■騙される方が悪いか?
私の知り合いに81歳の老人がいる・・・・と言っても、私と4歳しか違わない。あるところで偶然にXさんと出会った。 私 「お久しぶりです。お元気ですか?」
Xさん 「元気じゃない。お金のトラブルがあってね」
私 「えー、世慣れたXさんが、この年でお金のトラブルとは!」
雨天に行ったので、「巣鴨地蔵通り商店街」閑散としていた。
そこから立ち話で、寒風の中で事情を聞いたが驚いた。ある時、Xさん宅に手紙が届いた。それによると、「未払いの金額が12万円ある。3日以内に支払わないと、3倍になります」とあったそうだ。
Xさんは「3倍になっては大変だ」と言うことで、ただ焦って郵便局から12万円を送金したのだそうだ。
地蔵通りに来るのはお婆さんが多いので、甘味処がたくさんある。
その後、送金先から連絡が無いので手紙に書いてあった電話番号に電話をしたら、「受け取っていない。早く支払ってくれ」と言われてしまい、今から郵便局に行くところだと言った。
その時に自分を証明する為に現役の時に政府から頂いた表彰状の数々、長年続けている家計簿などを持参して支払い済を説明すると言っていた。
この理屈が私にはよく分からない。
「赤パンツ」で有名な「マルジ」。(ボケてお漏らしをしないように履く)
私は驚いて、「それは全く典型的な詐欺じゃないですか?」と言うと、
Xさんは「だって住所も氏名も合っている」と言う。これにまた驚いた。
私 「住所録なんて、名簿屋で売っていますよ。何か買い物をして、家に送ってもらったことは無いのですか?」
Xさん 「時々、送ってもらっている」
「高岩寺」の手水舎から本殿を見る。
Xさんは普通のサラリーマンではない人生を過ごして来ていたのを、私は知っている。そんな人でも高齢になると、詐欺師にコロッと騙されてしまうんだなー。
「12万円くらいで済んだのだから、良かったですよ。もし郵便局や警察で上手に説明が出来ない時は、私が一緒に行ってあげます。でも12万円は戻って来ないでしょう」と言って別れたが、その後の連絡は無い。
「洗い観音」はいつもは行列が出来ている。
自分の体の悪いところを、観音様の体で同じ場所を洗う。
(おまけの話)
私の住んでいる辺りは子供連れの親子が多いので、日本の少子化は分かり難い。東京で老人が集まる場所と言えば、「お婆ちゃんの原宿」と言われている巣鴨地蔵通りである。
ここには高岩寺があり、そこに「とげ抜き地蔵」と「洗い観音」が鎮座している。
子供の頃はよく棘が刺さったが、現在では「とげ」も刺さらなくなったので「洗い観音」の方が人気がある。
都電の「庚申塚駅」ホームには甘味処がある。
私の目的は高岩寺ではなく、「庚申さま」である。
巣鴨地蔵通りを抜けて、大江戸線の「庚申塚駅」近くに庚申さまがある。
最初にJR大塚駅に出て、お土産に和菓子屋の「千成屋」で「あん無しどら焼き」を買う。そして都電に乗って「庚申塚駅」で下車する。
「猿田彦大社」入口。
駅から1分の交差点角に庚申塚はあった。
今まで何回もここを通ったが、気が付かなかった。
庚申塚は「猿田彦大神」という神社の中にあるので、ここが庚申塚とは思わなかった。
庚申塚は庚申塔とも言われていて、道教に由来する石塔で、現在は木製の柱が立っている。地元のお婆さんが2人、お参りに来ていた。
昔は神社の中に祀るようなものではなく、街道筋の道標代わりだったようだ。
庚申さまは申年なので、赤い服を来た猿がいた。
「庚申さま」を建立し拝む風習は、1100年以上も前に中国から伝えられたもののようだ。
「人間の体の中にはサンシという虫が住んでいて、人が亡くなるとサンシは体を抜け出して鬼になれる。サンシは早く鬼になりたいので、庚申の日の夜に天に上り天帝にその人の悪事を告げて、その人の寿命を短くしようと企てる。そこで人はサンシに対し、庚申の日の夜は眠らないようにして長生きしようとする。」
猿田彦大社の社は小さい。 庚申塔の史跡。
そんな不思議な話を昔の人は信じていたのか日本中に数多くあったが、明治政府は庚申信仰を迷信と位置付けて街道筋に置かれたものを中心にその撤去を進めた。その為に数は減り、現在は多くは関東地方にある。
また初めて知ったが、「ムシが好かない」、「ムシの知らせ」、「ムシの居所が悪い」などという言葉があるが、この虫がサンシとは驚いた。
まだまだ知らないことが多過ぎる。
小林一茶の句「ふじだなに寝て見てもお江戸かな」の句が読まれた場所だった。