心の伊達市民 第一号
奥京都の旅(4)・・・・花脊から鞍馬へ
ブログ閉鎖中の話題(2018年2月8日)
朝起きて窓を開けたら雪が降っていた。駐車場に停めた車も雪が積もっている。
朝食を食べて、宿の女将と娘さんと一緒に記念撮影をする。
昨夜の人生相談で家族の秘密を聞かされて、なんだかすごく親しい関係になってしまった。
前日に行った「茅葺の里」の写真に納得がいっていなかったので、今日の目的地と方向は違うがもう一度、撮影に戻る。
茅葺の里も雪で屋根が真っ白になっていた。
まだ朝早いので「茅葺の里」にはほとんど観光客は来ていない。
昨日と違い、茅葺の屋根も真っ白になっている。
Aさんは準備が悪く底の平らな靴を履いているので、凍った道は滑って危ない。
私が自分の為に準備して来た靴の上から履く雪用のスパイクを、彼に貸して履かせる。
なにしろAさんに倒れられたら、私は免許を返納しているし、とてもあの巨体を運べない。
「茅葺の里」の中には建て直した普通の家もある。
しかもAさんは膠原病の後遺症で足が悪く、障碍者手帳を持っている。
障碍者手帳を持っていると、タクシーは10%引きとなるし、新幹線も割引になる。
彼は太り過ぎで100キロを越すような巨漢なので、200メートルくらい歩くだけでゼーゼーと息をしている。
私は彼がこの旅で、突然死をしないかと心配になる。
それなのに写真を撮る意欲だけは凄く、無理をするので見ていられない。
寒さもそれほどでないのか、ツララが短い。
「茅葺の里」の撮影を終り、今日は東京へ戻る日である。
Aさんは「今日の予定は楽である。昼飯は花脊の料理屋に行って、美味しい日本料理を食べる」と言う。
カーナビをセットしたら、国道を行く道の案内が出た。
彼は「せっかくだから、山道の方を行こう。こちらの方が風景が綺麗だ」と言った。
今回の旅は全てAさんの企画だから、私は逆らわないことにしている。
花脊に向かう頃には峠の方面はガスが発生して来た。
雪道を進むと道路に看板が出ていて、「佐々里峠は通行止めです」と書いてあった。
私はAさんに「佐々里峠は通行止めと出ていたよ」と言うと、「我々は佐々里峠は通らない」と言う。
そのまま1時間ほど進むと、道路は行き止まりとなった。
そして看板に「佐々里峠は冬季は3月まで通行止め」と書いてあった。
私は飽きれて、もうなにも言う気が起きなかった。 Aさんは私に謝りもしない。
少し気まずい雰囲気が漂う。
佐々里峠に向かう道は通る車も無い。この理由は後で分かった。
もと来た道を引き返し、カーナビの示した国道を行く。昼食時間はとうに過ぎている。
私は「料理屋に電話したら?」と言うと、Aさんは「電話番号が分からない」と言う。
それでも午後1時半に花脊の山の中の「佳雅堂」に着く。
私が店に入ると、なにか変だ。真っ暗なのである。
「ごめん下さい」と声を掛けると、奥から「はーい」と返事があった。
そして店の女将が出て来て、「冬季は3月いっぱいまで、お店はお休みです」と言われてしまった。
佐々里峠への道の所々に氷爆が出来ていた。
「呆れてものが言えない」を絵に描いたような場面である。
私は次々と続けて起きるAさんの企画の不始末に腹が立ち、「もう嫌だ―!」と叫びたいのを我慢する。
若い頃なら、ブチ切れていただろう。Mさんはまだ「京都市内の他の店を知っている」と言うのを押し止め、京都への通り道の鞍馬で、私の知っている店で京都名物の「ニシン蕎麦」を食べた。
その後、Aさんは京都錦市場に行きたいと言うので、もうAさんの指示に従わず、京都に明るい私が案内した。このマンションである程度のお金と暇に自由が効く人はAさんしかいないし、緻密な計画を立てて私の知らない場所に案内してくれる。良く考えれば私の大事な友人なので、我慢も必要である。
京都からは新幹線で東京に戻った。(終り)
佐々里峠への道はここで通行止め。戻るしかない。
(おまけの話)
年を取ると、人は子供に戻る。現役の時に押さえていた感情が、露わに表に出て来るようになるからだろう。これは脳の前頭葉が老化して、感情のコントロールが出来なくなるからだそうだ。
今回の旅で「昼飯問題が3回」、「運転ミスで車が雪に嵌った」、「私の話を聞かなくて失敗」、「スパイクを持参しない」、「確認を怠って失敗」などかなりの問題がAさんのせいで発生した。
佳雅堂に着いたら、店は冬季は閉店中だった。
しかし撮影できないと思っていた伊根町の舟屋の風景は翌日に快晴となり、茅葺の里の雪不足は、翌日に降雪で撮影出来た。Aさんは「俺はツイている」と言うが、そうじゃないだろー。私がツイているんだ!
Aさんは行く先々で、「ここのことを良く知っている」ようなことを言う。
「橋本さんは知らないだろう?」というニュアンスを感じる。
鞍馬寺は観光客もいない寂しい風景だった。
でもそうじゃない。私の方が良く知っている。彼はネット情報のようだが、私は実体験である。
ちりめん街道で織物工場を見学した。Aさんが私に解説をするのを黙って聞いていた。
工場は4台の織機がある小さな工場で、50代と思われる女性が白地の反物を織っていた。
私は彼女と専門用語で話をしたが、工場を出てからAさんは「なぜそんなに詳しいの?」と聞くので、「私の父の実家は八王子で大きな絹織物の工場を経営していたから、私は子供の頃から見ていて知っている」と答えた。その時はさすがに、Aさんはバツが悪そうな顔をしていた。
錦市場は大混雑。市場が観光地化している。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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