
心の伊達市民 第一号
現役の時の私はあまり本を読まなかった。通勤に電車を使うことが無かったせいかもしれない。いまでは電車の中では殆どの乗客がスマホを見ているが、昔はみんな本か新聞を読んでいた。
その代表例のHさんは、『しばらく前から目の調子が悪いので、本は読まなくなった』と知らせて来た。幸いに私は老眼鏡は必要だが、まだ本を読むのに不都合はない。
そして中央区の図書館に本を借りに行く生活をしている。
最初に本ではないが、小冊子の話である。
銀座のタウン誌に「銀座百点」という伝統のある小冊子がある。
これは無料なのであるが、私がランチに行くような店には置いてない。
少し高級な店に行けば、だいたいどこでも置いてある。
内容は有名人の対談、エッセイ、情報などからなっている。
それをもらって帰り、寝る前に読むのが私の楽しみでもある。
ところで「本と小冊子はなにが違うのか?」と、変なことに疑問を持ってしまった。
そこでいつものようにネットで調べたら、「本とは表紙はページ数に入れず、本文が少なくとも49ページ以上からなる、非定期刊行物」という定義があった。「冊子に付いては5ページ以上、49ページ未満」とのことだった。
「なんでも定義があるんだなー」と、この年になって知ったことだった。
そうなると私が読んでいる「銀座百点」は80 ページもあるから、小冊子ではなく本に分類される。
11月号の記事の中に「言霊」というエッセイがあった。
私のブログは「写真付きエッセイ」のようなものなので、参考になるので本職の人のエッセイは好きでよく読む。今回は「銀座百点」に書いてあった話が面白かったので、ここで紹介をしたい。
私の知らなかった「試(げん)担ぎ」と「隠語」のことが多くあり、とても勉強になった。今でも夜店に行くと、「七色唐辛子」を売っている。最初にその口上の験担ぎの話である。
「七」は「質」や「死地」の音を避け、「七味」を避けて「七色」と言い換えている。
「質屋」は「七つ屋」、「硯箱」を「当り箱」、「スルメ」の「する」は「あたりめ」と言い換える。
「消し炭」の「消し」を避け、「おき」と呼ぶ。果物の「梨」は「ありの実」、動物の「猿」は「去る」を嫌い「エテ公」となった。「切る」、「去る」、「帰る」などの不吉な言葉を避ける習慣は、今でも祝宴での「鏡開き」、「お色直し」、「お開き」などに残っている。古来より言霊を尊ぶゆえの習わしである。
これらとは違うが。言い換えずに限られた世界で使っていた特殊な隠語が「最近では別の意味で使われている。
『平安の昔、公家が座って競った「揚弓」が江戸時代になると庶民の遊び「的屋」となり、音を変えて後に露天商を指す「テキヤ」となった。この矢場で放たれた矢を回収するのが「矢取り女」の仕事。客が遊んでいる間も、矢が足りないと商売にならないので、矢取り女は飛んで来る矢を避けながら手早く回収しなければならない』
『いわば裏社会で生まれた危ないことを「ヤバい」という隠語だが、発祥とお構いなく今では若者が違う意味で使っている』。
まだ続くこのエッセイは、とても面白かった記事である。12月号が待ち遠しい。
同じような小冊子に、築地本願寺から送られて来る「TSUKIJI」というものがある。
これは47ページなので、小冊子である。11月号には「意外と身近な仏教用語」というエッセイが載っていた。
「十八番」、「我慢」、「愚痴」、「金輪際」、「三昧」、「四苦八苦」、「夜叉」、「娑婆」、「シャリ」、「旦那」、「奈落」、「バカボン」、「不思議」などは仏教用語から来ているそうだ。
その中で「バカボン」は仏教用語の「婆迦梵」の訳語で、「覚れる者」だそうだ。
漫画家の赤塚不二夫は真宗門徒なので、「天才バカボン」を分かって描いていたようだ。
(おまけの話)
私は以前に通っていた中央区図書館に3つある中の「京橋図書館」が閉鎖となり、12月4日(日)に八丁堀に新しい図書館「本の森ちゅうおう」が開館した。オープンに先立ち午前8時30分からセレモニーが行われたが、どうしようかと考えた。
その日の午後1時30分からは荒俣宏氏の基調講演があり、それに気が付いて申し込んだ時は既に満席だった。
暇人の私はいつもはこんな失敗をしないのだが、今回はどうしたことか!
