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[2006.11.24]
■三年物沢庵50本伝説
この時期、漬物好きの家庭では、大根・聖護院・赤カブ・白菜・飯寿司などの漬込みがすっかり終わり、後は美味しい食べ頃を待つばかりなのでしょうね。 


実は、私も一度だけ沢庵を漬けたことがあります。 
けれども本当は、封印しておきたい苦~い思い出なのです。 
 
伊達に来た年の秋、あちこちの家でたくさんの大根を干しているのを発見。 
あれは何?何にするの?切干だいこん? 
以前住んでいた所では、見たことがない風景に出会い、私の心は躍りました。 
 
でもその年は、生まれたばかりの子がいたので、想像するだけで止めていました。 
そして翌年の秋、やっぱり気になり近所の方に尋ねたところ、「沢庵漬けや玄米漬け・南瓜漬け・粕漬けにするのさあ」とのお話し。 
へ~!楽しそう♪ 
私も作りたーい! 
 
というわけで、下の子を寝かしつけ上の子を負ぶって、早速自転車飛ばして材料を仕入れに行きました。 
土付き大根50本に糠と塩とザラメ。 
そう、確か何度か往復したはずです。 
大樽と重石は、さすがに生協に届けてもらいました。 
 
 
 
...うかれているこの段階では気付くはずがない...。 
 
 
 
さあ!材料は揃ったわ♪と、今度は亀の子たわしで、ゴッシゴッシと大根を洗い始めました。 
さすがに50本は、洗い応えがあります。 
若さに任せ、素手でその作業をしていたので、手も千切れるほど冷たいし。 
 
そしてようやく50本洗い終えると、手の痛さも忘れ、しばし充実感に浸っていました。 
さて、次は干さないと! 
私は、どこかの家がやっていたように、物干し竿にどんどん大根を引っ掛けていきました。 
こちらに来て、まだ一年足らずなのに、なんだかすっかり道産子気分。 
 
 
 
...この時にも、まだ気付いていない...。 
 
 
 
サッカリンはもっての外だし、色粉なんかも絶対使わないもんね♪ 
と、大根を干している期間中は、せっせと林檎や柿を食べては皮を干し、安全で美味しい糠床の準備をしていました。 
 
さて、いい具合に大根も干されて来たし、漬込み開始の時ね! 
と、私はハナウタ交じりで、大根をどんどん漬込んでいきました。 
最後の一本を樽に副わせて置き、重石を乗せて蓋をし、「やったー!終わった~!」と大満足♪ 
これで美味しい沢庵が食べられるわ~。 
 
 
 
...まだ気付かない...。 
 
 
 
そして、ついにその日がやってきました。 
蓋を開け味見をしたら、もう大成功の出来だったのです。 
変な薬の味はもちろんしない、自然な味で塩加減も丁度いい。 
私って天才?って思ってしまうくらい、とっても美味しくできていました。 
ニコニコぱくぱく食べていたのですが... 
 
 
 
ガ~ン...気付いてしまいました。 
 
 
 
家族は私以外全員、漬物が食べられないのでした。 
...。 
え~!!沢庵50本私一人で食べるの~!? 
やっぱり、私は天才なんかじゃありませんでした。 
がっくり...。 
...どうしよう...。 
 
いいわ!こうなったら微塵切りにして、毎食茶碗に盛って食べるわ! 
でも...そんなことしたら病気になっちゃう。 
まだ近所付き合いもしていなかった私は、そうだ!実家だ!と何本か送り、後は春までに少しずつ食べるしかないわねと、床下に入れておいたのです。 
 
 
 
あぁ...これが事件の序章なのです。 
 
 
 
さて、時は過ぎ、あれから三回目の春に、神奈川の両親が遊びに来ました。 
すると、母が「洗面所が臭いね」と、入るたびに言うのです。 
「あーそうなのよ。欠陥工事だったらしくて、下水の匂いが上がってくるのよね(これは本当)。」 
と言うと、「そういう臭いじゃない。床の蓋の辺りが臭いよ。」と言うのです。 
 
 
 
あぁ...すっかり忘れて気付いていない...。 
 
 
 
「お母さん戌年だから、鼻が利きすぎるのよ。」 
そう言った瞬間、思い出したくなかった事を思い出してしまいました。 
「あっ...沢庵だ...」 
 
そう、そこには三年も寝かされた、沢庵の樽が一つ置かれていました。 
せっせせっせと頑張って、私一人で食べていたものの、さすがに飽きてくるし食べられるわけがないし、まだ春までは大丈夫♪と思っているうちに、すっかり忘れてしまっていたのです。 
 
三年も眠らされていた沢庵さんは、当然全く別の物になっていて、結局処分せざるを得ませんでした。 
なんてもったいない。バチアタリ。ごめんなさい。 
 
それ以来毎年秋になると、干されている大根を見てはあの記憶が甦り、もう二度としませんから許してください...ダイコンさん...という気持ちになって、干し大根から目を背けてしまうのです。 
 
これが「三年物沢庵50本伝説」、苦~い記憶のお話しでした。 
 
 
でもね。 
黄色く染まった買った沢庵は、ちゃっかり食べちゃっているんですけれどね♪ 
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プロフィール
Rietty
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☆ブログの解説 
日々の暮らしの中で、出会った「いとをかし」な人・動物・物・風景などを綴ります。 
「いと」 
1)非常に。大変。事態が並々でないさま。本当に。  
「をかし(おかし・い)」 
笑いたくなるような面白さがある。滑稽である。普通でなく奇異な感じがする。異常だ。変だ。興味深い。おもしろい。風情がある。情趣がある。優れている。立派だ。ほほえましい魅力的なさま、心をひきつける趣深いさまを表す意。 
(大辞林より抜粋) 
さて今日は、どんな「いとをかし」に出会えるかしら...。 
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