「いとをかし」な日々

小学生の頃から”かけっこ”が大好きだった。 
スタートダッシュが得意。 
フライングは一度もないよ。 
ゴールでテープを切り、一等賞の赤いリボンで得意顔。 


それが大人になってもそう。 
かけっこはもうしないけれど、やっぱりスタートから突っ走っちゃう。 
平らや上りはいいけれど、下り坂でもかまわず速度を緩めない。 
ちょっと何かにつまづいたら、ごろんごろんと転がり落ちるのに．．．。 
 
 
 
所見。 
「う~ん。どうも突っ走り症候群のようですね．．．。」 
 
 
 
たまには立ち止まる勇気を持たないと。 
．．．そう、勇気。 
走ってばかりじゃ、息絶えてしまうよ。 
自分の中にいるもう一人の自分。 
 
立ち止まることは罪悪じゃないよ。 
ぐるっと周りを見渡して、ちょっとだけ後ろを見直して、また前を向けばいいのだから。 
 
今はどんどん過去になる。 
時間は待ってはくれないね。 
でも、未来は待っていてくれる。 
前さえ向いていれば。 
勇気を持って止めた時を、ちゃんと取り戻せる。 
 
大丈夫。 
大丈夫だよ。 
 
 
 
 
べったりと腰を下ろして、長く伸ばした首の届くところだけの草を、のんびりとゆっくりと食べていた白鳥さん。 
「さぼっているわけじゃないからね。」 
ちらっと横目でこちらを見ながら、こう教えてくれました。