ロサンゼルスに住む親戚のIさんから、面白いメールが届いた。
『今日から始まる陪審員の指名が、直前で免除になりました。招集通知が来て、書類に色々と答えて提出したのが1月前です。

その時に「言い訳欄」があって、そこに書いたことが功を奏したようです。
『私は72歳で、ただいま問題があって心臓専門医に通っています』と、事情を書いたそうである。
(注)70歳以下で健康に問題のある人は、医師の診断書提出が求められます。


  裁判所は地下鉄「霞が関駅」を出て、「A1出口」から出る。


彼の親しくしている友人のXさんは、今年の2月に陪審員を務めたばかりであった。
その時の経験を以前にメールで、次のように知らせてくれた。『Xさんは75名の候補の中から12人の最終陪審員に選ばれて、24日間の間、法廷に通いました。その間は法廷の内容に付いて一切話をしてはいけないことになっているので、かなり不自然な生活を強いられました』。

その後、犯罪内容を知らせて来たが、その事件は『老人ホームの男性看護師(50歳)による女性住民(70歳と80歳)の2人への性行動だった。この不愉快な犯罪を毎日、証人喚問だの、事実認定だのと3週間も議論したりして過ごさなければならなかったのは大変なストレスだったようです』とあった。


裁判所の前には不当判決にクレームを付ける立て看板がある。


私から改めて質問を送っておいたら、以下の回答が届いた。
*質問(1)「陪審員になった人が全て真面目な人とは限らないので、家族や友人に話してしまう人もいるのでは?」
*答え(1)「Xさんは他の陪審員にそれとなく聞いてみたが、みんな規則を守っているようでした」

*質問(2)「他人に話したことがバレた時の罰則は?」
*答え(2)「特に無いそうです」
*質問(3)「陪審員に選ばれる条件は?」、「学歴、仕事など」
*答え(3)「全くのランダムで、くじ引きのようにして招集します。その後、裁判所で適性を調べ12人に絞る」


東京地方裁判所と高等裁判所は同じ建物内


アメリカの陪審員制度と日本の裁判員制度には決定的な違いがあるようだ。
「陪審員裁判」では裁判官は一切関与しないので、どのような評決になるか予測できない。

一方で「裁判員制度」では裁判員に選ばれた人達はプロの裁判官の指導を受けられるので心理的な負担が少ないし、裁判官も裁判員の暴走をコントロール出来るので安心。
これは一方で裁判官の指導というのが「判例主義」になり、国民感情と離れた判決になるので、「裁判員制度は不要」という意見も出ている。


   裁判所の裏に「弁護士会館」がある。


では「被告が上告した場合」の日米の比較である。
アメリカでは陪審員制度での判決が不満なら上告が出来るが、その場合でもまた陪審員制度になる。陪審員に選ばれると裁判長からよく説明があり、『各自の判断は事実と証拠に基づいてのみ行い、決して推測や同情からしないように』と言われるそうだ。

日本では裁判員制度での判決が不満な場合の上告は高等裁判所に移り、裁判員制度から離れプロの裁判官が行なう。


「法務省旧日本館」は撮影スポットである。


私の知りたかったのは、裁判に関わった人の日当の日米比較である。
ロサンゼルスでは1日当り「15ドル」、ガソリン代が1マイル辺り「34セント」で、なぜか片道分だけ支給となるそうだ。

一方の日本はロサンゼルスよりかなり高額の日当である。
日本では候補になると1日8000円、裁判員に選ばれると1日1万円だそうだ。
遠方の場合は実費の交通費、場合によるとホテル代が支給される。


 「法務局」は立派な建物である


日本の裁判員制度の対象事件は、一定の重大な犯罪であり、例えば殺人罪、強盗致死傷罪、放火罪、覚せい剤取締法違反、危険運転致死罪などである。
では裁判員に選ばれる確率はどうか? これはデータでは全有権者の8700人に1人となっている。これは(0.01%)になる。
私は機会があれば裁判員になってみたいが、いまだに選ばれないでいる。


警視庁は屋上に巨大なアンテナがあるので、すぐ分る。


(おまけの話)
私は現役の時に裁判には何度か関わっている。だからまるっきりの素人ではない。
引退してからも1度だけ、裁判に関わった。それは「朝日新聞集団訴訟」である。

朝日新聞の「慰安婦」に関する報道で「誤った事実が世界に広まり名誉を傷つけられた」として、渡部昇一・上智大学名誉教授(故人)が提訴した2万5000人の集団訴訟の原告に私は加わったことがあった。


「朝日新聞・25000人集団訴訟」(東京地方裁判所前)


以前より渡部昇一氏の発言が好きで、テレビや書籍などを通じて彼の考えを理解していた。そんな時にネットで集団訴訟の原告を募集しているのを見て、私は参加したのである。

損害賠償金額は「1人1円」で、2万5000人でも総額2万5000円である。
お金の問題ではなく、名誉の問題であることに賛同したのである。
裁判は2015年10月に、東京地方裁判所で始まった。


 最高裁判所の「傍聴券」


一審では敗訴となり、上告して2017年7月に東京高等裁判所へ舞台は移った。
私は毎回、傍聴に行ったが、回を重ねるごとに傍聴者の人数は減って行った。
裁判というのは映画のようではない。書類による主張で裁判が進むので、傍聴していてもよく分からない。

そして高等裁判所でも敗訴となり、2017年10月に最高裁判所へと審議は移った。
私は初めて最高裁判所の傍聴をしたが、建物、雰囲気など全てが重厚な感じがして良い経験だった。だが最高裁判所でも原告の敗訴となってしまった。
この裁判の判決は全く納得のいかないものだった。


 最高裁判所の建物(三宅坂)


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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

コメント

    Shinji
    Shinji

    霞が関A1出口はすごいですね。日本の裁判、法律、法曹界の中心が集中しています。ここを出ていく人たちの心理、ものすごく複雑なものが交錯していることでしょう。

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