「いとをかし」な日々

「週いちのプチブログ」のときも少し触れましたが、私の大好きなお友達Ｍちゃんは、春から夏にかけて変態化します。 
 
彼女は、おしゃべりも行動もセンス溢れる素敵な女性なのですが、残念ながらこれだけは共感してあげられない．．．。 


というのもそのお話は、私の苦手な”いも虫君”の観察記録的お話だからでした。 
 
20年前、Ｍちゃんは一粒のグレープフルーツの種の声を聞きました。 
「大きな木になりたいの。私を土に蒔いて。」 
この子は、ちゃんと芽を出して大きな木に成ると確信したＭちゃんは、この種の希望通りに部屋の天井まで届くほど大きく育ててあげました。 
 
でも、このままにしていたら人のいるスペースが．．．。 
だから、今度は太く逞しく育てようと、少しずつ剪定をしながら大事に大事に育てたのです。 
南国のフルーツですから、やっぱりお日様が好きなグレープフルーツ。 
春になって、ベランダに出してもらえるのがとても楽しみでした。 
しばらくそんな毎年が続きました。 
 
さて、昨年。 
どこから見ていたのか、Ｍちゃんが無類の動物好きだと知ったナミアゲハ。 
この人なら、自分達が卵を産んで幼虫に孵った時も、駆除したりはしないと信じ、Ｍちゃんが大切に育てているグレープフルーツの葉に卵を産んだのです。 
 
ナミアゲハの思いは通じました。 
ナミアゲハが信じた通り、Ｍちゃんは突然現れたグレープフルーツの木の住人を、歓待しました。 
「可愛い~！全部葉っぱを食べてもいいから、大きくなってこの木から飛び立っていってね。」 
 
 
 
 
Ｍちゃんは、いもむし君が葉をシャカシャカ食べる音を聞いては喜び、糞をする姿を見ては喜び、もちろん脱皮しては喜びという具合。 
それを芽を輝かせながら興奮ぎみに話す彼女に、私はいも虫君の可愛さは分かってあげられないけれど、いも虫君の観察を嬉しそうにしている彼女を想像すると、Ｍちゃんてなんて可愛いんだろう！と思ってしまうのでした。 
 
こんなに大切にされているナミアゲハ。 
それなのに、これまで一度もサナギから脱皮して飛び立つ姿を見せてはくれませんでした。 
そこで、Ｍちゃんは一匹の幼虫にお願いをしました。 
「お願いだから、人身御供になってくださいね。」 
もちろん蝶に変態したら即座に空へ放す約束をして、手作りの籠にそっとサナギになる寸前の幼虫を入れたのです。 
 
 
 
 
 
 
いも虫君は苦手だけれど、蝶ならそばで見ても大丈夫（相変わらず勝手．．．）。 
だから、「私にも変態した蝶を見せてね」とお願いをしました。 
北海道では珍しいナミアゲハ。 
私もとっても楽しみです。 
 
Ｍちゃんの溺愛の仕方はちょっと変態チックだけど、やっぱり素敵でしょ？