こ、これは石・・・??エッお菓子なの〜〜〜〜

ワイルドな見た目が話題を呼んでいる


「鐵の素(てつのもと)クッキー」。


鉄の原料である鉄鉱石、石灰石、石灰を モチーフに、ホンモノにとっても忠実に再現されているのです。

うーーーん、わかっていても間違えちゃいそうなリアルさがすごい!

「室蘭工業大学公認」を冠するこのお菓子、室蘭工業大学の清水一道教授、ナニナニ製菓、大学生協の3者により共同開発されました。



はじめは大学生協だけで取り扱っていましたが、市内の店舗や道の駅、北海道四季彩館 東室蘭店(キオスク東室蘭駅店)などで広く購入できるようになり、郵便局のふるさと小包のチラシのラインナップにも加わりました。

2017年4月には「日本ギフト大賞2017」北海道賞を受賞し、発売2年弱ですっかり室蘭土産の定番のひとつに!先日は共同開発第2弾のお菓子「ジンギスカン鍋クッキー」が発売され、さらなる注目を集めていますね。


小さな菓子工房で、手作りで製造されるこのお菓子が人気を集め、「たくさん売れる」・「たくさんつくれる」ようになった裏には、様々な工夫と、街の人たちの協力があったようです・・・そこで今回は、



室蘭中島郵便局の小林局長、大滝郵便局のアイドル・三上主任、そしてそらみ編集部chの三人で、「鐵の素クッキー」の調査に行って来ました!



製造元は、街の自然派お菓子屋さん!



むしゃなび特集「室蘭のお店ほうもん ナニナニ製菓」より)


鐵の素クッキーの製造元は中島町シャンシャン通りにあるナニナニ製菓さん

無農薬・オーガニックなど、できるだけカラダにやさしい食材を使い、人工甘味料・香料、保存料は不使用の焼菓子&パンが老若男女に愛されているお店です。


開発のきっかけは、室蘭工業大学で「ものづくり基盤センター」長を務め、「鉄」に関する研究開発に携わる清水教授のアイデアでした。




「出張先に持っていくのに、大学をPRできるものがあればいいな・・・誰も作らないから自分で作ってしまおう!」 



室蘭工業大学には教授をはじめとした教員が約200名在籍していますが、海外や全国各地に出張する機会がとても多いそうです。そこで清水教授は友人を介して知り合ったナニナニ製菓店主・庭山貴行さんに一緒にお菓子を作りましょう!と提案したのでした。2015年のことです。

依頼を受けた庭山さんは・・・



「室工大公認のオリジナルなお菓子ということで、清水先生からお話をいただきました。

どうせなら大学だけではなく、「ものづくりのまち室蘭」、「鉄のまち室蘭」を一緒にPRできて、世界にオンリーワンなものを作りたい!と、結構ハードルの高いご依頼で(笑)。


当初、清水先生は学会シーズンで超多忙だったので、なかなかお会いできず話が進まなかったのですが・・・たまたま、友人が主催する異業種交流会でお会いした時に、翌週に札幌で開催されるイベントに向けて急遽試作品を作ろうということに決まりました。それで市内在住のイラストレーター、朝路真弓さんに絵を描いてもらって、味だけ確認できるようなサンプルを大急ぎで作りました。

会場で試食してもらいアンケートをとったらダントツでこれが人気だったんです。そこから本格的に取り組み始めました。」



おいしくて鉄の原料そっくりなお菓子にするため、たくさん試作を重ねたそうですが、試作段階でのこんなエピソードも。

ある日、ひとりの男性がナニナニ製菓を訪れました。庭山さんは試食をしてもらい率直な感想を求めると、


「味はうまいんだけど、似てないんだよね・・・・」


と答えたその人は、新日鐵住金株式会社室蘭製鐵所に勤務する菅原登さんでした。



菅原さんは早速、庭山さん夫妻とスタッフを工場見学に招いて、実物を見せたり製造工程を説明し、帰りにはバケツいっぱいの鉄の原料をお土産に持たせたそうです。


その後のやりとりを経て、現在のホンモノそっくりな姿に。パッケージ内側の歴史年表や、同封のリーフレットも室蘭製鐵所が監修しています。



さて、試作から数ヶ月後の2016年3月に、鐵の素クッキーは室工大生協「パレットバラエティ」で発売しました。

最初の150箱はたった2日で完売!さらに卒業式の日に再度販売した170箱はなんとその日のうちに売り切れてしまいました!



