■出来る限りのこと。
また、ごん太のお話です。 「前立腺の腫れには、去勢が有効」
ということで、2月26日に去勢手術を施していただいたごん太。
人間で言えば76歳の犬に、いまさら去勢…?という気もしたのですが、有効であるならばとしていただいたのでした。
その際、前立腺の組織を採り病理検査に出していただきました。
結果、やはり前立腺癌でした。
一か月前から覚悟はしていたものの、今はっきりと動かぬ事実を突き付けられて、頭はぼーっとしてしまいました。
一か月前より、自然な形でおこっこが出来なくなったごん太のために、カテーテルを使って尿を採る方法を選んでいたのですが、何しろ管が入りにくい…。
それは、前立腺癌が膀胱の入口まで広がっていたからだったのです。
「いずれ、脊髄の方まで転移していき腰が立たなくなるでしょう。この子はおしっこが出なくなったらおしまいです。大学病院へ行けば、あらゆる手段を用いて延命処置をしてくれますが、果たしてそれがこの子の幸せにつながるのか…、そのあたりを良く考えて、どこまで治療をするかを考えておいてください。前立腺癌は、男である限り動物でも人間でもなる可能性があります。つまり、この子だけが不幸なのではない。仕方のないことです。」
現在「おしっこ対策」として、膀胱を収縮させる薬を服用させ、服用後30分で膀胱がおしっこを絞り出す方法を採っています。
膀胱に無理な負荷が掛かるのではないかという心配はありますが、管なしですることで膀胱炎になる危険性は減るようです。
でも、この方法も効かなくなってしまったら…。
「出来る限りのことはしてあげたい。」
一か月前に私が言った言葉です。
でもきっと、飼い主さんならば誰でも思うことでしょう。
さてこの言葉、一体誰のための出来る限りのことなのか。
先生は言いました。
「飼い主さんは、出来る限りのことはしてあげたいと、放射線治療を受けに車で往復4時間かけてクタクタになって大学病院へ連れて行く。犬は、具合が悪いのに往復4時間車に揺られた上、放射線を浴びせられてクタクタ。その治療によって、一か月の命が三か月に伸びるかもしれない。ではこれは誰のための出来る限りか・・・、少しだけ命が延びるための処置が、犬にとって幸せか・・?、飼い主が心の整理をするための出来る限りのことなのではないのか・・?。そのことを良く考えてください。」
今、毎日ごん太とルスツへ出勤しています。
お昼休み、ゴルフ場のタワーコース辺りをお散歩です。
お散歩前に薬を飲ませ、強制的におしっこをさせます。
今日はとってもいいお天気でした。
ごん太は、歩きながら綺麗な雪をパクパク食べていました。
ここで、犬のお散歩をさせる人はいないので、どこを歩いても仲間の臭いはしません。
だから、ごん太はイマイチ楽しくない様子。
尻尾はずーっと下がりっぱなし・・・。
トコトコ歩くポンデごん太の後姿を見ながら、私は辛い選択のことを考えていました。