日本人にとって鯉は、昔から「出世魚」等と呼ばれ、めでたいイメージが強くありますよね?その中心になっているのは「鯉の滝昇り」のことわざとしても知られている中国の登竜門伝説です。

 鯉の別名に「六六魚」というのがあります。側線のウロコが36枚(実際は個体によって異なります。)あるという事から来たものです。さらには中国では、竜にはウロコが81枚あり、そこから「六六変じて九九(81枚のウロコを持つ竜)となる」ということわざもあります。


 一般に鯉は、飛び跳ねるのはあまり得意ではないようで、小型のものでせいぜい水面から1~2メートルくらいなんだそうです。ただ、捕まえる時には、ものすごく勢いがよく、なかなか捕まえられないというのが特徴だそうで、おそらく鯉の霊力は、この辺りから生まれたのではないでしょうか?

 中国では古くから「鯉はよく霊性を備えて竜に化す」等と言って、その神秘性が認められていました。これは「竜門の鯉」に由来するもので、竜に化身するほど勢いがあるという事ではないでしょうか…?

 竜門というのは、黄河上流にある竜門山を削って流れる急流の事で、この激流は、どんな魚も越える事が出来ず、鯉のみが登り切る神秘的な力を持っているとされたのが、伝説の起源とされているそうです。

 この伝説から、人が才能を認められて立身出世のきっかけを掴む事の例えとして「登竜門」と言われるようになったらしいです。それで、今日も鯉は立身出世のシンボルとされている訳ですわ…。

 宮中と武家の料理儀式である四条流は、料理の祖神とされる四条中納言朝臣藤原山蔭がまとめたもので、この「包丁儀式」の中でも、代表的なものが、「竜門の鯉」と呼ばれる秘伝の包丁儀式です。この料理法(さばき方?)は、江戸時代には大名の官位昇進を祝うめでたい料理でした。

 鯉のぼりは、さわやかな皐月の風に泳ぐ季節の風物詩ですが、その起源は江戸時代、将軍家に男子が誕生した標に、旗差物(家紋等を染め抜いた吹き流しや織)を立てた風習が武家に広がり、やがて江戸庶民の間で、立身出世のシンボルとして「鯉の滝昇り」にヒントを得た鯉のぼりが、5月5日の端午の節句に、男の子の健やかな成長と出世を願って飾られるようになったんですわ…。また、「鯉の滝昇り」を画題とした絵も、めでたい縁起物とされ、掛け軸等が商売や事業の開店・開業の祝儀品とされましたし、商売繁盛、財福招来等の祈願が込められるようになります。

 鯉は、古くから飼育されていた記録が残っていて、共食いをしないので飼いやすく、毎年数多くの子を産むという事も知られていたようです。古い記録としては「日本書紀」景行天皇紀4年(74)春の条に、鯉を飼育した記事があり、美濃国に出かけた天皇が、美しい女性の気を引くため、池に鯉を飼って朝と夕に鑑賞して過ごし、見事にその心を射止めたとあります。こうした故事から、”縁結び”等に結びつける信仰も生まれています。

 鯉を祀っている神社も何故か多く、有名なのは京都ではない埼玉県の久喜市にある八坂神社!ここには狛犬ならぬ狛鯉があります…。恋愛成就には是非に!



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