むしゃなびエリア(胆振地区・虻田郡)にて
会いに行ってみてほしい ”人” にフォーカスする企画
【あの人に会いに】vol.6

今回は、洞爺地区で『TOYA親子塾』を主宰されている
岡本 里佳 さんです。

洞爺地区でどのようにして親子塾が生まれたのか、
そして10年も続いているという、その秘訣をお聞きしました。


巡っていく恩返し

里佳さんの原点となるエピソードがあります。
それは、静岡に住んでいた頃のお話。

車無しで、子どもを3人連れての病院帰りでした。

4歳の手を引き、2歳を乗せたベビーカーを押し、
更には赤ちゃんをおんぶして、
歩道もなく歩きにくい狭い道を
なんとか歩いていました。

遠い道のりを頑張って歩いていたその時、
急に雨が降ってきてしまいました。
傘を持っておらず、そのまま歩き続けていると……

横にスッと車が止まり、
中の方がビニール傘を差しだしてくれました。

「お礼がしたいと連絡先を聞こうとしたら、
『お礼は良いから、次はあなたがその傘を誰かに渡して』と」

「人にあげるものって、
ちゃんとしたものじゃないと!って思っていたけど、
高価なものじゃなくても良いんだって気付けて。
この時のことがすごく残っていて、
できる限りのことをしようって」

ちょっとしたことが物凄くありがたい、
無理をせずできる範囲でも恩を送ることができる。
この出来事は里佳さんの原点となりました。

塾がない、なら作っちゃおう

九州から洞爺地区に移住してきた岡本家、なんとお子さんが6人の大家族!「でも、この地域に来たときは周りに大家族が多くて、6人兄弟だって他に2家族もあったの!」と里佳さんは笑います。

親子塾は、お母さん方の会話から生まれました。
「近所のお母さんから、子どもたちが家ではなかなか勉強できない、というお悩みを聞いていて」
他の友人から『塾というより塾の”自習室”が良いらしい!』と耳にしたところで、ここには塾も無い。塾を作ろうにも、この町には大学生もいない。
「でも、自習室で良いなら、場所だけ提供すれば良いんじゃない?親子塾をやってみよう!ってなったの。役場にこんな活動がしたいと相談に行くと、じゃあうちの子も……とすぐに子どもは集まって。」

親たちが当番制で見守りをして、子ども達に学習の場を提供する『親子塾』がスタートしました。さらに、見守り担当の親も一緒に学ぶスタイルが定着しました。


宿題や検定の勉強などを、それぞれのペースで頑張っています。

親子塾には月に2回程度、食事提供の回があります。(冬季を除く)その名も、『親むすび子ろりん(おむすびころりん)』。中学生は部活帰りでごはんを食べずに親子塾に直行になることもあるらしく、ここでご飯を食べられる回はありがたいそうです。

「やっぱり食は繋げてくれるよね、参加率が高い。笑」
食事の提供には、地域の農家さんから野菜をいただいたり、フードバンクを活用したりしています。


ご近所さんから頂いたものは、□□の●●さんのお野菜です、と紹介があります。

美味しい!とニコニコでごはんを食べる小学生たち。そこに部活帰りの中学生たちもワイワイと加わります。学校の外で友達とごはん食べられるって、嬉しいですよね。食後の片付けは子ども達自身で。学年が異なる子どもたちの交流は、兄弟が増えたようで楽しそうです。



無理しない、出来る限りのことを

一緒に活動するメンバーに『里佳さんはどんな人?』と聞いてみると、『しっかりしてるのに、フワフワしてる。だから緊張しすぎないし、楽しく活動できる』とのこと。

「無理はしないって決めていて。トップが無理しちゃうと、みんなも苦しくなっちゃうから」。みんなで楽しく活動すること。そのためにはトップが程良い”ゆるさ”がを保つこと。持続可能な活動にするための秘訣はここにありました。


和気藹々の調理場

<運営するお母さんたちに話を聞いてみました>
Q.なんで『TOYA親子塾/親むすび子ろりん』に参加していますか?
A.「たのしい」「子育ての情報交換になる、先輩がたくさんいて何でも聞ける」
 「友達と居る時の子どもの様子を見られる」
 「子育てを離れても、小中高の話が聞けて情報が入る」
どなたもとても楽しそうに参加されており、
保護者のみなさんにとっても憩いの場となっていることが伺えました。

ここだから、続けてこられた


親子塾は、なんと今年で10周年!
子ども達は卒業していき、保護者も入れ替わる中、この活動が10年も続くというのはとても凄いことだと感じます。
子どもが卒業しても変わらずにお手伝いに来てくれる方もいるそうです。

「はじめはこんなに賛同して、協力してくれる人が沢山いるなんて思っていなかった。洞爺地区だから、この地域だから続けてこられた、というのは凄く思う」

洞爺地区に訪れると、地域で子育てをしている様子を見かけることがよくあります。ひとりの大人が沢山の子どもを連れていたり、他人の子どもでも自分の子どものように叱っていたり。みんなお互い様で、子ども達を見守り合っているコミュニティ。この地域力が根底にあることが、親子塾が存続できる理由だと里佳さんは言います。

「みんなが同じ方向を向いているから、助けて!って言いやすい、頼みやすい」

10年間ずっと続いているから、いつでも帰って来られる安心感。日々活動を積み重ね、子どもにとっても親にとっても大切なコミュニティが出来上がっていました。


さて、今後の展望はあるのでしょうか。
「私たちが老後になっていって、いろいろと困ることがあると思う。次はその問題を解決していくようになるのかな?」。何かあっても助け合える、心強い関係性は既にできているように見えました。


『TOYA親子塾』・『親むすび子ろりん』は、洞爺地区の親子が参加できます。
(毎週水曜19時から、洞爺総合センターの和室にて。)

次は誰かのために、と活動し続けられる優しさ、包容力あふれる里佳さん。子育てに悩む方にはぜひお会いしてほしい、素敵な”地域の母”でした。


misaki

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