“ Lake Toya Beer “ 代表 三浦芳裕さん(57歳)は札幌市ご出身。 10月初に洞爺湖町住民になったばかり


洞爺湖温泉街に位置する “ Lake Toya Beer “は、11月中旬OPEN予定。
もう既に新聞などで噂になっていますので、開店を楽しみにされている方も多いはずです。
今回は、その代表 三浦さんを取材させていただきました。

「洞爺湖はとても好きで、以前からよく観光・温泉目的で来ていました。ここは観光地ですので、観光客のお客様はもちろん、地元の方がお仕事帰りに疲れを取りにいらっしゃる存在になりたいと思い、ここにビールの醸造所を作ろうと決めました。」

そう語ってくださった三浦さんですが、実は前職はIT関連企業に長年勤めていらっしゃいました。

「元々モノ作りが好きで、プログラミングの世界に入りました。ところが、管理職になってモノ作りが出来なくなり、ストレスが溜まるようになりました。普段の生活でDIYや料理をすること、職場の方針を変えることなどをもの作りとして捉えようとしましたが、なかなか満たされることはありませんでした。」

モノ作りがお好き。
それにしても早期退職してまでビール醸造とは、あまりにも前職とかけ離れている…。
趣味の延長かしら?
筆者にはその訳がすぐには結びつきませんでした。

「もちろん元々ビール好きということもありますが、ビール醸造もモノづくりですよね。
実は2010年から余市のワイナリーで収穫・仕込み・立ち上げのボランティアをしていました。ちょうどその頃ワインにはまっていたのですが、友人から飲ませていただいたとても美味しいワインの作り手が北海道に来て、内々でボランティアの募集をすると聞き飛びついたのです。ボランティアを行ったのも、この作り手の思いをそばで聞きたかったのと、ワインを作るのに少しでもお役に立ちたいという想いがあったからです。初めの頃は週一で通っていましたが、近年は社員と研修生がおり、お手伝いを必要とする場面が減ったため、月に2回程度に減っていました。それでも作業がある時は率先して行っていました。結果、10年以上ワイン作りに関わり、そのうち、ビール作りをしたい!と思うようになりました。」

ワインのボランティアだけでなく、ホップの収穫ボランティアも余市で行いました。


「なるほど。モノづくりという点で共通していたわけですね。でも何故長く関わって来られたワインではなくビールだったのですか?」

「ゼロから生み出す作業が好きなのです。それにビールに大きな可能性を感じていました。ビールつくりを決心し、余市のワイナリーに報告したところ、“ 是非余市でやらないか” とお誘いを受け、そのための研修が後押しとなって退職することにしました。
ところが、そんな矢先ある病を患いました。病院に行くと即手術となり、これ以上研修先に迷惑をかけることは出来ないと判断して、余市を諦めたのです。その後、体調が回復したのでご縁のある洞爺での開業を考えたところ、洞爺湖町のチャレンジシップで補助があることを知り洞爺湖町への移住と開業を決めました。ここならば、この地域の特色を生かしたものを作れるとも思いました。例えばフルーツ。それに野菜。生産者さんと協力し合い、それら作物のフレーバーを加えることで、ここならではのビールをつくることができると考えたのです。」

準備期間は約1年間でした。


この状態から・・・


この状態へ。 そして、一番上の写真のカウンターに仕上がりました。OPEN後はお持ち帰りと立ち飲みができるようになります。フードメニューは当面無しだそうです。

醸造の修行については札幌の澄川麦酒 札幌西岡工場でお世話になったそうです。


@澄川麦酒 札幌西岡工場で修行。麦芽を糖化しています。


アルコール度数計測の修行中。@澄川麦酒 札幌西岡工場


「いろはのい」からKnow Howを習得し、クラフトビールを扱う感覚を養って来られました。
モノづくりがお好きな三浦さんにとっては、その修行もワクワクと楽しいものだったに違いありません。

とは言え、相手は生き物。
造る上での管理には気を使うことが多いと思います。


麦芽はイギリスとドイツのものを仕入れしています。「将来的には麦芽も北海道のものを使って作りたいと考えています。」と語ってくださいました。


このグラインダーで麦芽を挽きます。挽くことで糖の抽出をしやすくするそう。


麦芽を入れたところ。


大きな寸胴鍋に細かく砕いた麦芽と温水を入れて68℃前後で1時間煮て、ビールの味に合わせて温度調整をし、「糖化液」をつくる。


麦芽の酵素が糖化したところで、それをろ過し、ホップを加えて1時間半煮沸する。

「1種類のものをだいたい週1回につき120Lを仕込みます。330ml入りの瓶にして360本分です。それを定番で3種類、あとは期間限定のものを1種類くらい造る予定です。」

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寸胴の前で楽しそうに説明してくださる三浦さん。
感動しながら工程に従って伺っていきました。
工程に自信があるからこそ、舞台裏全てを見せてくださいました。



こちらは冷蔵庫を改造した自作の保温器。
20度で1週間。ラガービールの場合は1ヶ月保温するそうです。


中を見せていただきビックリ!
なんと、爬虫類飼育用のヒーターが入っていました。サーモ付きなので一定の温度を保てます。



最後に炭酸を充填します。
冷蔵庫で3度管理を保ちながら熟成は1ヶ月。賞味期間は3ヶ月です。
お忙しい中、最後まで満面の笑みで説明してくださいました。
心からのビール愛を感じました。


瓶詰めのための装置。 一目瞭然、お手製です!


「最後に、三浦さんが目指す“ Lake Toya Beer “ を聞かせていただけますか?」

「基本的には、“楽しいビール” “癒しのビール”がコンセプトです。それをベースに、地方都市のビール文化を作っていきたいと考えています。具体的には、以前、ベルギーを訪れた時の体験をここでも提供したいと考えています。それは地元の人々と観光客の交流でした。そのためには、まずは地元の方に愛される店であることを目指したいです。その上で、観光客の方に気軽に立ち寄っていただける気さくな店を目指したいです。そして、ゆくゆくは雇用を生む場になれるように尽力したいとも考えています。」

おそらくは、終の住処として選ばれたであろう洞爺湖町。
早期退職して醸造所を立ち上げ、新しい土地にしっかりと根付き、ビール文化を作ると決心された三浦さんを、同世代としても心から応援したいと思いました。


う〜ん。
早く飲みたい!


11月中旬OPEN予定、Instagram要チェックです!

―Lake Toya Beer 情報―




編集部ライター Rietty

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編集部のライターとして月に2~3回ほど、皆様のお目にかかることになりましたRiettyです。
この場では、私が出会った「好き」や「楽しい」や「いいね!」を皆様におすそわけさせていただきたいと思っています。

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楽しむための情報の一つとして。
どうぞ末長くお付き合いくださいね ♡

コメント

  1. 松爺
    松爺
    返信

    丁寧な取材とわかりやすい記事でとても参考になりました。シェアさせて頂きます。オープンが楽しみです。

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