子供の頃に聴いた曲をずっと追いかけ,聴き続けています。

その一曲がロッシーニ作曲の「ウィリアム・テル」序曲です。
確か小学校の音楽の教科書に載っていて,音楽鑑賞をしました。

最近購入したCDはこちら。


カラヤン指揮,フィルハーモニア管弦楽団(英国)の1960年の録音です。

フィルハーモニア時代のカラヤン,大半は最新のリマスターでCD化されています。でもこのロッシーニ序曲集は国内盤でひどい音でリマスターされた以外はこの89年のCDあたりしか見当たりません。なかなかリマスターされないのでアマゾンの中古盤を購入してしまいました。

聴いてみて安心。ちょっとヒスノイズ多めですが,これで十分かと思います。大きめのスタジオでポワーンとなっているような音です。大きい音で聴くと意外と楽器の定位がしっかりとしています。

この盤ではフィルハーモニアのフルートとかオーボエ,木管のうまさが際立ちます。


冒頭でチェロが空中に音を解き放つように奏でるところからカラヤンの壮大な世界です。

ゴージャスな演奏です!

ちなみにカラヤン,ロッシーニ序曲にはこだわりがあったようで,70年代にまとまった録音を,80年代に「ウィリアム・テル」のみを録音しています。70年代はさらにゴージャスな演奏,80年代は味わいの増した演奏としておきます。

無論音が良いのは80年代のデジタル録音・・・と言いたいのですが,そうも行かないのがクラシック録音の面白いところですね!


気合いの入ったカラヤンの演奏と対極にあるのが,トゥリオ・セラフィン指揮,ローマ歌劇場管弦楽団の演奏です。1963年録音です。


アンサンブルはパッとしませんが,日常的な演奏というかリラックスした演奏というか,聴いていて和みます。


この違いは,日々オペラを演奏している座付きのオケというところから来るのかも。

特にイタリアの場合,歌劇の序曲は始まりのチャイムのようなもので,序曲が始まる時はお客さんの半数くらいしか着席していないことが多いようです。ロビーでシャンパンとかを飲んでいるお客さんが序曲を聞いて席に戻ってきて,開幕となるとか。

モーツァルトなんかは「どうせ聴いてくれない音楽」という扱いでオペラの中に全く出てこない旋律でテキトーに序曲を書いていたようで。「フィガロの結婚」序曲なんかはその類だとか。でも素晴らしい音楽なのはさすが!

ローマ歌劇場管弦楽団の演奏は肩の力が抜けていてそこがまた良いと思います。いつもあまり聴いてくれない音楽として自分たちも肩慣らし的な位置付けで演奏しているからでは。

ロッシーニも「セヴィリアの理髪師」序曲ではオペラの中の旋律は全く出てきません。作曲の時期は逆転していますが,「セヴィリアの理髪師」の物語は「フィガロの結婚」に続きます。主要キャストも大半がかぶっています。それでこれは偉大な先輩,モーツァルトへのロッシーニのオマージュなのかも知れません。

ちなみにこの録音,グラモフォン・レーベルのスタッフ(「カラヤンの耳」と呼ばれるエンジニアのギュンター・ヘルマンスやプロデューサーのオットー・ゲルテスなど)がローマにわざわざ出向いて録音しています。近年のリマスターでトライアングルの細かな音まできちんと拾っています。グラモフォンでイタリア歌劇を録音するテストだったようです。

そんなことを色々考えながらロッシーニやモーツァルトの序曲を聴くと楽しくなってきます。


きょうはこのへんで。



では皆様,良い週末を!


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