■八重ちゃんの皆既日食。
46年ぶりということは、八重ちゃん29歳の時。 たぶん伊勢市に住んでいた頃見たらしい。
「決して黒い下敷きで見たりしないでください。」
テレビやラジオで盛んに言っていたけれど、家にはテレビもラジオもなかった時代のこと。
八重ちゃんは平然と言った。
「黒い下敷きで見たわよ。」
よく目がご無事で・・・。
なんの番組を見たのか知らないけれど、何やら工作を始めた彼女が自慢げに見せてくれたのがこれ。
「これで皆既日食を見るのよ。」
「え!? これで?」
ラップの芯にアルミ箔を被せて、針で穴を開け、アルミ箔を張っていない方を太陽に向け、下に置いた白い紙に投影させて見るのだそうだ。
「ふ~ん。なるほどね。」
でも、太陽と月との重なりが多くなって行くにしたがって映らなくなるんじゃない?
ぴったり重なったら全く映らないでしょ?
そう思ったけれど、あまりにも楽しそうに作り、雲の厚い空を心配そうに何度も見に行くものだから、そんなつまらないことはとっても言えませんでした。
次は26年後という皆既日食。
雨が降り出しそうな空を見上げ、どうぞ1時間だけ晴れてくださいと密かに願いました。
八重ちゃんが、紙に映る日食を嬉しそうに見る姿を見たかったから。
悲しいけれど、たぶん次の機会はないでしょうし・・・。
そしてふと、可愛い人だなぁ・・・とも思いました。
今思えば、私の自然と関わる遊び心は、ほとんど母に教わったような気がします。
友達が、”リカちゃんセット”や”ゲームセット”や”レコードプレーヤー”などを買ってもらって遊んでいるのを、「いいなあ・・・。」と羨ましく思ったこともあったけれど、きっと知らず知らずの内に今の自分に繋がるたくさんの経験をさせてもらっていたのだと思います。
外遊びの中で、多くの知恵や勘を養っていたのでしょうね。
今の私と言えば、その頃とあまり変わっていない気もするけれど、工作をしている八重ちゃんの様子を見ていて、私もおばあちゃんになってもきっとこのまんまなんだろうなあ・・・と思い、クスッと一人笑ってしまいました。
あ!そうそう!
あの素晴らしい朝日を見せてくれた開陽台には備え付けの望遠鏡があり、無料で自由に見ることができます。
日の出とともに起き展望台の上に上った時、一人バイクで泊りに来たらしい男性に「これを見てみてください」と声を掛けられました。
ん?と覗くと、そこに見えたのは月のクレーターでした。
うわあ~☆
初めて見たクレーターに感動した朝でもありました。
月つながりで思い出しました。
次の皆既日食には、私もこのセットを作って見てみようかな♪
作り方は、八重ちゃんにバッチリ教わりましたよ☆