我が家から「本の森ちゅうおう」に行くには、マンション前から都バスに乗って「築地6丁目」で降りて、地下鉄・日比谷線に乗り換えて1駅の「八丁堀」で降りるとすぐである。
家にいてもどうせなにもしないのだからと考えて、7時45分に家を出た。
現地に着いたら10分前で、入口で記念品のエコバッグを渡された。
8時30分になり式典が始まった。区長の挨拶、区議会議長の挨拶、図書館長の挨拶と続く。
その後、来賓の紹介の後に「一番太鼓」の披露があった。私は初めての経験だが、建物の完成時などには「一番太鼓」を打ち鳴らすことがあるようだ。
そしてやっとテープカットがあり、図書館のオープンとなった。
図書館は6階建てで、設備も近代的で、随所に新しい試みが取り入れられていた。
1階にはカフェがあり、屋上には芝生の庭園がある。
図書館内は随所に椅子が置かれていて、読書が出来る。
なかなか良い図書館だが、私が利用するには通うのに少し面倒である。
多摩地区の友人のYさんからまた『多摩格差が酷すぎる!』と言われそうだが、中央区は財政豊かなんだなあーと改めて思った。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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08/28(日) 「またたび文庫」の羽地夕夏さん(羽ちゃん)〜人の心に風を送る人〜
嵐ではない。 そよ風でもない。 ヒュン!と人の心に風を送り。 ハッとさせてくれる人だと思いました。 ひさびさに「いいものみつけた!」という気持ちにさせてくれた人。 と、失礼な書き方をしましたが「なんて素敵な人なんだ!!」という意味です。 そして、実際には見つけたというよりも、出会いのきっかけは若い友人からの紹介でした。 ただその時には、羽ちゃんはその「光」を見せてはくれませんでした。 沖縄の人らしいのんびりした感じの印象。 表面的に溢れ出すオーラで、その存在の凄さを隠せない人はいますが、羽ちゃんはそういうタイプではないように見えました。 決して隠しているわけではなく、あくまでも自然体で、自分をそれ以上にも以下にも見せない人でした。 それがもう、話してみてビックリ! さらに彼女の書いたものを読んでみてビックリ! https://www.instagram.com/matatabibunko_hon/ ↑本の書評や所感などを書いています。 こちらを読むと、只者ではないことが分かります。 ということで、今回は白老を本拠地に移動本屋「またたび文庫」を展開している羽ちゃんこと羽地夕夏さんを取材させていただきました。 この日、またたび文庫は、白老の子育てふれあいセンター「すくすく3・9」の森のカフェイベントに参加されていました。 庭が森になっているそこには、小さい子を連れたお母さんや、地域の方々が来場者となって訪れていました。 その脇にあるニッセの小屋では、地元の店「カイザー」さんが珈琲を落としていました。 「すくすく森のカフェ」は、手作り感溢れるあったかい和みの空間でした。 そんな雰囲気の中で出店されていた、またたび文庫の羽地夕夏さんは、沖縄県読谷村出身の24歳。 大学で国際政治を学び、卒業後は東京の出版会社の営業を1年経験されました。 その後、2022年5月より白老町の地域おこし協力隊員として活動をされています。 「本は子供の頃から好きでした。学生時代は古本屋巡りが好きでした。何かを調べたい時は必ず本。ひとつのテーマについて深く知りたいときは、本を探して読みます。」 何故白老だったか 白老に来たきっかけは、先ほどお話しをした共通の若い友人でした。 それは羽ちゃんが大学4年生の時、初めてその友人に案内されて白老の森を歩き、すっかり白老の自然に魅せられました。 「それまでの人生では森歩きをしたことってなかったんです。」 同時期に読んでいたのはアイヌを題材にした小説「熱源」。 沖縄とは全く異なる北海道の自然への興味、アイヌ文化への関心も後押しをして、白老移住を決めたそうです。 そして実際に移住をした白老は期待通りだったと言います。 またたび文庫の誕生 「人口1万6千人の町 白老の文化拠点として、本屋をつくりたい。」 〜という想いで羽ちゃんは移住後、ほどなくして始めた 古本メインの移動本屋(新刊も1割ほどあり) 「またたび文庫」を立ち上げました。 マタタビといえば、あの齧った猫が恍惚状態になると言われる樹木の名前です。 「初めて北海道を訪れた時、森で初めてマタタビを口にし、とても美味しかったのです。これが猫もうっとりするというマタタビの木の実か!!」と。 きっと、その実は熟したオレンジ色をしていたのでしょう。 ほんのり甘いマタタビは、アイヌ文化史にもたびたび登場し、現代でも果実酒にして薬効を得るなど様々な利用法があります。 そしてまた。 羽ちゃんが好きなアーティスト奥田民生のCDにも「股旅」というタイトルのものがあるそうです。 こちらは旅のうたですが…。 旅先だった北海道に移住した羽ちゃんにとって、「またたび」という響きには特別な想いがあるのでした。 ところでこの日、鮭の木箱に入れて持ってきた本は100冊くらいでした。 「在庫はどのくらい持っているのですか? また、ここに持ってくる時の選書の基準は何でしたか?」 「在庫は2000冊くらいです。今は主にイベント出店という形で販売をしているので、出店するイベントの趣旨や、集まるであろうお客様の層を考えて、その志向を想像しつつ選書しています。