ベトナムから来るフォンさん
10年ほど前に私が関係するベトナムの会社を訪問し、3ヵ月過ごしたことがある。 その頃の私はマンションの管理組合の役員をしていて、私は前期までの問題点を洗い出し、「10大改革」と称して一生懸命に働いていた。 ところが前期までの役員の一部が猛反発し、ありもしない噂話を流したり、嫌がらせをした。私は自分のためではなく、住宅ローンを抱えて働いている若い人達のためにやっていた。あまりの程度の低さや、仲間の裏切りもあり、私は1期で役員を辞めた。 そして心の平安を求めて、ベトナムに旅立ったのである。 ベトナムではホーチミン市に滞在し、やることも無いので日本語教師をやった。 生徒も若い、先生も若い。若い目を輝かせている人達に囲まれて、3ヵ月は楽しかった。その時に知り合った日本へ来た実習生を、私はずいぶん面倒を見た。 また先生方とも縁が続き、自費で日本へ来た人、日本政府の招きで来た人達とも東京で懇親を計った。彼女達は私の住むマンションの、ゲストルームに泊まってもらった。 今回はその先生の中のN先生から3月に連絡があり、『息子が東京に行くので、ゲストルームに泊まらせてくれ』と言って来た。 ゲストルームはバカ安なので、8室あるが早くから予約でいっぱいになる。 私は「早く日にちを決めて知らせろ」とメールを送った。 途中で催促のメールも送ったが、日にちが決ったのは6月に入ってからだった。 希望日は6月25日から4泊だったが、残念ながら最終日だけは取れなかった。 その後、キャンセルが出たので、最終日も宿泊できるようになった。 ベトナムと日本は2時間の時差がある。 だから急ぎのメールも、なかなか返事が来ない。 それとベトナムは南国のせいか、ノンビリしている人が多い。 せっかちな私には、イライラして待つ時間が凄く長く感じる。 それとロシアのプーチン大統領に似て、約束の時間を守らない人が多い。 なぜなんだろう? 来日6日前になり、息子のPHONGさんからスマホにメールが届いた。 上手な英語で書かれていて、20歳とは思えない。 しかし日本での希望は山盛りで、「浅草寺」、「東京都庁」、「新宿御苑」、「明治神宮」、「竹下通り」、「花園神社」、「新宿ゴールデン街」、「歌舞伎町」、 「思い出横丁」、「増上寺」、「東京タワー」、「渋谷スクランブル交差点」、「渋谷スカイ」、「河口湖」、「下山下本町通り」、「精進湖」、「その他」が、4日間の計画のようだ。 これらは来日外国人に人気の場所らしいが、どうもインスタ映えのする画像から選んだようだ。不思議なのは「東京駅」、「皇居」、「銀座」などが登場しない。 彼は私に案内してもらおうと考えているのだと思うが、彼は20歳、私は82歳だ。 20歳の若者の行動には付いて行けない。だから4日間の内で、2日だけ付き合おうと考えている。全く日本語が分からず、初めて日本に来て、どうやって希望の場所に行けるのだろうか? どうも甘く考え過ぎている! 私の書いたこのブログ内の上記の文章を、Googleの機能を使って翻訳してみた。 それが下記の文章だが、「凄い!」と思った。ただ日本語を英語にすると、7行の文章が11行になる。日本語は漢字があるので、短く表現できる分かった。 『In Vietnam, I stayed in Ho Chi Minh City, and since I had nothing else to do, I became a Japanese language teacher. The students and teachers were young as well. I enjoyed my three months surrounded by young people with shining eyes. I took good care of the trainees I met during that time who came to Japan』 『I also continued to have connections with the teachers, and in Tokyo I arranged to socialize with some who came to Japan at their own expense and others who came at the invitation of the Japanese government. I let them stay in the guest rooms of the apartment building where I live. This time, one of those teachers, Ms. N, contacted me in March and said, "My son is going to Tokyo, so please let him stay in your guest room."』 次に英語で届いたベトナムからのメールの一部を、日本語に翻訳してみた。 『Dear Hashimoto san , My name is Le Nam Phong. I'm writing to you today to share my itinerary for my upcoming trip to Tokyo. I'm so excited to explore the city and experience all. Day 1: Morning:Sensoji Temple and Nakamise Market,Tokyo Metropolitan Government Building』 上記の英語の文章の日本語翻訳は次のものである。 『橋本様、私の名前はレ・ナム・フォンです。 今日は、これから東京に行く予定の旅程をお知らせするためにメールを書いています。 街を探索し、すべてを体験するのがとても楽しみです。 1日目:午前:浅草寺と仲見世市場、東京都庁ビル・・・・・』。 完璧だ! Googleは凄い。 私はフォンさんへの返信を日本語で書いたものを、Googleでベトナム語に翻訳して送信した。多分、同じように完ぺきな文章が届いているだろうと思う。 こうなると誰でも、外国語を勉強しようとしなくなるかもしれないなー。