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[2006.11.22]
■みかんに感じるノスタルジア
今年も私の生まれ故郷、岡山県笠岡市北木島の知人から、みかんが一箱届きました。 
これは、みかん農家の方が自宅用に作っているものです。 
 
 



私は、瀬戸内海に浮かぶ北木島で生まれたのですが、2歳までしか居なかったため、島の記憶が全くありません。 
生まれたところの思い出がないというのは、何かこう、根源を失ってしまったような寂しさがあります。 
 
その昔両親が、知り合いも親戚も誰も居ない北木島へ、父の仕事の関係で引越しをしたとき、母のお腹には私がいる状態でした。 
電気も水道もない社宅に住み、不安で一杯の中、このみかんを送ってくれた知人一家に、それはそれはお世話になったのだそうです。 
 
今は亡きこの家のお母様は、母のお産の時に、ずっと側で手を握って励ましてくれたと聞いています。 
この方の手の温かさを、私もへその緒を通じて感じていたのかもしれません。 
お陰さまで、元気にこの世に出させていただきました。 
 
こちらの御宅では、以前は石切をお仕事になさっていました。 
かつて、北木島は石屋さんと除虫菊農家が多くありました。 
除虫菊って分かりますか? 
蚊取り線香の原材料です。 
 
けれども、時代と共に蚊取り線香が余り売れなくなり、その生産者達は作物をミカンに切り替えていったのだそうです。 
一方石のほうは、小さな小さな島に残る若者がおらず、跡継ぎがいないので、ほとんどの家がやめていき、今では島全体が老人ばかりの島になってしまったのだそうです。 
 
先日の電話では、笠岡からしょっちゅう「救急船」が来るという話でした。 
島には病院がないので、車ではなく船なのです。 
「コトー先生」がいたらいいのに...。 
 
このように、話だけは子供の頃からよく聞かされていたのですが、残念ながら実感として理解することができず、やはり常に寂しさを感じていました。 
 
 
ところが、7年ほど前にこんなことがありました。 
その時働いていた職場の仲間と、倉敷旅行へ行ったときのことです。 
私達は、ボランティアガイドさんに連れられて、アイビー学館へ行きました。 
 
庭園の説明を受けながら歩いていくと、石造りの五右衛門風呂がありました。 
すると、ボランティアガイドの方が、「これは北木島の石で造られたものです。瀬戸内海に浮かぶ北木島は、かつては石切が盛んに行われていて...」 
私は、あまりの唐突な出会いと説明に、涙が溢れて止まらなくなりました。 
 
当然一緒に居た仲間達は、そんな私に驚きましたが、次から次から溢れ出す涙を、どうすることも出来なかったのです。 
私は、その石がいとおしくていとおしくて、しばらく撫でていました。 
 
それは、みかん以外に初めて出会った、未だ見ぬ故郷の温もりでした。 
 
母が元気なうちに、いつかあの島へ行きたいと、絶対に行こうと思っているのですが、実現するのはいつになるやら...。 
形の悪い、ノーワックスのみかんを頬張りながら、そんなことを思いました。 
 
 
<付録写真>  
~沖縄へ行った友達から、ドラゴンフルーツとシークワーサーをいただきました。 
静物画のようでしょ。 
初めて食べるドラゴンフルーツは、割るとギョッとするような赤紫色の実の中に、ブツブツと小さな黒い種がぎっしり入っていて、ちょっとビックリ。 
でも、スプーンですくって口に運んだら、うす甘くて爽やかな南国の香りがしました。 

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▼コメント(2)
名前:Rietty  2006.11.23 22:44:26
高山ともこさん、こんばんは。  
はじめまして。  
今、私は感激のあまり、涙で文字が見づらい状態です。  
なんということでしょう!  
岡山出身の方さえ知らなかったほどの小さな島なのに、同郷の方が伊達にいらっしゃったなんて。  
 
それに、今月中に来てくださるなんて、更に感激です。  
私の知らない北木島の話を、たくさん聞かせてくださいね。  
 
今までも、「れん」を探してくださっていたとのこと、分かりにくい場所でごめんなさい。  
「れん」のページには地図が載っています。  
どうぞ、ご参考になさってくださいね。  
そして、もしまた迷われましたら、どうぞご遠慮なくお電話をください。  
私も、お会いできるのを心から楽しみにしています。  
とても嬉しいコメントをどうもありがとうございました。  
 
名前:高山ともこ  2006.11.23 22:06:33
こんにちは、はじめまして。  
武者なびは時々のぞいていたのですが、こちらのブログは初めてでした。そして、大変おどろきました。  
私自身は生まれも育ちも大阪なのですが、  
母が北木島出身で、去年までは祖母がおり、  
毎年夏には帰っていました。  
今年からは祖母は奈良の叔父の所にいるので、生まれて初めて北木に行かない夏だったのですが。  
そしてさらに、祖母は島唯一の産婆だったので、もしかしたらリエさんが生まれるお手伝いをしたのは、うちのばあちゃんだったかもしれません。   
 
この伊達で、北木出身の方がいらっしゃるなんて、すごい驚きです。   
 
れんさんには、何回か行こうとしてたどりつけなかったことがあるのですが、こうなっては何が何でも11月中にお邪魔しますね、北木の写真を持って。  
 
お会いできるのを楽しみにしてます。  

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Rietty
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☆ブログの解説 
日々の暮らしの中で、出会った「いとをかし」な人・動物・物・風景などを綴ります。 
「いと」 
1)非常に。大変。事態が並々でないさま。本当に。  
「をかし(おかし・い)」 
笑いたくなるような面白さがある。滑稽である。普通でなく奇異な感じがする。異常だ。変だ。興味深い。おもしろい。風情がある。情趣がある。優れている。立派だ。ほほえましい魅力的なさま、心をひきつける趣深いさまを表す意。 
(大辞林より抜粋) 
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