■あっ!!そうだ!!
今はベッドの上だけれど、去年の今頃って? あっ!そうだ!!
あと数日後に迫ったテレマーク指導員試験の受検のために、毎日憑かれた様に滑りまくり、ほとんど病人のような日々をすごしていたんだ!
緊張と不安で食事もろくに喉を通らず、目にクマを作り、6kgも痩せて、それでも夜遅くまで黙々と滑る・・・不気味で誰も寄せ付けない異様な雰囲気を放っていたのだった。
もしかしたら、あの時の私の方が入院すべきだったのかもしれない。
そして八重ちゃんも。
突然の病気に見舞われ、父の7回忌のための東京行きもキャンセル。
よせばいいのに鏡を常に自分の前に置き、変わり果てた自分の顔を見ては一日中泣いていた。
置いて出掛けるのは後ろ髪を引かれる思いだったけれど、ハッタリで「合格証を持って帰るからね!」などと、自信もないくせに思ってもいない嘘を言ってしまった。
笑顔の可愛い八重ちゃんには、どうしても笑って見送って欲しかったのだ。
そしてごん太も。
末期の前立腺癌だったごん太。
発見時、余命2週間を宣告されたのに驚異的な生命力でそれを更新し、元気なふりをして私を見送ってくれた。
「ごめんねごん太。」
「帰ってくるまで逝かないでね。」
「ちゃんと待っててね。」
そう言い聞かせたけれど、分かったのか分からなかったのかごん太は待っていてくれた。
三人が三人とも最悪の状態だったのに、味方をしてくれた神様は私に桜の花を咲かせてくれた。
忘れもしない3月18日。
母とごん太が自分の身を犠牲にして、すべてのパワーを私に授けてくれた気がした。
全てが一気にやってきた2008年3月。
実は、他にもここには書けないいろいろなことがあった・・・。
それまでの人生の中で、18日間がこんなに長く感じたことはなかった。
昨シーズンは、私にとってはまさしく激動の時だった。
ごん太は昨年の6月に逝ってしまったけれど、八重ちゃんは今年は元気で過ごしていてくれている。
今頃はきっと、もうじき出掛ける東京行きのことで頭が一杯のはず。
そして今私は、ベッドの上。
入院したのは3月3日のひなまつり。
8年前の3月6日に他界した父が入院したのも3月3日だった。
3月5日に手術を受けた私が、PTさんも驚くほど回復しているのは、父が天国からパワーを送ってくれているからかもしれない。
「ちょっとちょっと!」
ん?
「あんた、いちおう新妻でしょ?」
は?
「夫の愛のお陰でとかなんとか言えないの!?」
え?
今、誰かなんか言った?
・・・・・・。
そうね・・・。
たまには可愛いことも言わないと。
じゃあ、後でボソッと言っておきます・・・。
それにしても、今シーズンは昨シーズンの1/10も滑っていない。
昨シーズンが滑り過ぎにしても、来シーズンは脚にボルトを4本挿したままなので、無理せず大人しく滑らなければいけないと言われている。
来シーズンが不安でたまらない。
でも今出来ることは、前十字靭帯に出来るだけ負担がかからないようにするために、脚の筋肉を鍛えるということ。
昨日、ドクターの回診があった。
「装具をつけたままの脚上げは、好きなだけやっていいですよ!」
好きなだけ?
このドクターは、私の性格をまだ分かっていらっしゃらない。
「好きなだけ」なんて言われたら、「どんだけ~!!?」になるのに・・・。
あっ!そうだ!!
今日は土曜日、午後のリハビリルームはお休み。
ということは、午後のスケジュールは決まった。
もちろん、ベッドの上で好きなだけリハビリ~☆