素直にそう思いました。 
よかった(*^^*) 
 
そして、もう一つのラビコットソース。 
これもやはり、そのペンションの定番メニューだった「岩魚のラビコットソース」で、しょっちゅう作っていた物の一つです。 
湯波の煮物を「美味しい」と思って食べることが出来た時に、「もう一度ラビコットソースを作ってみたい」と思ったのです。 
 
あの時と全く同じレシピではありませんが、あのレシピに今の私のアレンジを加えて、トリコロールカラーで作りました。 
岩魚はチキンに代えて、夏のメニュー「チキンのラビコットソース」です。 
あそこを去るときは、「もう二度と作ることはないだろうなあ．．．」と思っていたのですが、22年の時を経たリメイク＆リバイバルメニューです。 
 
揚げ湯波とラビコットソース。 
ようやく大切な大切な思い出の品とすることが出来ました。 
八重ちゃんの”気まぐれお取り寄せ”のお陰かもしれません（笑）