「遊びで作ってこういうのも面白いですよねって言っていたら、あっという間に売れて、びっくりしました。」


と話す庭山さん。その後、室蘭信用金庫の年金感謝デーで配布されて街のご年配の方々からたくさん反響があったり、企業でも使われるようになり、どんどん広まって行きました。

スタート時から売れ行きを見ている室工大生協「パレットバラエティ」の店長・横尾穣二さんによれば、教員や学生だけでなく市民の来店もとても多いのだとか。


「やっぱり見た目のインパクトが強いのでしょうね。市内の企業にも使ってもらえるようになってきましたし、室蘭を代表するお菓子になっていくといいなと思います。ただ、そうなったら製造が追いつくのかなって、ちょっと心配ですが・・・」



店長の横尾さんとスタッフの皆さん。横尾さんが手にしているのは室工大オリジナルジンギスカン鍋。こちらも清水教授のアイデアから生まれ、鐵の技術を駆使して通常より薄く作り、20%も軽いという逸品!

室蘭工業大学生活協同組合
パレット バラエティ

室蘭市水元町36-8
TEL…0143-44-8755 FAX…0143-45-2757
【受付時間】平日・土曜日10:00-19:00
「室蘭工業大学公認 鐵の素クッキー」特設ページ


小さな工房で「たくさん作る」工夫と、街の応援。



「たくさん作る」というのは鐵の素クッキーがヒットして出てきた新たな課題でした。


全てナニナニ製菓の工房で手作業で行なっているため、計量、成形などひとつひとつに手間がかかります。店舗のための製造・営業も並行して行われているし、何千箱、何万箱という単位になれば膨大な労力と時間。

ニーズは増加するものの、量産できないという状況・・・。

そこで、清水教授は生地を押し出して指定量にする機械を自ら企画・制作して工房に提供しました。さすが「ものづくり」のプロ!この導入により、約1.5倍もスピードが上がったのだとか。

続いて、室蘭市に仲介してもらい梱包作業を市内の授産施設に業務委託することで、梱包していた分の時間をクッキー作りに当て、より効率よく製造できるようにしました。


お話を伺っていると、「じゃあ工房大きくすればいいじゃん!」という発想では全然ないようです。そこで清水教授に伺いました。



そうすると大変でしょう、人を雇ったり改築したり・・・お菓子が売れなくなったときすごい負債を抱えることになる。だから僕は絶対投資をしないように、と言ってるんです。いつ売れなくなるかわからないですから。

忙しかったらチームを組んで、例えばレシピを教えて他の工房でも作ってもらうのもいいだろうし、ワーキングシェアというか、100個作るのを1000個作りたいときに、10社集めればいい。そういう発想です。

庭山さんもすごいいい人だから、授産施設に業務委託することを抵抗なくやってくれました。

それは根本に室蘭を愛して、室蘭を発信していこうという思いがあるからなんですよね。



すでにあるものを利用しながらみんなで作る、ということでしょうか。



 いつも言っているのですが、「身の程を知る」というのは大切なんですよね。

私たちも東京の大学と同じことができるか、と言ったらそんなことはできないです。東京の人たちがやらない実験とか、そういうことをやっていくべきだと思う。

その点は商売も研究も一緒だと思います。



市内の各団体から協力を得たことも、ヒットに欠かせない出来事でした。


梱包作業の外注では室蘭市福祉課に相談し、市内8箇所の授産施設のうち、梱包の仕事に強い「わく・WORK・ランタナ」(NPO法人蒼空)にお願いすることが決まりました。

ラベルをプリントし貼り付ける作業が手間だったクラフト箱パッケージについては、室蘭テクノセンター「ものづくり創出支援事業」平成28年度助成金を利用してリニューアルしました。デザインもより室蘭らしく、PR力のあるものとなりました。


また昨年度、2016年度に、北海道四季彩館 東室蘭店での取扱いが始まりましたが、そのきっかけとなったのは室蘭市と室蘭信用金庫の若手合同研修だったのだとか。

「マーケティングの視点から街の活性を考える」というテーマで「東室蘭駅」を課題としたグループが、キオスクの商品充実に目をつけました。その中で話題の商品である鐵の素クッキーの名前が上がり、キオスクの店長さんも非常に意欲的だったことから、スムーズに取り扱いが実現したということです。


テクノセンターから市役所、そして室蘭信金へと、聞けば聞くほど、いろんなお話が出てくる、出てくる!

