心の伊達市民 第一号

遠くに行った「新」という文字  

ブログ閉鎖中の話題(2017年5月03日)

今回は「新」という文字の話だが、それにしては思いっ切り暗い話になる・・・と思う。私は「新」という文字から縁遠くなり、もう15年近くが過ぎた。
現役の時、特に若い頃は仕事の関係では「新規顧客開拓」、「新入社員」、「新製品開発」、「工場新築」、「新分野進出」、「売上新記録」など「新」は身近だったし、非常に前向きな単語だった。


「汚れたミルク」・・・★★



個人的には「新婚」、「新妻」、「家の新築」、「新生児」、「新車購入」、「新製品購入」、「株式新高値」、娘の「新入生」、「新成人」など明るい話題ばかりだった。私が働いて来た時代は日本が高度成長をしている時代で、次々と我が家に新しい家電や車が入って来ていて、明るい未来が約束されている気がしたものである。


「ムーンライト」・・・★★



ところが引退したら、「新」とは全く縁の無い生活になってしまった。
東日本大震災の前日の3月10日に、今のマンションに越して来て6年が経過した。
買ったマンションは新築ではなく、中古物件である。
このマンションは建築後、今年で9年目になり、来年辺りは大規模修繕工事に入るだろう。


「私の息子」・・・★★



6年も経つと、先ず各部屋の電球が切れる。それを全てLEDランプに交換した。
給湯装置のエコキュートが不調になり風呂にも入れず、メーカーを呼んで修理してもらった。小金井から持って来た洗濯機と乾燥機が壊れてしまい、買い替えた。
そろそろエアコンの調子が悪くなって来たような気がする。みんな古くなって来ている。


「私はダニエル・ブレイク」・・・★★★



女房が私を呼んでいる。「炊飯器の蓋が開かないから、見てー!」。
これは私が蓋を強く押し込んでみたら直ったが、またいつ壊れるか分からない。
テレビは3台あるが、ここへ来てから買った1台以外は、そろそろ危ない。


「ライオン」・・・★★★



新しいものだって、時間が経てば古くなる。背広も新調しない。
もっとも背広を着る機会など無いし、必要なのは黒の礼服だけである。

女房が買って来た新しいパジャマを風呂上がりに着たら、「駄目よ!それはあなたが入院した時の為に買っておいたのよ!」と言われたしまった。
もう「新」を望むのは無理なんだなー。


「午後8時の訪問者」・・・★★



昔から日本では「畳と女房は新しい方が良い」と言うが、なにか私にも「新」が無いか?、必死になって考えたが思い付かない。「新成人」とは言うが、「新老人」とは言わない。一晩考えたら、たった1つだけ「新」があったのに気が付いた。

それは秋になると北海道伊達市の農家のSさんに注文した「ゆめぴりか」の新米が届くことだ。現役の時に比べたらレベルは低いが、1つだけでも「新」があったのが嬉しい。


「人生タクシー」・・・★



(おまけの話)
私は1ヶ月に1度、新宿住友ビル3階の床屋に通っているが、もうかれこれ40年にもなる。開店時は技術者も若い子ばかりで、みんなミニスカート姿だった。

4月17日に床屋に行ったら、驚愕のお知らせを受けてしまった。
なんと「当店は4月28日をもって閉店します」という話だった。
その理由は「経営不振」だそうで、今後は有楽町店に行って欲しいとのことだった。


最初は10人も技術者がいたが、今では椅子は6脚となり4人しかいない。



なぜ経営不振なのかを聞いてみたら、「若者は床屋に行かず、美容院に行ってしまう。
ここに通ってくれたお客さんも高齢化して、もう来られなくなった人が増えた」とのことで、残念だが仕方ない。私はボケるまで来ようと思っていたのだが、それも叶わなくなってしまった。

ここで働いている5人の女性は全員が退職だそうで、退職金も無いし、失業保険も無い。そして、次の職場は自分で探さなければならない。かなり気の毒な話である。


調髪、髭剃り、顔のマッサージまでやってもらって3100円。



私は以前から「もう少し値段を上げたら?」と言っていたのだが・・・・。
午前10時30分までに入店すれば、顔のクリームマッサージまでして、3100円は安過ぎた。1ヶ月に1度の新宿行きを楽しみにしていた私は、これから新宿に行く機会が無くなった。

帰りに昼飯で当てにしていた日本蕎麦屋に行ったら、見付けることが出来なかった。
どうやら経営不振で撤退したらしく、そこには牛丼屋が入っていた。みんな厳しいんだなー。


最後の調髪を終り、送り出された。「40年間。ありがとう」

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北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。

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