今日は子育てイベントですので、お母さんが読める本・子ども向けの本をご用意しました。コンセプトは日と場所によって変わり、持ち歩く本も変わります。冊数もあえて少なくしています。」 この選書のセンスがまた抜群です。 ただの勘ではなく、自分のお客さまになりうる層をしっかりと分析しているようです。 それが証拠に、いらっしゃったお客様の年代・会話・購入された本などの記録をされています。 入れ替わり立ち替わりお客様がいらしたことと、雨が降り出したことでじっくり本を選ぶことができなかったのですが、どれもこれも気を惹くものばかりでした。 筆者の図書館司書の友達が、いたく褒めていたのが納得でした。 本へのおもい 「ところで何故、古本をメインにしているのですか?」 「一つには、誰かに大切にされていた本が次の人に回っていく循環に魅力を感じるからです。もう一つは、流行りものの宣伝にまみれた新刊書店より、ひっそりと本が積み上がっている古本屋での本との出会いの方が “ 自分の感覚で選んだ “という実感があり面白かった…という実体験からです。」 なるほど…。 ベースは大学生の頃の古本屋巡りだったのですね。 そしてこんな質問も〜。 「いちばん大切な本はなんですか?」 「いちばん長い期間、定期的に読み返している本は『星の王子さま』です。王子さまとキツネのお話しが大好きです。まわりの人やモノを大事にするとはどういう行為なのか、どんなふうに世界の見え方がかわるのか、美しい言葉で教えてくれます。」 筆者も遠い昔に読んだ本でしたが、このお話を伺い、また読みたくなりました。 羽ちゃんの言葉は、とても人を惹きつけ「読みたい!」気にさせてくれます。 ではもうひとつ。 少し難しい質問を投げかけさせていただきました。 「生き方を決定づけた本はありますか?」 「難しいですが…。平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』という本をあげさせていただきます。モラトリアム真っ盛りの大学生時代に読みました。自分のアイデンディティーは確固たるものではなく、他者との関係性の中でうまれる多様なものだという考え方に出会い、“ 自分とは何か?” という内向きの漠然とした悩みに対する執着がうすくなりました。」 う〜む。 深い…。 これもまた俄然読みたくなりました。 あらためて羽地夕夏という人 羽ちゃんはInstagramやnoteに本にまつわるいろいろを書いています。 その中から一部抜粋してみますね〜 『現時点のスタイル→本との一期一会の出会いの場をつくるというスタンスで、毎日本棚を入れ替える。POPをおくなどの装飾はとくにしない。自分の感性で本をえらぶという行為じたいを楽しんでもらいたい。。。と思いながら。』 こちらは移動文庫のスタイルのお話ですね。 おもしろい。 とにかく本と真摯に向き合っている。 そしてもう一話。 『〜前略〜「読書は人生に役立つのか?」というテーマに近づけたい。読書とは「自分で問いをたて、知識を得て、深めていく習慣」と定義してみる。特定のスキルや知識は陳腐化してしまう。だとしたら、せめて今の自分が本当に関わりたいものを、自分でえらべるようになること、ってすごく大事なのでは。。。読書が「自分のものさし」をアップデートしていく手段になるなら、「読書は人生に役立つ」と言えるんじゃ〜〜中略〜〜地理、社会、個人の思想を紐づけてみていくのは終わりがないから面白い。なんの役にたつかはわからないし、時間があるときのお楽しみになっちゃうけど。 今日もよい一日をおすごしください』 こちらは羽ちゃんの読書観。 と、こんな感じで羽ちゃんが発信するInstagramの書評や所感、あるいは考え方は、とてもグッとくる文章ばかり。 それでも物書きではなく、人や本との一期一会を大切にしたいと、売る側を選びました。 最後に地域おこし協力隊卒業後の構想を伺いました。 「拠点としての古本屋(店舗)を持ち、時々移動するというスタイルにしたいと考えています。 同時に、これから製本の勉強もする予定です。その後、絵本作りのワークショップを行ったり、出版のサポートもしたいと考えています。」 本を軸に活動の幅を広げていかれるようです。 今後の活動が楽しみです。 羽ちゃんの発する言葉ひとつひとつが筆者のこころに風を送ってくれた気がしました。 気がつけば秋。 読書を楽しみたいですね。 ―またたび文庫情報― クラウドファウンディングは2024年4月8日まで! 応援はこちらから。 白老でのおもな拠点は蔵、Haku hostel、観光協会(ポロトミンタラ)など。 出店予定は毎月更新されます。 営業時間は11:00~17:00 *出店予定は、Instagramにある月次予定表をご覧ください。 ・しらおい創造空間「蔵」 〒059-0906 白老郡白老町本町1丁目7-5 ・haku hostel+café 〒059-0905 白老郡白老町大町3丁目1-7 ・白老観光協会(ポロトミンタラ) 〒059-0902 白老郡白老町若草町1丁目1-21 Instagram https://www.instagram.com/matatabibunko_hon/ note https://note.com/matatabibunko/m/m10475c2e1abd?nt=magazine_mailer-2022-08-25 買取り情報
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