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『Cafe Pito』&『Pitoゼミ』 〜満たされる場であるために カフェと塾=食と教育 その融合を目指す檜山夫妻の実践とは


以前から気になりながらも、なかなか訪れることができなかった『Pito』さんのドアを開けたのは早春の頃でした。


ほっこりスープと、この生姜ご飯のお握りもしみじみとおいしく身も心も温まりました。


看板料理、スープをひとくち口に運んだ時、「おいしい…」。と心が言いました。
なんと表現をしたら良いのか?
有名シェフの高級料理を口にした時の「美味しい〜!!」というのではなくて。
おふくろの味に安心する「うん、うまい」。というのでもない。
ほっと心が落ち着いて、しみじみとその美味しさと、作り手の優しさがじわじわと伝わってくる味と言ったら良いのかな…。

ということで、その「おいしい…」スープをいただいた瞬間、是非、こちらを取材させていただきたい!となったのでした。



室蘭出身の檜山祥太さん35歳は、大学院卒業後、新規オープンの塾に携わるなどして塾講師をされていました。
福島県出身の檜山翠さん33歳は、大学卒業後企業の管理栄養士として働いていました。
そんな時にやってきたあのコロナ禍。

「ずっと機械的に同じことを繰り返す毎日に疑問を感じるようになりました。働き方やライフスタイルを変えたいと思ったのです。この先は、自分たちでなければできないことをしていきたいと考えました」。


そう語る檜山夫妻。

取材を通し、同じようにコロナ禍をきっかけにライフスタイルを変えた方々に出会ってきましたが、その多くが何故か同じくらいの年齢の方々でした。

心機一転、当時住んでいた岡山県から祥太さんの生まれ故郷室蘭にUターンされましたが、選んだのは実は翠さんなのだと言います。


「空き家利用助成金制度が有り難かったのもありますが、なんというか、室蘭の奥ゆかしさというか、さびれ加減の良さというか、昔ながらというか、静かな感じがよかったんです」。


と、翠さんは、スープをいただいた時に感じたお人柄そのままに、丁寧に言葉を選びながら
優しく話してくれました。


そうそう!
こちらも!
こちらは取材の日にいただきました。



世界のスープDayと称して、月替わりで世界各国のスープを提供しています。
この月の「ウクライナのスープ」は、本当に具沢山でからだ喜ぶ味。
そして、ユニークだったのがシシャモの天ぷら! 煮豚も柔らかくて「おいしい…」。
シシャモの天ぷらは、福島では当たり前に食卓に上るのだそう。

こちらはウクライナではなく、翠さんの故郷の味でした。


「ところで、メニューへのこだわりを教えていただけますか?」


「管理栄養士でもあるので、なにより栄養を一番に考えています。Pito Cafeはスープがメインの店なので、できればスープで栄養も完結させたいと考えています。できるだけ調味料を使わず、素材そのものの味を活かすように工夫して調理をしています。お握りにしているのは、ちいさなお子様からお年寄りまで食べやすいから。ご希望によっては、グルテンフリー・ハラル・ベジタリアン・ヴィーガン対応もします」。


「それと、世界のスープは、スープをきっかけに室蘭以外の世界の歴史にも目を向けて欲しいと願う夫の提案です」。


まさに、教育と食の融合スープなのですね。
しかも、各種嗜好や宗教にも対応されるとは、世界のスープに着眼されるだけのことはあります。


そうそう!
この日は「ドッグカフェの日」でした。



年一回開催されるお隣の「犬の洋服屋さん」のイベントに合わせ、ワンちゃん用のお食事とデザートを用意して開放されています。
また、このイベントの日ではなくても、ワンちゃん用のスープ・バースデーケーキ・お菓子などの注文も受け付けているそうです。


