■カウンターの椅子
「れん」には今、5種類の椅子があります。 店の備品選びは、どれも時間が掛かったのですが、中でもカウンターの椅子は、東京の合羽橋まで行ったのに、なかなか見つからず、本当に悩まされました。
そんなとき、ふと見たテレビで紹介された札幌のリサイクルショップが目に留まり、早速出掛けて行ったところ、ようやくこの椅子に出会えたのです。
でも見つけたときは、塗料は剥げているし、クッション部分はペッタンコに凹んでいるし、かなりボロボロでした。
あまりの状態の悪さに、店の方も売れないと思ったのか、値段さえも付いていませんでした。
「いいんですか?これで...。」と心配そうな顔をしながらも、「じゃ1500円で。」と店員さんに言われ、「いいんです!いいんです!はい4500円。」と、私は喜んで3脚買って来ました。
家に帰ってから、娘と二人でせっせと紙やすりをかけ、塗料を塗り直し、クッションの部分を張り直しました。
そして、その張替えに使ったこの帯。
実はこれ、とっても歴史あるものなのです。
この帯は、母方の祖母がお嫁入りの時に締めてきた丸帯です。
1926年、祖母は三重県の木ノ本(現熊野市)から、三重県の迫子にお嫁に来ました。
早くに祖父は亡くなっているので、わずか10年余りの婚姻期間だったのだそうです。
その後、洋裁や編み物で生計を立てながら、子ども4人を育てました。
そんな祖母の大切な帯を、気持ちよく切らせてくれた八重ちゃんに感謝です。
オープン3年を過ぎ、椅子の張替えも3回しました。
ですから、もう一回分の生地しか残っていません。
さて、あとどの位、お客様の椅子でいられるかしら?