■ミシン物語
ヘッダーの写真のミシンは、カフェルームのシンボル的存在になっています。 実はこれは、私にとって大切な方の形見なのです。
きっと、その方にとってこのミシンは、何よりも大切なものだったに違いありません。
このミシンで、男の子二人と女の子二人計四人の子供達の服をせっせと作り、その合間に自分の物を作り、当たり前のようにリフォームをしたりして、日々慎ましく暮らしていたのだと思うのです。
この方が、8年ほど前に亡くなったとき、娘さんがお二人いらっしゃるというのに、私はずうずうしくも、このミシンをいただいてしまいました。
私には、これしか目に入りませんでした。
もちろん、娘さんたちは「いらないから、理恵さんが持っていて」と言ってくださったのですが、何よりも一番思いがこもっているような気がして、このミシンが欲しいと思ってしまったのです。
引き出しを開けると、その方らしく、色とりどりの糸がぎっしり入っていました。
本当は、ミシン本来の機能で使ってあげたほうが、故人も喜んでくれるとは思うのですが、いただいてきてから4年間、使わずに部屋に置いておきました。
私には、その方と同じ使い方をする勇気が無かったのです。
そして、店を始めると決めたとき、私は躊躇い無くこのミシンを分解し、下の部分をテーブルの足に、ミシンの本体を店のオブジェとして、再デビューさせることにしました。
私が、いきなりドリルで解体しだしたときは、きっと天国から驚きの声を上げていたのではないかと、少し申し訳ない気持ちにもなりましたが、あの方なら分かってくださると、そう信じていたのです。
違う生きかたを与えられたこのミシンは、もうすっかり店に溶け込んでいます。
そして、最近ではブログのタイトルの背景にもなりました。
さて先日、室蘭陣屋町の「とんてん館」へ行ってきました。
ここはとってもお奨めです。
レトロな道具や置物がたくさんあって、見ごたえ十分です。
それになんと言っても、無料なのが嬉しい♪
是非、足を運んでみてくださいね。
人待ち顔で座っている受付の方が、親切に対応してくれます。
ここで、昔のミシンが色々展示してありました。
これらのミシンにも、きっと色々な物語があるのでしょうね。
いえ、他の道具達にも、宿った魂を感じて帰ってきました。