皆さんそれぞれ別の形で関わりながらも、ある程度情報共有しているのもすごいことだな!と思いました。



「僕はもともと室蘭の人間ではないですが、「鉄とものづくり」という立ち位置からこの街を知ってもらいたい、情報発信したいという思いでやっています。

なるべく値段は下げようね、というところからスタートしているので、型を作ったり機械を作ったりするのも全部ボランティア。だからこの値段でできるんです。私たちの技術をそうやって還元できればと思っています。 たくさん売れたら私が儲かるワケじゃないですから(笑)だからこそいい流れになったんだと思います。

よく学生に言うんですが、一軒家を作るのと、町内会を作るのは違うんだよって。

一軒家は自分ひとりで完結できますけれども、それを広げるにはコミュニティーが必要です。コミュニティーを作る力がないと、研究って、点が線になりません。

「点を線にする作業」が情報発信の中で大事なんですよ。



ハア〜〜〜!!!!

先生、記事を書くのも一緒ですっ・・・・



「そうそう(笑)、どんな仕事でも一緒!だからあるスペシャリストになれば、なんでもできると僕は思っているんです。」



★清水教授の研究や活動については下のサイトをご覧ください。


国立大学法人室蘭工業大学 清水一道ものつくり研究室

http://shimizu-kazumichi.com



作り手の思いは、「鐵」へのリスペクト!



方々にお話を伺いながら、やっぱりアツい街だなあ!と感じた取材班。


ものづくりの街・室蘭・・・鐵の素クッキーのストーリーもまた「ものづくりとは何か」を語っていると思います。


人の繋がり、産学官の連携、そして清水教授と庭山さんの情熱に動かされた、というのも大きなポイントでしょう。


「一緒に関わりたいというか、手伝いたい、という気持ちになっちゃうんですよ・・・(笑)」


と話していた方もいました。


街を巻き込み、新たなヒット商品となった鐵の素クッキー。


最後に庭山さん夫妻に作り手としての思いを語っていただきました。



「スーパーやデパートで出店販売していると、よく新日鐵や日鋼を退職した方が遊びに来てくれるんですよ。

「そっくりだけど、石炭や鉄鉱石なんて食べたいと思うはずないだろ」って言いながら、試食してもらうと、
「俺ら何十年これを見て来たと思ってるんだ・・・ん?結構うまいな」ということもありました(笑)


室蘭のものづくり、そして鐵の歴史というのは、室蘭だけの話ではなく、日本の近代化の歴史の中で重要な位置を占めていると思います。

そこに携わって来たということは、室蘭の人たちの誇りなんですよね。

だから、室蘭の歴史、鉄の歴史をリスペクトして、オール室蘭で作ったお菓子を応援してもらえるのかなと思ってます。


「鐵」へのリスペクト、そして その歴史に携わってきた全ての皆さんへのリスペクト。


僕らもその気持ちだけで作っています。



取材班が超びっくりしたのは、見た目を鉄の原料に近づけようと作っていたら、「鉄分」も豊富だった、というお話!!

純ココアやきな粉、そしてゴマは実際に鉄分を多く含む食材だったんですって。国の基準もクリアしているので、パッケージにも「鉄分豊富」と記載されています。


ナニナニ製菓
北海道室蘭市中島町1丁目38−5 一階
http://7272.me



鐵の素クッキー

15個入りクラフト箱/24個入りブリキ箱/36個入り黒箱


取扱店



  • 室蘭工業大学 生協パレットバラエティ店

  • ナニナニ製菓

  • 道の駅みたら室蘭

  • 北海道四季彩館 東室蘭店(東室蘭駅キオスク)

  • 旅良菓(0143-24-5348)



お取り寄せ・地方発送なら郵便局が送料込みでお得です!!



チラシPDFはこちら


「ふるさと小包」お申し込みは・・・


胆振地域(室蘭市、苫小牧市、登別市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、白老町、厚真町、洞爺湖町、安平町、むかわ町内)の郵便局でお申込みできます。

ご不明な点はお気軽にお問合せください。


お申込み期間:2017年12月1日〜2018年2月28日


お問合せ先


室蘭中島郵便局  0143-44-5883

大滝郵便局  0142-68-6350


月〜金曜日 9時〜17時まで




取材協力:室蘭中島郵便局、大滝郵便局




※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2017年)


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