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[2020.02.18]
■奥京都の旅(2)・・・・舟屋の宿 
(2018年02月07日) 
 
レンタカーはMさんの予算の関係で、小型の日産マーチだった。 
まあ2人だけなので狭くはないが、乗り心地は悪い。 
とりあえずは「間人」に向かう。この単語は私の書き間違いではない。 
 
間人を読める人はかなりのグルメで、これは「たいざ」と読み、ズワイガニのブランド地名である。Mさんは「間人でズワイガニを食べよう」と言うので、私は大賛成だった。 
 
一般道は降り止まぬ新雪で、どこまでが道路か分からず走り難い。 


間人は京丹後市にあり、漁業が盛んである。京丹後に近付いて来た頃から、雪が激しくなって来た。 
道路も新雪で車での走行が難しくなり、時間も掛かるようになった。 
Mさん計画の「間人でズワイガニ」を食べさせるような店を探したが、 
全く見付けられない。 
 
やっと見つけた店は予約が必要で、しかも料金が3万2400円をと聞き、びっくりして先を急ぐ。雪がドンドン酷くなり、見学どころでなくなる。 
 
日本海の荒波が押し寄せる。これでは北朝鮮の漁民も遭難して日本へ流れ着く。 
 
 
昼飯を食べる店も見付からず、Mさんは「伊根町へ行ってから食べよう」と言う。伊根町は間人から、雪が無ければ40~50分の距離である。 
ところが雪がドンドン降って来ていて、除雪もまだしていない。 
 
途中で車が雪に嵌って動けなくなった。 
向こうから来る車を避けるために左側に寄ったら、新雪で車の下がつかえてしまったのである。 
 
雪の中の郵便配達はご苦労さま。片足をついていないと転倒する。 
 
 
仕方ないので運転をしない私が車から降りて、手で車の下の雪を掻き出す。シャベルなどの道具が無いので、なかなかうまくいかない。 
それでも格闘10分、やっと車は動けるようになった。 
 
昼飯を食べていないし、寒いし、私はヘトヘトになった。 
普通は1時間も掛からない距離を、2時間以上も掛かってしまった。 
やっとの思いで伊根町に着いて、観光協会で食事処を訊ねた。 
 
高台から見た舟屋群。わずかに霧が薄くなった瞬間に撮影した。 
 
 
観光協会の人の答えに、あんなに落ち込んだことはない。 
「この町には食事処はあまり無りません。しかも今日は火曜日なので、 
みんな定休日です」。 
 
私は聞いた。「ではコンビニのある場所を教えて下さい」。 
観光協会の係員「この町にはコンビニはありません」。 
 
ここへ来るには鉄道は無いので、バスか自家用車でしか来られない。 
コンビニも無いほど俗化から縁遠い町に来られたことに、感謝しなければならないのかもしれないと昼飯は諦める。 
 
10分おきぐらいに天候が変る。雪がかなり降って来た。 
 
 
伊根町は舟屋で有名である。 
伊根湾を囲むように舟屋が200軒以上も並んでいる光景は、絶好の写真の題材となる。しかしこの日は大雪で、観光協会のある高台からは舟屋は殆ど見えない。 
 
しばらく我慢して待っていたら、少し雪が小降りになって来た。 
そこですかさずカメラを構える。 
それも数分のことで、また見えなくなった。 
 
伊根湾に沿って舟屋が続く。 
 
 
寒いし腹は減るので、宿に入ることにする。 
宿は舟屋を改造した造りなので、間口は2間ほどで1階は調理場、風呂場、トイレ、食堂があり、2階部分が客間となっていて3部屋ある。 
 
Mさんはイビキが凄いので、私は彼から一番離れた海側の部屋にする。 
真向かいに舟屋群が雪の簾を通して、ボンヤリと見える。 
「いいなー!、これぞ日本の原風景だ!」と思わず声が出る。 
 
過去の津波でも1階が浸水した程度の被害なので、この建物が残っている。 
 
 
(おまけの話) 
この宿は「鍵屋」という名で、女将さんは話し上手で私の質問に親切に答えてくれる。亭主は50歳前後で、京都の料理屋で18年間も日本料理の修業をしたそうで、彼も話好きである。 
1日に1組しか宿泊をさせない宿なので、この日は我々2人だけの贅沢な旅館である。 
 
亭主は町興しにも熱心な活動をしているようで、「この風景を壊したくない。外部資本を入れたくない。カラオケ屋など作らせない。地元の人達が潤うような観光地にしたい」と熱心に語っていた。 
 
舟屋の隙間から見える私達が借りたレンタカー「マーチ」。 
 
 
夕食の料理はさすがに京都の料理人が作るだけあって、上手で美味しい。田舎なのに京都仕込みの料理が出て来るので、味も良いし、見た目も美しい。 
 
新鮮な魚を多く使っていて、刺身、煮もの、焼き物と全て良い。 
最後にブリの「しゃぶしゃぶ」が出た。久し振りに豪華な日本料理のフルコースを食べた。 
 
舟屋の1階は船や漁網などを入れておく倉庫になっている。 
ここから直接、海に船を出せる。 
 
 
食事を終っても、話好きの夫婦と延々としゃべっていたが、さすがに疲れた。女将さんが「明日の朝は漁船が漁に出るところを写真に撮ったらいいですよ」と教えてくれた。 
 
「漁が終って漁船が港に戻る時に、有線放送でパートの女性に手伝いに来るように放送しますから、漁港へ行って撮影するのも良いですよ」と教えてくれた。 
部屋に戻ったら夜中にトイレに起きることも無く、そのまま朝まで寝てしまった。 
 
夜になっても明りの灯る舟屋は少ない。(高感度で撮影) 
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プロフィール
心の伊達市民 第一号
心の伊達市民 第一号
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。 
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