何気なく土曜日の午後にテレビを見ていたらNHKで中村仲蔵のドラマっぽい解説番組をやっていた。「中村仲蔵」と聞いて、講談の神田伯山先生を思い出すのは、私だけではないだろう。

コロナ禍でユーチューブ三昧の3年が過ぎるが、若手落語家と講談師の活躍ぶりが面白い。舞台の上で、座布団に座り10~20分おしゃべりする、テレビ的にはつまらないとされる伝統芸能だが、ユーチューブならこれがまたイイ。

講談の歴史は400年とされ、落語よりも古い。物語の本が書かれ、これが連続物で毎日、講釈場に聞きに行くという江戸時代の娯楽だ。NHK朝の連ドラに受け継がれるこのシステムの構造は、ほぼ同じだ。話は史実より誇張され、善人と悪人が登場する。何人もあっけなく斬られる。いい場面で、ちょうど時間となり、この続きはまた明日だ。一話完結の刑事ドラマではなく、まさしく連ドラの系譜だ。

「中村仲蔵」は、講談をヒントに落語に仕立てたというから、落語ファンにもお馴染みだ。オジサンは落語が先で、講談が後だった。テレビと違うのは、ストーリーが同じでも演者が違うと、面白さも違うという話芸の妙だ。映像になってしまうと、寅さんと物まねタレントの関係になるが、落語や講談は、演者が違っても、どれも本物で、舞台によって出来が微妙に違うのも面白い。コアな落語ファンの「今日の談志師匠は気迫が違う」といった、クサイ台詞を思い出す。だから、同じネタでも古典として残っていく理由がある。

昼間の間抜けなテレビの再放送には、落語の人情噺をドラマに仕立てたものが時々出ているから、始まるとドラマのラストまでわかってしまうケースも多い。NHKは歌舞伎役者の中村仲蔵を掘り下げ、講談や落語に出てこないエピソードを加えているから、面白かった。

NHKを潰すという政党まで、登場する昨今だ。他局が絶対にやらない、江戸時代の歌舞伎役者の出世物語をやるのはいい根性だ。局側の工夫とは関係なく、勝手に盛り上がるサッカー中継など、民間放送にやらせればいいとオジサンはグタグタ語ってしまう。きょうは、この文を読んだ君たちがクタクタだろう。どうだ。







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