■期待外れの大雪注意報
2月8日に中央区役所から「9日の大雪注意報」のメールが届いた。
この1ヵ月以上も東京に雨が降っていなかったのが、急に大雪注意報とは嬉しい。
雪は「午前9時頃から午後6時頃まで降り続き、積雪は5センチ」と書いてあった。そうなるとカメラマンの私の出番である。
冬の風物詩「雪囲い」が素敵だ。
東京では滅多に雪が積もることが無い。
だからこのチャンスに、浜離宮恩賜庭園の雪景色の写真を撮ろうと張り切っていた。
朝起きて窓から外を見たら、ビルの屋上にうっすらと雪が積もっていた。天気予報では午前9時から本降りなのだが、9時を過ぎても雪は降らない。
木には薄っすらと雪が積もっていた。
10時を過ぎたら、チラチラと雪が舞って来た。
11時を過ぎたら、かなり降って来た。いよいよ本格的に降ると思い出掛ける用意をした。
思いがけず家族も「一緒に行きたい」と言うので、撮影に家族連れは面倒なのだが断れない。
新しく隅田川に架かった築地大橋を歩いて渡ると、すぐそこが浜離宮恩賜庭園である。
「お伝橋」の床に足跡を付ける私。
庭園が近付いて来たら、雪が止んでしまった。
シニア割引の150円を払って入園すると、木々の葉に雪が付いているだけで地面に雪は無い。
全くの期待外れだが、今さら仕方ないと諦めて園内の撮影ポイントを探して歩く。家族は雪が無いので、園内散策はしたくないらしく、お茶屋で待っていると言う。
東京では必要ないが、松に「雪吊り」がされていた。
雪は相変わらず降らないが、気温は低い。昼間でも1度であった。
東北・北海道は豪雪と低温で、「北海道の湘南」と自慢していた伊達市でもマイナス12度だから驚く。雪まつりの最中の札幌でもマイナス12度、寒さを売り物にしている陸別では−31.8度だったらしい。
松と熊笹に雪が・・・。
こんな寒い日でも雪景色を期待して、アマチュア・カメラマンが数人は来ていた。お互いに雪が無くてガッカリしているので、目も合わさないし話もしない。
なんとか雪を表現しようと思い、木の葉に付いた雪を撮ったり、自分の足跡を撮る。なんとも情けない撮影となってしまった。
誰が作ったか?「雪だるま」があった。
もう撮るものも無いのでお茶屋に行って、家族と合流する。
女房に「雪が無いじゃない!」と文句を言われるかなと思ったら、「抹茶とお菓子が美味しかった」と喜ばれてしまった。
引き続き近くのイタリアン・レストランに行き、ランチを食べる。
家族から「どう?良い写真は撮れたの?」と聞かれ、返答に困った。
地面に雪は積もっていない。
(おまけの話)
4年ほど前に石川県羽咋市の工場で働いている、ベトナム人実習生の女性達を訪ねたことがある。
その時に初めて「羽咋市(はくいし)」という地名を知った。
実習生は22歳くらいで全く環境の違う日本、しかも全くの田舎、更に常夏のベトナムから極寒の地に来ているのであるから、ホームシックになるのが当り前である。
十日町の外れ。
そこで私は真冬の2月に彼女達を訪ねて、励まし、悩みを聞き、相談に乗るために行ったのである。
3年間を我慢して頑張り、節約してお金を貯めると、ベトナムの田舎なら家が建つのである。
彼女達は羽咋市の外れのボロボロの一軒家で、5人で共同生活をしていた。部屋の暖房は石油ストーブが1台だけで、みんな家の中でダウンのジャケットを着て寒さに震えていた。
十日町で屋根から雪下ろし。
彼女達を駅の傍のレストランに連れて行き、ハンバーグをご馳走した。
「美味しい。美味しい」を連発する彼女達を見ていて、私は涙がこぼれた。
東京に戻る途中で気分転換を兼ねて、十日町に寄って1泊した。
ここは日本一の豪雪地帯である。
翌日の列車に乗るために駅に行くと、なんとそこに有名なセーラー服おじさんがいた。思わず一緒に記念撮影をしてしまった。
十日町駅で「セーラー服おじさん」に出会った。(少し気持ち悪かった。寒く無いのかな?)