大の犬好きな翠さん。
筆者が飼っていた犬が亡くなった時の話をすると、目を腫らして泣いてくれました。
本当に優しいお人柄。



「この町で、Cafeをやっていて良かったと思う時はどんなときですか?そして、これから先、どんな存在でありたいと思いますか?」

カフェの取材の最後に聞いてみました。


「好きなことができて、好きな町でできて、本当に良かったなあと道を歩いていて思うんです。だから、Pitoもいつもそこにあって、ふらっと寄れる場所でありたいと思います」。


ここまで気負わない自然体の翠さんと、もっと一緒にお話をしたいと思った筆者でした。


さてそして、Pitoゼミの祥太さんにもお話を伺いました。



「妻はこの町を選びましたが、実は、室蘭出身の僕は帰って来たくなかったんです」。
いきなりそんな話から始まり、少々焦る筆者…。


「Pitoゼミは、もしかしたら世間の流行とは逆行しているかもしれません。僕のスタイルは褒めて伸ばすのではなく、やる気の見えない生徒は徹底的に怒るスタイル。だから、入塾前の保護者を交えた説明会でもそのことをしっかりと伝えます。すると、何人かは入りません。それと、親の説得を受けて嫌々入った子は途中離脱する子もいます」。


またもや過激な発言…。
そして、「僕の喋ることは半分も書けないかもしれませんよ」。と…


なんだかドキドキしてきた筆者。
カフェの取材だけでやめておけば良かったかも…と後悔半分…。

でも、実は祥太さんにはその台詞を言うだけの強い信念と覚悟がありました。


「今の室蘭の子どもたちって、たとえば、勉強をダラダラとしていたとしても、学校でも家でもあまり怒られていない。だから僕は、敢えて怒るべき時はきちんと怒りたい。それが何故かというと、たとえ地方で乗り切れたとしても、そんなんじゃ全国へ行ったら戦えないんです。僕は一人でも戦える人間を育てたい。受験は人生を賭けた戦いです。Pitoゼミとしては、受験対策を通して「学ぶ」ということを学ぶ。「自立」ということを学ぶ。それを伝えていきたいと考えています。例えば、文献の調べ方・データの取り方などを知らなければ、今盛んに叫ばれている真の「探究学習」などできません。洞察力を高めたり、自分を認識できるようになるなど、本来「探究学習」はとても大切なんです。でも、僕から見たら、どうしても表面的なところで満足しているように見えてしまう。だから、本物を伝えたいと考えています」。


生ぬるい優しさを捨て、自ら嫌われ役を買って出てでも子どもたちの将来を真剣に思う。
強烈な愛の表現です。

「カフェだけの取材だけでやめておけば・・・」と一瞬でも思った自分を恥じました。


「ですから、入塾前の保護者説明会では、子どもがどれだけ真剣に「学ぶ」に向き合っているかを見ています。そこで、僕の方針をきちんと親御さんと共有しなければいけませんから」。


確かに。
共通認識のもとに始めなければトラブルの元になりかねませんね。
それにしても営業的にはどうなのかと、余計なお世話が働く筆者・・・。


ところでPitoゼミは大人対象にも塾を開催しています。
たとえば
・論理的思考を高めたい
・学びなおしたい
・公務員試験対策をしてほしい
・英検やTOEIC対策をしてほしい
・講演会の講師をしてほしい
などなど、様々なご要望にお応えされているそう。


最後に
「Pitoゼミの未来も根幹を変えるつもりはありません」。


そうきっぱりと話してくれた祥太さん。
長いものに巻かれない確固たる信念に、清々しさを感じた筆者です。

Pito Cafe と Pitoゼミ=食と教育の融合
室蘭で、唯一無二の存在として、これからも発展していく予感がしました。

早くまたスープをいただきたい!

―Pito Cafe & Pitoゼミ情報―

室蘭市中央町2丁目7−10
P : 大町商店街お客様用駐車場利用のこと
電話:080-3233-6454

Pito Cafe
https://www.instagram.com/cafe_pito?igsh=MWVnN3VyMGxmaTA5dQ==
定休日:日曜日

Pito  ゼミ
https://www.instagram.com/pito_semi.study?igsh=aDdlcm54ZHRkeDVu

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