■届いてしまった喪中のはがき。
昨日の郵便ポストに入っていたはがき。 それを見て絶句してしまいました。
一年に一度、年賀状だけのお付き合いであっても、喪中のお葉書をいただくと、とても気持ちが沈んでしまうものです。
もちろん、どなたの死であっても悲しいのですが、昨日届いたはがきは、私にとって、そして何より「れん」にとって大切な方のものでした。
2006/12/21に書いたブログで、「れん」が3年半お世話になった東札幌の「サワダ珈琲」さんのマスターが、ご病気のためお店を閉店なさり、「れん」でお出しする珈琲も変わってしまうことをご報告いたしました。
どのようなご病気かは存じませんでしたが、あの時、マスターがご病気で閉店なさるというお電話をくださった奥様が、とても取り乱しておられたこと、声のトーンがかなり沈んでいたことなどから、重篤な症状であるとお察しいたしておりました。
お葉書によると、6月にお亡くなりになったとのことでした。
お店をたたまれてから、僅か半年のことだったのです。
今年の初めに、何度か娘さんとメールをしていた中で、「父は、焙煎機をはじめあらゆるものを、あっという間にひとに譲る手はずをとってしまっていたのです。」と書いてあったことがありました。
あの頃、娘さんも出産したばかりで大変な時期でしたので、お父様はそんな娘さんを気遣い「病院に見舞いなんて来なくていいから、育児に専念するように」とおっしゃったのだそうです。
私の憶測にすぎませんが、マスターはご自分の余命を悟り、これからずっとこの世に存在していく命あるものと形あるものへの愛から、あらたに命を授かった愛しい孫に尊い命を繋ぎ、それを守るべき娘を遠ざけ、自分の手となった焙煎機への愛着から、それを大切に受け継いでくれる人に譲り渡したのではないかと思うのです。
もちろん、残していく奥様への愛情は計り知れません。
晩年、私が珈琲の注文の電話をした時に、マスターが世間話や健康の不安などを、とりとめもなくお話しされていた声が今も耳に残っています。
その後の病状が気になりながらも、「いかがですか?」とお伺い出来るご様子ではなかったとはいえ、お亡くなりになったことを半年近くも知らずにいたこと、とても悔やまれます。
マスターの焼いた豆で、私が淹れた珈琲を飲んでいただきたかった…。
それがとても心残りです。
マスター、「れん」を助けてくださって本当にありがとうございました。
65歳というあまりにも早すぎる死。
心よりご冥福をお祈りいたします。