■豪雪の温泉地帯を行く(宝川温泉)
今回の秘湯研究会の行事は昨夜の栃尾又温泉で終りである。 そのまま新幹線に乗って帰っても良いのだが、同行者のY君が『そんなに早く帰りたくない』と言う。
そこで、この辺りの地理に詳しいE君の推薦で水上の宝川温泉に立ち寄ることになった。
E君は釣り師なので、全国の渓流に詳しい。
温泉というのは渓流の脇にある場合が多いので、彼は温泉もまた詳しい。
宝川温泉地図
宿のマイクロバスの時間だと列車の接続が上手く行かないので、路線バスで行くことにした。JR信越線の小出駅から水上駅に向う鈍行列車に乗る。
水上駅からは路線バスで湯ノ小屋行きで宝川温泉で降りる。
そこには宿のマイクロバスが迎えに出ている。
ものの5分で着く。そこは大きな敷地で一軒宿であった。
日帰り入浴の入浴料の1500円は少し高いように感じた。
入口には『じゃらんの露天風呂人気投票で連続2年、日本一』と大きく書かれている。
露天風呂に行く
確かに湯量が豊富なので、露天風呂の数も多いし、広い。
一番大きい風呂は235坪もある。なんといっても広い風呂は気持ちが良い。
人気NO1の露天風呂
でも、E君の話では『昔の良さは失われてしまい、今は大きな立派な新館を建てたり、悪趣味なガラクタを集めたり、立ち寄り湯を始めたり、儲け主義に傾いて来ている感じがする』と言っていた。
古民具通りを抜ける
もうここは秘湯とは言えない。だってバスタオルを胸に巻いたねーちゃんが男と一緒に露天風呂に入って来るようじゃ、世も末だ。
もっとも全国のどこの秘湯でも車で行けないところは殆どなくなってしまったし、旅館の前まで舗装道路となってしまった。秘湯の好きな私にとっては残念なことである。
秘湯に行くには歩いて行きたいものだ。全国どこでも公共事業はやり過ぎだ。
(おまけの話)
宝川温泉からまた路線バスで水上駅に出た。
そこからバスに乗り換えて上毛高原駅に出れば、新幹線で東京はすぐである。
ところがY君は『そんなに早く帰りたくない。夕食を食べてから帰ろう』と、帰宅拒否症候群になっている。
それなら『鈍行列車で帰り、途中の高崎駅でだるま弁当か鳥弁当を買おう』と私が提案して、みんなは賛成した。
水上駅始発のローカル列車は乗客が全部で10人くらいであった。
私の乗った車両は我々4人だけである。
JR上越線車内
高崎駅に近付いて来ても、どこの駅にも売店も無いし、乗客もいない。
嫌な感じになって来た。検札に来た乗務員に聞いてみた。
私 『高崎駅で駅弁を買いたいんですけど、買えますか?』
乗務員『駅弁は売りに来ません。弁当を買うなら、ホームから改札口を出て、その先にあるコンビニで買って下さい』
これには驚いた。
ローカル線の駅弁は新幹線の開通と同時に消え去って行ってしまったのを、私は知らなかった。
最近では駅弁とはデパートの『駅弁大会』で買う物となってしまったようだ。
新幹線なら1時間弱で帰れる場所からわざわざ2時間半も掛けて帰り、駅弁も買えず、仕方なく東京駅のレストランで食事をしたという情けない話でした。