心の伊達市民 第一号
過去に迷い込む
ブログ閉鎖中の話題(2017年8月01日)
私の住む中央区は日本の繁栄の中心地である日本橋や銀座があり、華やかな建物や商店ばかりが有名で、古い歴史的な建物がほとんど見当たらない。
その理由の1つは1945年のアメリカ軍による東京大空襲で、殆どの建物が焼き払われてしまったからである。
清澄通りから路地を入ると、この光景が・・・・。
しかし築地や勝どきに来てみると、平成も終ろうとしている現在に昭和の彼方に置き忘れられたような場所がある。そこには昭和の香りのする建物が僅かに残っている。
特に築地には聖路加国際病院があり、アメリカ軍は戦後の占領政策で自分達が病院の必要性を感じていたため、この一帯は空からの焼夷弾攻撃を避けたと言われている。だから、所々に戦前からの古い民家が残っている。これらの写真を撮るのも私の趣味の1つである。
今では珍しい長屋作り。
勝どき駅から私の住むマンションに向かって清澄通りを歩いて行く途中で、気を付けていると右側に見落としそうな細い路地があり、そこに場違いな長屋が見える。
路地を入ると、道路の喧騒とは関係なく、静かな穏やかな空気がそこに流れている。
みんな表通りを足早に通り過ぎて行くが、私は暇な徘徊老人なので、その路地に入っていく。
みんな路地いっぱいに植木を植えている。
路地の両側に粗末な2階建ての長屋が続き、そこに小津安二郎の映画のような場面が広がっている。
この地域は銀座に近いこともあり、サラリーマンに人気のタワーマンションが次々と建てられている。
夜の蝶も店がはねた後にタクシーに乗ってもワンメーターと少しで帰れるから、このあたりのタワーマンションに住んでいる女性も多い。IT長者も住んでいるし、サラリーマンでも一流企業の管理職以上だろう。
中には森のようになっている場所も。(でもみんな植木鉢か、プランター)
路地に入り、よそ者なので遠慮っぽく、でもキョロキョロしながら歩いて行く。
なにしろこの路地は住民と宅急便と郵便配達以外は通らないから、よそ者は非常に目立ってしまう。
でも幸いなことに、ここで住民に出会うことは滅多にない。みんな高齢化で、家から出ないのだろう。
路地は2人がすれ違うのがやっとの広さなのに、各家では自宅の前に大量の植木を置いている。
地面が出ていないアスファルトの路地なので、植木は鉢かプランターに植えている。
ガスメーターと錆びた赤い郵便受けが昭和らしい雰囲気を醸している。
それが見事な緑地となっていて、今は花も咲いている。
家々はみんな同じ作りで、間口は二間くらいか。しっかりと表札を出し、錆びた赤い郵便受けがある。
玄関の右手に都市ガスの検針用のメーターがあり、玄関は腰高の曇りガラスの引き戸である。
家の前の僅かな空間に自転車が停められている。二階には洗濯物を干すベランダがある。
路地はどこも清潔に掃除がされている。
みんな江戸っ子なのか、他人に迷惑を掛けないようにと、路地は清潔に掃除がされていてゴミは無い。
家によっては、公明党や共産党のポスターが貼ってある。
ここの住民もいずれは立ち退きを迫られて、その跡地にタワーマンションが建つかもしれない。
庶民が高額な立ち退き料をもらい追い出され、行き場の無くなった老人が土地代の下がった多摩方面に移り住むのかもしれない。出来たら、いつまでも老人達はここに住まわせてあげたい。
そうすれば、私も「昭和残照」の写真を撮り続けられる。
この家は公明党のポスターが貼ってあるので、創価学会の信者かもしれない。
(おまけの話)
2本目の路地を徘徊していたら、エンジェル・トランペットが咲いている家が見えた。
私は写真を撮ろうと近づいて行ったら、バアさんが2人で立ち話をしていた。
黙って写真を撮るのも変なので、「お早うございます。トランペットが綺麗に咲いていますねー」と話し掛けた。2人はとうに80は超えていると思われる。1人はこの家の主で、もう1人は友人のようだ。
エンジェル・トランペットの咲き具合を見るバアさん2人。
私の声に気が付いた2人は、私の方を振り返り、「そうですよ。今年初めて咲きました」と言った。
バアさん達は暇だからおしゃべりをしていたわけだから、私が会話に参加するのが嬉しかったようだ。
私 「マンションは近所付き合いが無いので、隣にどんな人が住んでいるか分からない」
バアさん 「それなら、そこの銭湯に来れば、話し相手は出来る」
私 「マンションは自宅に風呂があるので・・・・」
バアさん 「そうだったわねー。ここは風呂が無いからねー」
キュウリの蔦が屋根まで伸びていた。
バアさん「隣にマンションが建ったので、昼間は20分しか陽が当たらない」
私 「腹が立つでしょう?」
バアさん「仕方ないよ。時代だから・・・」
・・・・というような話をしていたら、30分も経ってしまった。
次の予定に遅れそうになり、慌ててそこを離れた。
私 「またここを通るから、その時には私を覚えていてね」。
マンションのお高くとまった住民と違い、庶民は気さくで気持ちが良い。
みんな植物を大事に育てている。
北海道伊達市に2003年夏より毎年季節移住に来ていた東京出身のH氏。夏の間の3ヵ月間をトーヤレイクヒルG.C.のコテージに滞在していたが、ゴルフ場の閉鎖で滞在先を失う。それ以降は行く先が無く、都心で徘徊の毎日。
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