むしゃなび編集部

ボロボロだったバス停を2万円で修繕!「ジモト物語」

伊達市北黄金町の達南バス停(室蘭方面)が地域のお父さんたちの手でピカピカに生まれ変わりました。緑に囲まれて建つ、レンガ色の壁が「インスタ映え」しそう!? 


小さなマチの心温まるジモト物語。今回は、バス停修繕秘話をお届けします!




廃材を集め、住民が力を合わせて修繕!




下の画像が修繕前に撮影された達南バス停です。設置から40年以上経っていてかなり老朽化しているのが一目瞭然ですね。古くなっている上に、台風でトタン屋根が飛ばされたり、誰かが蹴飛ばして壁に穴が空いたり、まさに「ボロボロ」の状態でした。



バスが停車するのは1時間に1本程度。利用者は年々少なくなっており、2017年に達南中学校が閉校となってからは学生の姿も減りました。


しかし、「利用者が少ないからといって、このまま放置しておくわけにはいかない」と地元の黄金第一自治会が動き出しました。



バス停の維持管理はバス会社が行なっているものではなく、基本的に民間で行われています。そこで自治会メンバーが市役所へ相談すると、助成金が利用できることがわかりました。


しかしその金額は、新築で60%程度、修理で15%ほど。いずれにしても、自治会にかなりの負担がかかってしまいます。



頭を悩ませていたところ、バス停を挟んで国道の向かい側の自治会に所属し、地元で工務店を営むご主人が「よしっ、オレに任せろ!」と、廃材や古材をあちこちから集めてくれることになりました。


こうして調達された資材を利用して、地元住民5名ほどでバス停の修繕作業が始まりました。


家の壁をはがしたものを外壁に。


内壁は、真っ黒だった板にペンキを3回塗って明るいクリーム色に。


地面がむき出しだった床には板を貼り、 小さな窓も両側に取り付けました。



約1ヶ月かけて今年2018年7月末に修繕が完成。結局、骨組みをのぞいて、ほぼ丸ごと新しくなりましたが、廃材とボランティア労働のおかげで、2万円という超低予算で実現することができました。


のどかな緑の景色に生えるレンガ色の壁は、実は、車用の塗料を使用しているんですよ。だから、夕暮れ時になると反射して見えるのだとか。





「落書き」のヒミツ




修繕作業のまとめ役を務めたウエダさんは、ピカピカに生まれ変わったバス停に、ある「いたずら」をしました。


「行ってらっしゃい」、「夕焼けのときめき」、「風車をのぞむ」——。



短い言葉が記されたプレートが、内側の壁にさりげなく取り付けられています。これが、「いたずら」??



「これ何だろう・・・って思うでしょう? 黙って座ってバスを待つ間、ちょっと目にとまるといいな、と思って書いたんですよ。先に書いておいたら、あとから落書きしづらいんじゃないかと思ってネ。」




なるほど、落書きをさせないための「落書き」! 新手の予防策ですね 8-O  それに何だか話しかけられているようで、心があたたかくなります。



「今回の修繕は本当に、みんなの助けがあって完成できました。「ボロボロになった」って嘆いているだけじゃダメだから。地域のことは、金のかかる部分は行政にやってらうけど、手があるところは自分たちでよくして行きたいよね。」



修繕が完成して数日たったある日、バス停に小さなメモが落ちていました。そこには「立派にしてくれてありがとう」と一言、書かれていたそうです。



ベンチに腰掛けて修繕秘話を伺いながら、カフェにでもきたかのように、すっかりくつろいでしまいました。


人の手と「思い」がこんなにも場所や空間を心地よくするのですね。バス停だけでなく、「地域」もまた然り。人の心がつくり時間をかけて育んでゆくのでしょう。



生まれ変わった「インスタ映えする」達南バス停は、ジモト愛あふれる素敵な空間でした。


世にも珍しい「落書き」を見に、あなたもバスに乗って、出かけてみる?? 





達南バス停(室蘭方面行き)





記事の内容は取材時の情報に基づいています

(取材2018年)

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