■ベトナム(3)・・・KAIZEN 日本語学校
(2013年7月1日) 私の顧問先の会社はホーチミン市で日本語学校も経営している。
名前は「KAIZEN 日本語学校」という。
「KAIZEN」 は日本語の「改善」である。
KAIZEN日本語学校。
7月には自社ビルが完成するので、引越しをする。
日本の大学を出て、日本企業に就職したS社長は日本の発展は「改善にある」と思っているようで、学校名にも改善を付けるくらいに日本に惚れ込んでいる。
本業はベトナム人研修生を日本企業に送り込むことで、その為に日本語教育に熱心に取り組んでいて、来日したベトナム人研修生は日本企業の間でも非常に評判が良い。
日本企業の間では昨今の中国との問題もあるし、金儲けの為だけにいい加減な人材を送り込む中国の研修生から急速にベトナム人研修生に切り代っている。
KAIZEN日本語学校の職員室。先生は27名いる。
(2020年現在では、150名になっている)
私は滞在中の暇な時間は日本語学校で先生をしている。
なにしろ生れた時から日本語を話しているのだから、こんな良い先生はいない。
KAIZEN日本語学校では、多くの先生が大学で日本語学科を学んだか、
日本に研修生で行って戻った後に、日本語の優秀なベトナム人が先生をしている。
私は日本を発つ前は、時間がある時に学校に出向き、授業を受け持つ予定でいた。ところが、試しに授業をしてみたら、このまま彼らが日本に行っても大丈夫か?と心配になって来た。
生徒の年齢はさまざまだが、20歳代である。
それは学校が正しい日本語を教えるあまり、工場の現場で話す言葉を教えていないことが分かった。その代表例が「おまえ」である。
私が「おまえ、どっから来たんだ?」と発音したら、誰も分からなかった。
工場で昼休みに隣の席の日本人は80%くらいは、ベトナム人研修生にこのように聞く筈である。これを「あなたはどこから来たのですか?」と言い直したら、全員が分かった。しかし工場の現場でそんな聞き方をされることは、まず無いのである。
この学校はスパルタ式で、「気をつけ!」、「礼!」で始まる。
日本の現場を想定して、立ったままで授業をする教室もある。
私の滞在中の居場所がこれで分かった。
日本へ向かう前の研修生に、現場で実際に話されている言葉も教えようと思った。
その言葉は、「おまえ」、「あぶねえぞ!」、「なにやってんだ!」、「早くしろ」などで、どう考えても学校で教える言葉とは思えない。
でも、現実にはこのような言葉が現場では必要なのである。
橋本先生はネイティブ・スピーカーなので、みんなは私の話が良く分からない。
(おまけの話)
ベトナム語は難しい。
同じ単語でも発音が幾通りもあり、意味が全く違う。
ベトナム語の文字は発音記号なので、勉強すれば短い期間でも読むだけは出来るようになる。
文法も英語と似ているので、それほど難しくないそうだ。
でも英語と同じで単語の意味を知らなければ、残念ながら役に立たない。
ランチは近くの店で「フォー」を食べる。毎日、私は昼と夜に生徒を3人誘う。生徒はご馳走になれるので、嬉しそうだ。
教室で日本行きが近付いて来た生徒に質問してみた。
8ヶ月くらい学校で勉強している彼らは、私の言葉の60%くらいは理解する。
「ホーチミン市の人口はどのくらいですか?」。
この私の質問の意味は彼らは理解している。
私が質問すると「ハイッ!」と元気は良いが、答えが間違っている。
しかし、人口がどのくらいかを知らない生徒ばかりで驚いた。
(正解は約900万人)
先生の中にも知らない人がいる。私は彼らに言った。
「外国に出る前に、自分の国のことを知りなさい。日本でベトナムのことを聞かれますよ。その時に答えられなかったら、恥ずかしいですよ」。
外国に出た日本人でも、割合に日本のことを知らないで、アチコチで恥をかいている人がいるんじゃないかなー?
学校の近くは混然としている界隈である。でも、ベトナムはどこでもそうだが・・・・。